なにか、「障害者」という言葉も、よくないという事で、別の言葉に変えようとしているという事だ。私は、反対である。そもそも私は、「精神分裂病」を「統合失調症」と変えたのも、あまり良くないと思っていた。「精神分裂病」というと、暗いからである。しかし、子供に、「統合失調症」といって、それが何か分かる子供がいるだろうか。年齢にもよるが。私は、精神科医として、ある経験をしている。ある、割ときれいな女の患者がいた。その患者にある男が恋して、友達になった。彼は、毎日、「頑張れ」という手紙を病院に送ってきた。女の患者は、「頑張れ」という言葉が辛いと私に言ってきたのである。それで、その男が面会に来た時、私は彼と話した。彼は、「統合失調症」が、どういう病気か、全然、分かっていなかった。神経症ていどに思っていた。彼は健康で、病気とは全く無縁の人間である。今、直ぐにでも結婚したい、と言う。昔は彼女は事務の仕事も出来たから、健康が良くなったら手伝って欲しいと言った。私は、病気について知って欲しい、仕事は無理、友達としての付き合って欲しい、と言ったが、彼は全く聞く耳を持っていなかった。私の言いたい事など、全部、わかる、とだんだん、強気になってきた。私はもうこの人には何を言ってもダメだと思った。それで私が話すのは止めて、その人の言う事を聞くだけになった。その人はだんだん強気になってきて、私に説教しだした。「先生の言いたい事は、わかります。しかし病気には自然治癒力だって働くでしょうし」と言った。「自然治癒力」と聞いて吃驚した。この人は、「統合失調症」を全然、わかっていない。病気には、風邪のように自然治癒力が働いて、完全に治る病気もある。しかし癌に自然治癒力は起こらないのである。病気は全てひとくくりでは言えない。私は、その人の強気さに、もうこの人には何を言ってもダメだと思った。仕事にしても、昔できていたからといって、今できるとは全く言えない。スポーツ選手も現役を引退して、歳をとったら、昔できていた運動が出来なくなることもあるではないか。しかし、その人は、私が黙っているので、もう自信満々になっていた。「愛は奇跡を起こす」とでも言いそうな感じだった。そういうのは感動テレビドラマの中の話であって、現実は、そんなものではない。見るからに、その人は頭の固い人だった。専門家の言う事も聞こうとしない。そして女の患者は退院した。その後、どうなったかは知らない。しかし、だいたいの見当はつく。一年後くらいに、その女の人が、再び、症状悪化して再入院することになった。その男とも一瞬、顔を合わせたが、彼は何も言えなかった。やっとわかったのだろう。頑固な人は、実際に体験して痛い目をみなければ分からない人もいる。だから、私は最悪の事態にならない限り、失敗こそ、いい経験だと思っている。女の患者には、きれいな人もいるが、世の男どもは、セックスして、女の患者に手前のザーメン垂らしこんで子供を生ませてしまうケースもかなりある。それでもいいが、女の患者と、生まれてくる子供にちゃんと責任を持って欲しいものである。国も言葉を、差別的にならないように実体をぼかして、穏やかな言葉にしようとするはいいが、実体をわかりにくくする事は、現実の社会に問題を、かえって起こしてしまう事もあるのである。そういう事も少しは分かって欲しいものである。そして国は、言葉は、聞えよいように変えても、それによって起こる現実の問題には全く責任をとる義務はないのである。それに、名前を穏やかに聞えるものに変えても、実体は変わらないのだから、やがて時間がたてば名前が実体として定着して、またその名前を変えようということになる。お札と同じである。
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