白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

第6期武蔵小杉最強リーグ

2023年01月18日 23時53分41秒 | 永代塾囲碁サロン

皆様こんばんは。
本日は直前になってしまいましたが、1/22(日)に開幕する第6期武蔵小杉最強リーグについてお知らせします。

第5期はこのような結果でした。
一部終わっていないところがありますが、全て消化して第6期を迎える予定です。
第6期の詳細は下記の通りです。


開催日:毎月第4日曜日
開催期間:2023年1月~3月
スケジュール:1局目 13:10~15:10
       2局目 15:20~17:20
       白石勇一の大盤解説 17:30~
会費:1期5000円(サロン利用料は別途必要)
   白石勇一の指導碁料を含む
手合割:点数制(1点差1目)
    持ち点は成績により変動あり
ハンデの上限:3子白9目半コミ出しまで
持ち時間:各60分、秒読み無し

点数制のリーグ戦となっており、勝ち越し、負け越し1つにつき1点変動します。
私は点数変動が無く、表彰にも入りませんが、真剣勝負として対局しています。
なお、欠席される場合は事前にお知らせ頂ければ別の日に対局して頂くことも可能です。

第6期は私を除いて10名の方の参加が確定しており、2リーグ制で開催する予定です。
枠には余裕がありますので、ぜひご参加頂ければと思います。
お申込み・お問い合わせのメールはgotanda@igoshiraishi.comへよろしくお願いいたします。



さて、それでは最強リーグの対局に現れた場面をご紹介したいと思います。
私の白番です。

1図(テーマ図)
白△と押さえた場面です。
下辺の戦いが焦点ですが、次の一手は?



2図(失敗)
形を見て反射的に黒1とハネてしまう方、結構多いのではないでしょうか。
先手で黒×を助けることができますが、逆に白2を先手で打たれるマイナスが大きいのです。
この後黒Aと押しても利きませんし、白Bとカケる強硬手段すら成立するかもしれません。
かと言って黒Cとコスむのではへっぴり腰で、白に対する迫力がありません。



3図(正解)
ということで、黙って黒△と押すのが正解です。
次に黒Aと出る手があるので先手になります。
今大事なのは黒×を助けることでも地を得することでもなく、白×との競り合いで遅れを取らないことです。
この押しが逃せない急所でした。



4図(正解)
白1でAと切ると、さらに黒Bの当てを利かされてしまいますから、白1と受けるぐらいのところです。
そこで、押しを生かして黒2、4と打ってみたいところです。
本図の進行は黒の形が良く、目一杯に白に迫ってもいます。
2図の進行とはだいぶ雰囲気が違いますね。

形の良い手でも、目的にそぐわない場合は疑問手になってしまうことがあります。
全局を見渡して、しっかり状況を判断しておくことが大切です。



永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。2020年7月から共同経営者になりました。

☆「やさしく語る」シリーズ、好評発売中!
現在、「やさしく語る 碁の本質」 「やさしく語る 布石の原則」 「やさしく語る 碁の大局観」 「やさしく語る 棋譜並べ上達法」の4冊を出版しています。
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棋聖戦第1局感想

2023年01月13日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等

皆様こんばんは。
本日は棋聖戦第1局の2日目が行われました。
対局の模様は読売新聞や日本棋院ネット対局「幽玄の間」、Youtubeの日本棋院囲碁チャンネル等でご覧ください。

1図(封じ手予想)
まずは私の封じ手予想を再掲します。
パっと見は白Aが良い形で、攻撃的にいくなら白Bもありそう、しかし結論は白Cとなりました。
さて、結果はどうだったかと言うと・・・。



2図(封じ手)
正解はDの白△でした!
これは完全に予想外でしたね・・・。
石の形としては普通ですが、左上黒全体に対する攻撃力に乏しいため、一瞬で候補から外してしまいました。
白×も同様です。



3図(実戦)
黒1と換わってから、候補に入っていた白2と打ちました。
後に白Aと打てば黒×を取ることはできますが、左上の強い白から地を増やすだけの手なので価値が低いです。
しかし、一力遼棋聖はもっと深いところを見ていました。



4図(参考図)
左下には、黒2子を黒1~5と逃げ出す狙いが残っています。
しかし、Aの断点が残っていれば、決行が難しくなるというわけですね。
これは凄いと思いました。
と言っても、この読みが凄いというわけではありません。

まずこの図を改めて見て頂くと、白にはほとんど弱い石が無いと感じられると思います。
左右に分かれた白の左側だけは死にが残っていますが、白Bと打てばすぐに生きられます。
一方、逃げ出した黒には眼がありません。
つまり、もともと黒1と逃げられても白が有利な戦いなのです。
リスクと言えば少し地が減ることだけですね。

大きなリスクに備えておくことは、プロとしてごく当たり前のことです。
仮に、黒1と逃げられると白が攻められてしまうような状況であれば、誰しもしっかりと対策を用意しておきます。
ですから、封じ手のような手も当たり前に打つことができるでしょう。

ところが、これが小さなリスクとなると、つい軽視してしまいがちです。
しかし、一力棋聖にはそれが当てはまりません。
小さいリスクと言っても、摘んでおけば僅かでも勝率が上がるということで、そのための努力を惜しみませんでした。
その最善を尽くす姿勢は見習わなければいけませんね。


結果は一力棋聖の中押し勝ちとなりました。
比較的楽な気持ちで打てると言われる第1局ですが、思ったより落ち着いた展開だったと感じました。
やはり芝野虎丸挑戦者は、初めて名人になった頃に比べて大分棋風が変わったようですね。
シリーズ全体としても、じっくりした勝負が多くなるのではないでしょうか。



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棋聖戦第1局封じ手予想

2023年01月12日 22時19分31秒 | 囲碁界ニュース等

皆様こんばんは。
本日、棋聖戦七番勝負が開幕しました!
井山さんのいない棋聖戦は久しぶりですね。

1図(打ち掛け局面)
右辺黒69と仕掛けてからの攻防が面白かったですね。
さて、芝野虎丸挑戦者が黒△と打ったところで打ち掛けとなりました。
一力遼棋聖が次の手を封じて1日目終了です。

ぱっと目についた手はA~Cの3つです。
まず白Aはよくある形で、白2子を補強しながら上辺の黒模様を制限しています。
白Bは黒の薄みを衝いて戦いを仕掛けようという手ですね。
そして右下白Cも大きいです。



2図(封じ手予想)
封じ手予想は白△です。
白×が助かるだけでも、地として非常に大きいですね。
また、白全体の眼が厚くなるという副次的効果があり、黒×を根こそぎ担ぎ出されるようなことになっても安心です。
いわゆる「保険」ですね。

明日も熱戦を期待したいと思います。



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謹賀新年

2023年01月01日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

昨年は本を1冊出すことができましたが、それ以外は何もない1年でした。
ただ、複数のお客様がそれぞれの目標を達成することができたので、それは素直に嬉しいですね。
私も今年はしっかりと目標を設定して頑張りたいと思います。

さて、それでは毎年恒例の棋譜紹介をしていきましょう。
本因坊秀栄と村瀬秀甫の十番碁第6局です。
実は他に予定していた碁があったのですが、書き進めているうちに違和感があり・・・。
もしやと思って調べたところ、昨年にご紹介していました
新年早々に大ポカをやらかすところでしたね。

1図(実戦黒1~白20)
手合は秀栄の定先です。
白2の星打ちは現代人からすれば何でもない手ですが、かつては小目ばかりでした。
初めて星を多用したのは秀栄だと思いますが、実は同門の先輩である秀甫や秀策も時々打っていて、さらにその大本は彼らの師匠の秀和です。
秀和は非常に工夫が多く、毎回違う碁を打つのですが、そこから学ぶものは多かったことでしょう。
秀甫の「打ちたいように打つ」精神は、秀和から受け継がれた部分も大きいような気がします。

さて、その打ちたい手第一弾が白20です。
この手では白Aと打ち、左下白2子を強化するのが自然でしょう。
あるいは、左上白Bと滑って、黒2子の攻めを狙うのも魅力的です。
しかし実戦の白20は、黒Aと進出されると左右の白が薄くなってしまいます。
皆様の中にも、違和感を覚える方は多いのではないでしょうか。



2図(実戦黒21~白42)
案の丈、黒13から頭を出されました。
しかし、白18まで下辺を目一杯に頑張り、左辺は白22まで形を作れば大丈夫と主張しています。
皆様は真似をしない方が良いでしょうが、秀甫は打ちたいように打っていますね。
それで一局をまとめられる自信もあるのでしょう。



3図(実戦黒43~白50)
この碁を並べて衝撃を受けたのが、黒5に対して白6とかわした手です。
この手では、白7と出て分断するのが普通の発想で、多くのプロはノータイムで打つのではないでしょうか。
しかし、秀甫としては打ちたい手があったので、そのためにここを早く切り上げたかったのでしょう。

その打ちたい手第二弾が白8の肩ツキです。
黒Aと受ければ、白B、黒C、白D、黒E、白Fと進み、白は素晴らしい外勢を得ることができます。



4図(実戦黒51~白76)
そこで、黒1と押して反発しましたが、白2のコスミ込み!
強引に黒を分断していきました。
白16のアテコミも鋭い手で、21と23の断点を強調しながら眼を奪う狙いです。
結果白26まで、右上黒一団に対する攻めの態勢が確立されました。

いかがでしたか。
「良くないかもしれないが、これで一局打ってみよう!」といった考え方は、勝ち負けに関しては損になることもあります。
ですが、対局を魅力的なものにしてくれることも確かだと思います。



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