白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

本日の対局

2021年01月21日 21時41分41秒 | 対局

<本日のトリビア>
〇〇より悪い手を打つプロ棋士は
実在する


皆様こんばんは。
本日は棋聖戦ファーストトーナメントで孔令文七段(39)と対局しました。

1図(実戦)
私の白番です。
白△は直感でこう打ちたくなりました。
白Aの逃げ出しを狙ったシチョウ当たりです。



2図(実戦)
黒1のノゾキで間接的に白Aの逃げ出しを牽制してきましたが、構わず白10まで中央を厚くしました。
ここまでは順調な流れかと思っていました。
しかし・・・。


3図(実戦)
白1のツナギ・・・
手を離した瞬間、盤面を見てフリーズしました。
どう見ても黒2で攻め合い白負けです・・・。
もはや怒りも悲しみも湧かず、ただただ呆れるばかりでした。

ポカばかりの棋士人生ですが、ここまでどうしようもないものは初めてです。
明日からはプロ七段ではなくアマ7級を名乗らなければいけません。



4図(実戦)
1手前の状況です。
左辺の攻め合いは、黒が勝つまでにA、Bの2手かかります。
それをただで負けにするとは・・・。

ここで白としては、Cと打って右上隅を生きる手、Dと黒のダメを詰める手、Eと中央の勢力を重視する手が目に付きます。
手元のAIでは、どれを選んでも評価値90%近い数字が出ています(コミ7目半設定ですが)。
それが、実戦は評価値8%に・・・。
ちなみに、パスしても評価値30%ぐらいあります
比喩ではなく、パスした方がまだマシでした。

新年の1局目から、とんでもない負け方をしたものですが・・・。
これ以上酷いことは起こりようがないと、ポジティブに考えることにします。



☆各所で指導碁や個人レッスンを行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

日本棋院有楽町囲碁センター・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています(現在お休み中)。

永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。2020年7月から共同経営者になりました。

白石囲碁教室・・・2020年6月末に閉鎖しました。現在は永代塾囲碁サロンでの指導碁情報をお知らせするページになっています。

上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。五反田会場は閉鎖しました。

☆「やさしく語る」シリーズ、好評発売中!
やさしく語る 碁の本質」 「やさしく語る 布石の原則」 「やさしく語る 碁の大局観」 ・・・現在、「やさしく語る」シリーズを3冊出版しています。

※4作目「やさしく語る 棋譜並べ上達法」が、2019年8月13日に発売されました!

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今年の対局を振り返る

2020年12月31日 21時05分50秒 | 対局

<本日の一言>



皆様こんばんは。
本日は今年の対局を振り返りたいと思います。

1/16 碁聖戦予選C 大須賀聖良初段〇 黒2目半勝ち・・・打てば打つほど悪くなる苦しい碁。しかし、必死に粘っているうちに逆転。
2/24 阿含・桐山杯予選C 上田祟史四段● 白中押し負け・・・序盤で苦手な碁形に持ち込まれて完敗。自分の欠点がよく表れた一局。
2/27 碁聖戦予選C 長嶋梢恵三段〇 黒中押し勝ち・・・序盤好調に打ち進めるも、不用意な手から闇試合に。最後は勝ったものの大いに反省。
3/12 名人戦予選B 神田英九段● 黒中押し負け・・・布石で失敗があり打ちにくい碁に。しかし、それ自体よりも焦ってしまったことが敗因。
3/19 碁聖戦予選B 下坂美織三段〇 黒中押し勝ち・・・雑な打ち方を咎められ、支離滅裂な布石に。しかし、結果的にはそれがまとまって勝ち。
7/13 竜星戦予選B 金澤秀男八段● 白中押し負け・・・緊急事態宣言明けの初戦。負けたものの、そこまで内容は悪くなかったので少し安心。
8/24 天元戦予選C 王立誠九段● 黒中押し負け・・・苦しい碁をようやく追い付いたかと思いきや、軽率なミスで台無しにした残念な一局。
8/27 碁聖戦予選B 大竹英雄名誉碁聖〇 白中押し勝ち・・・厳しく攻められ、息も絶え絶えに。相手のミスがあってどうにか逆転。
9/21 SGW杯予選1回戦 青木喜久代八段〇 白中押し勝ち・・・死活が読めておらず、無理な取りかけを決行。しかし、相手にもミスが出て結果は勝ち。
9/21 SGW杯予選2回戦 鈴木歩七段● 白中押し負け・・・苦しい碁を粘って良い勝負に。しかし、そこで緩んで勝機を逃す。
9/24 王座戦予選B 加藤充志九段〇 白中押し勝ち・・・一時勝勢になるも、無茶をして闇試合
10/5 碁聖戦予選A 王立誠九段〇 白中押し勝ち・・・棋士人生で3番目以内には入る碁。
10/8 本因坊戦予選C 関達也三段〇 白中押し勝ち・・・終止落ち着いて打てた一局。
10/29 碁聖戦予選A 酒井佑規二段● 黒3目半負け・・・一生懸命打って、内容としても面白い碁に。本戦入りできなかったことは残念。
11/5 本因坊戦予選C 安藤和繁五段〇 白中押し勝ち・・・双方工夫を凝らした一局。相手に見落としがあり、単手数の決着に。
11/26 本因坊戦予選B 黄孟正九段〇 白中押し勝ち・・・打ちすぎで苦しい戦いに。しかし、相手にもミスが出て逆転。
12/17 王座戦予選A 鶴山淳志八段〇 白中押し勝ち・・・終止苦しい碁ながら、粘っているうちにいつの間にか逆転。

年間成績11勝6敗

今年は緊急事態宣言の影響もあり、5ヶ月間勝ち星無しの時期もありました。

しかし、終わってみれば形になっていましたね。

永代塾の経営に携わったことをきっかけに、前向きな気持ちで頑張れたことが大きかったのではないかと思います。

来年も一生懸命頑張りたいですね。

 

今年は更新頻度か大分落ちてしまいましたが、ご覧くださってありがとうございました。

来年もよろしくお願いいたします。


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昨日の対局

2020年12月18日 23時59分59秒 | 対局

<本日の一言>
天元戦は一力遼挑戦者(23)が井山裕太天元(31)を破ってタイトル奪取しました。
これで碁聖と合わせて2冠です。
実力がありながらも昨年まで七大タイトルは取れていなかったのですが、いよいよ本領発揮してきましたね。



皆様こんばんは。
昨日は王座戦予選で鶴山淳志八段(39)と対局しました。
印象に残った場面を振り返ってみたいと思います。
なお、この対局は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されました。

1図(実戦)
私の白番です。
白2子を捨てて外勢を築きました。
実利と厚みの分かれなどという表現をしばしば見かけますが、これは実利とハリボテの分かれですね
白が悪いことは分かっていましたが、これで打ってみたいと思いました。
しかし、思い切りよくいったわけではなく、時間の使い過ぎで後々苦労しました。



2図(実戦)
白1の飛びはヌルく、白3とハネる一手でした。
実戦も後から白3とハネ出して黒を切断したものの、黒Aなどの反撃を狙われて白が薄くなっています。
本局で最も反省した場面です。



3図(実戦)
白1と逃げたのはひどい手でした。
黒4の後白A、黒B、白C、黒D、白E、黒F、白Gと進めば黒大石を分断でき、黒Hには白Iで生き・・・。
との読みでしたが、白Iには黒Jで簡単に死んでしまいます。

残り1分の秒読みになっていたとは言え、流石に白1と打つ直前で気付いたのですが、手が止まりませんでした。
逃げずに白3なら、隅の白地に限れば9目も違ったのですが・・・。
形勢が苦しい中でのポカには心が折れかけました。



4図(実戦)
下辺白大石に眼が無く、白×も心配です。
しかし、安全第一で打っていては勝ち目が無さそうなので、白6まで反撃したのは必死のところでした。
とは言え、ここから白×を取りにこられたら、刺し違えで黒×を取ってもダメだった気がします。
実戦は黒が自重しましたが、両方の白石を凌ぐことに成功しては逆転したようです。
ほぼ全局を通して苦しい碁でしたが、運が良かったです。



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10/5の対局

2020年10月07日 23時00分01秒 | 対局

<本日の一言>
明日は天元戦博多・カマチ杯準決勝が行われます。
どちらも日本棋院ネット対局幽玄の間での中継があり、天元戦の方は伊田篤史八段の解説付きです。
博多・カマチ杯の方はYoutubeの日本棋院囲碁チャンネルでも配信されます。
また、女流棋聖戦本戦1回戦の上野梨紗初段(14)-仲邑菫初段(11)戦も幽玄の間で中継されます。
ぜひご覧ください。



皆様こんばんは。この碁で後悔する手はあまり無かったのですが、右辺の折衝で大きな反省点がありました。
本日は10/5に碁聖戦予選で王立誠九段(61)と打った碁を振り返ります。

1図(実戦)
私の白番です。
ここで素直に白Aと出るか、白Bと切るかで迷いました。
白Bはなかなか洒落た手で、続いて黒C、白D、黒E、白Fという進行になるでしょう。
地を得しながら右下白を治まり、右上白も生きさえあれば良いという、かわす打ち方ですね。
ただ、後に黒A、白Gと利かされると黒が厚くなってしまうのが嫌で、実戦は白Aと出ました。
実は、理由はもう1つあったのですが・・・。



2図(実戦)
それは、右辺黒は黒Aの利き筋があっても、まだ生きていないだろうということです。
しかし、平然と放置されて愕然としました。
読んでみると明らかに生きています。
黒AとBの2つの利き筋があり、ギリギリまで決めないのがポイントですね。
ポカと言えばポカですが、基本的な確認を怠ったことによる失態と考えるべきです。



3図(変化図)
白1の置きが急所ですが、黙って黒2と受けておいて大丈夫です。
黒6まで、AとBが見合いで白が困ります。



4図(変化図)
また、利き筋を無くす白1には、黒2と急所に守って生きています。
一応セキで黒地0にはできますが、大した利益ではありません。
しかも、うっかり黒Aの当てから黒Bと抜かれたりすると、8目の黒地ができてしまうリスクもあります。

死活の間違いは致命傷になることも多いです。
しかし、前提条件を見誤っていたものの、私が打った手は自体は悪手ではなかったようです。
今回は運が良かったですね。



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本日の対局

2020年08月24日 22時06分31秒 | 対局

<本日の一言>
明日から名人戦七番勝負が始まります。
芝野虎丸名人・王座・十段(20)に井山裕太棋聖・本因坊・天元(31)が挑戦する
、まさに頂上決戦ですね。
名勝負を期待しましょう!



皆様こんばんは。
昨日はお休みしました。
さて、本日は天元戦予選で王立誠九段(61)と打った碁を振り返ります。
なお、この対局は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されました。

1図(実戦)
私の白番です。
白△のハネは手筋で、白Aの切りを脅かしつつ黒×にプレッシャーをかけていますが・・・。



2図(実戦)
なぜか黒1~5が頭から抜け落ちていました。
白Aと取ってコウですが、コウ立ては黒に多いです。
わざわざ勝てないコウを作ってしまうとは・・・。



3図(実戦)
結局、黒10までとなって外がボロボロです。
これで勝てない碁になりました。



4図(変化図)
そもそも、黒1と守られた時点で深追いをやめ、白2、4と隅を守っておくべきでした。
黒5ともう一手かけるなら、そこで右上隅に手を付け、実戦より優ることは明らかです。
これなら悪くない形勢だったと思います。

本局は考え無しに打ってしまった悪手がいくつかありました。
集中力が足りません。



☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

日本棋院有楽町囲碁センター・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています。今後の担当日は8/12(水)、8/26(水)、9/11(金)です。

永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。今後の活動拠点となります。

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