小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

自由学園の創立者

2009-12-20 00:34:40 | 考察文
自由学園には男子女子合同の礼拝があった。内容は大抵、女子部の批判みたいなものだった。(今は違うだろう)だが学園長は創始者の偉大さを自慢するのもあった。創始者は、二ノ宮金次郎のように大変な勉強熱心だったらしく、ある時、数学の問題を宿題に出されて、家に帰って夜中まで考え抜いたが、分からず、とうとう数学教師の家に連絡して、教師の家に行き、正解を教えてもらった、という事だ。なんと創立者は勉強熱心だったかという事を、と得々と自慢していたが、これはアホである。夜中まで考えるのはいいだろう。しかし、分からないのなら、翌日か、次の数学の時間に聞けばいいではないか。教師がいなくなるわけではあるまい。一晩、眠ってしまったら、途中まで考えてた事を忘れてしまう、というような事は、ありえない。自分がたどりついたまでの思考や、わからない点をメモしておけば、いいではないか。そして翌日、聞けばいいではないか。それより、自分の方から行くとはいえ、真夜中というのは人迷惑である。教師だって、自分の生活や予定があるだろう。それに数学の場合、論理を教えるわけだから数学の苦手な生徒に、わかるように説明するのは、かなり難しい場合もある。英語の分からない単語だったら、その意味を教えるのに手間はかからないが。こういうのは、勉強熱心を誇る教訓ではなく、自分中心、傍迷惑、人の立場を慮れない、という不道徳の、いい教訓話だと思うのだが。そして人間は、勉強が出来るかどうか以前に、まず人格、物の道理がしっかりしていることの方がずっと大切ではないのか。そもそも自由学園は、詰め込み勉強を否定し人間教育とやらを謳っているのであるから、なおさらである。しかし、自由学園は創始者には絶対服従しなくてはならず、反論すると退学させられるので黙っていた。今はもう卒業してしまったので、言いたい事を書けるのである。

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