白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

NHK囲碁講座1月号

2020年12月24日 23時59分59秒 | 書評

<本日の一言>
今年もクリスマスは中止になりました。



皆様こんばんは。
本日は雑誌の紹介をします。

皆様ご存じの「囲碁講座」ですね。
教育テレビで放映されている囲碁フォーカス、NHK杯のテキストとしての役割が主になっています。
番組内容をより良く理解するための助けになってくれるでしょう。



今月は巻頭に芝野虎丸二冠(21)の写真付きインタビューが掲載されています。
ファン必見ですね。



また、付録として32ページの冊子が付いてきます。
私も以前「白石勇一の棋譜クリニック」を1年間連載しました。
現在は囲碁講座の過去の記事を振り返る企画が進行中です。



目次です。
私の年齢で言えば、5歳~11歳ぐらいの時期ですね。
碁を覚えたのが9歳なので、囲碁界のことは全然知りませんでした。



当時から強い女子は少なくなかったようです。
環境の変化もあり、最近はプロでもトップを狙える人が増えてきましたね。
ところで、この写真を眺めていると頭が痛くなってくるのはどういうわけでしょうか・・・。



☆各所で指導碁や個人レッスンを行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

日本棋院有楽町囲碁センター・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています(現在お休み中)。

永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。2020年7月から共同経営者になりました。

白石囲碁教室・・・2020年6月末に閉鎖しました。現在は永代塾囲碁サロンでの指導碁情報をお知らせするページになっています。

上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。五反田会場は閉鎖しました。

☆「やさしく語る」シリーズ、好評発売中!
やさしく語る 碁の本質」 「やさしく語る 布石の原則」 「やさしく語る 碁の大局観」 ・・・現在、「やさしく語る」シリーズを3冊出版しています。

※4作目「やさしく語る 棋譜並べ上達法」が、2019年8月13日に発売されました!

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書評・第22回 ななろのご

2019年08月16日 23時59分59秒 | 書評

<本日の一言>
坂井秀至八段が医師に転進するというニュースがありました。
七大タイトル(碁聖)を獲得した棋士としては異例の決断ですね。
しかし、いずれそういうことも珍しくなくなるかもしれません。



皆様こんばんは。
今回は囲碁入門キット「ななろのご」をレビューしたいと思います。
本ではありませんが、本屋の囲碁コーナーにも置いてあったりするのでねじ込んでみました。
四谷大塚などで、ななろのごを使ってどのように囲碁を教えているかをご紹介します。

なお、今回は非常に画像の量が多いです。
本来動画でやるべきなのですが、まあ一度ぐらいはブログの記事にしてみるのも良いでしょう。

外観です。
立体感がありませんが、真上から撮ったのは失敗でしたね。



中身はこんな感じです。
盤と石に加え、入門用のルールブックが同梱されています。
ちなみに、石と言いましたが実際は駒ですね。



ルール①人参の上に順番に置ける

この一言で済んでしまいます。
3歳の子供でも間違えようがありません。
視覚的に分かり易いということは、ななろのごの最大の強みですね。
なお、赤を黒石に、黄色を白石に見立てているので、赤から先に置くことになっています。



余談ですが、駒の置き方には、碁石の打ち方以上に性格が表れるのではないかと思っています。
赤は交差点の真ん中にきっちり置き、向きも揃えている几帳面タイプ。
黄色は細かいことを気にしない、大雑把なタイプですね(笑)。
皆様はどちら側でしょうか?



ルール②道でつながるとグループになる

碁盤には道があります。
白い部分がそれですね。
交差点の真ん中に人参が置いてあります。
そして、緑の部分は建物と考えて頂くと分かり易いでしょう。



ということで、このようになると赤と黄色、2匹ずつの馬はそれぞれグループになります。
道でつながった状態ですね。



この画像では、赤の馬は離れすぎているのでグループになっていません。
また、黄色の馬も近いようですが、道でつながっていないのでグループではありません。
緑の建物を挟んで反対側にいると考えれば、つながっていないことは分かり易いですね。



しかし、このように置くことによって、バラバラだった馬たちが3匹で1つのグループになります。

囲碁においてグループ作りは非常に大切ですが、慣れないと実戦ではグループができているかどうか気が付きにくいものです。
その点、よんろのごでは視覚的に補助してくれるので理解が進みやすいですね。



ルール③相手の馬は囲むと取れる

単純なルールですが、入門者は意外と苦戦するものです。
取れるのに気が付かなかったり、まだ取れていないのに取ろうとしてしまったり・・・。
その見分け方ですが、馬の隣に人参が見えているかどうかということになります。
右上は4本、左上は3本、右下は2本ですね(斜めが気になるかもしれませんが、建物を挟んでいるので見えません)。
1本でも見えていれば取られませんが・・・。




このように周りを囲まれ、人参が一本も見えなくなると馬は取られます。



この状況では、黄色の馬は人参が一本しか見えませんね。
そこに赤の馬を置かれると取られますが・・・。



そこに黄色の馬を置くことで救出できます。
2匹のグループは、人参が3本見えるようになり、取られにくくなりました。
これがグループ作りの効果です。



ただし、その3本の人参を全て隠されてしまうと、グループごと取られてしまいます。
人参が見えなくなれば、何匹のグループでも取られます。



ルール④囲まれる所には置けない
※ただし・・・

黄色の馬を、丸で囲んだところに置くとどうなるでしょうか?
人参が一本も見えないので、置いた瞬間に取られてしまいますね。
このような場所は、黄色にとっては着手禁止点です。



ではこの黄色の馬はどうかと言えば、どちらも置くことができます。
青で囲んだ所に人参が見えますからね。
ただし、その残っている所に再度黄色の馬を置くことはできません。



では、ここで赤は丸で囲んだ所に置けるでしょうか?
囲まれる所には置けないというルールからすれば、置けないように思えますね。
しかし、このルールには但し書きがありまして、それは相手を囲めるときは置けるというものです。

四角で囲んだ、黄色の馬のグループに注目してみましょう。
人参が一本しか見えていないので、そこに赤の馬を置かれると囲まれますね。
つまり、そこは置いても良い場所なのです。



置いた結果はこうなり、黄色の馬だけが取られました。



では、ここに赤の馬を置けるでしょうか?
黄色の馬に囲まれている所なので、置いた瞬間に人参が見えなくなりますね。
しかし、一方で黄色3匹のグループも人参が見えなくなります。
つまり、相手の馬を囲めるところでもあるので置くことができます。



結果はこうなります。
黄色3匹のグループを取ることができました。



ルール⑤相手の置けない人参は自分の得点

赤の馬は黄色の馬が囲った人参の上に置けませんし、黄色の馬は赤の馬が囲った人参の上に置けませんね。
このような、相手が置けない所が自分の得点になります。
黄色が7、赤が8ですね。
ただし、得点になるものはもう1つあり、それは取った相手の馬です。
黄色は赤の馬を6匹、赤は黄色の馬を7匹捕まえていますから、それを加算します。
つまり、黄色は7+6=13、赤は8+7=15というのが本当の得点になります。
囲碁はこの得点を競うゲームです。

では、いつ得点を数えるかと言えば、それは対局が終わったときということになります。
具体的には、お互いに続けてパスをした時です。
囲碁は最終盤になると、自らマイナスを生むような手しか無くなってしまいます。
そういうときはパスした方が良いのですが、相手も同じ状況になってパスをすれば、そこで対局の進行は終わって点数計算をすることになります。

例えば、この盤面の状況では、お互いに自分が囲った人参の上にしか置けませんね。
しかし、そうすると置けば置くほど自分の点数を減らしてしまいます。



お互いに6つずつ置いてみましたが、結果はご覧の通りです。
すっかり点数が減ってしまいましたね。

まあ、それだけで済めばまだしもですが、大きな問題に直面します。
黄色の馬は全てグループになっていますが、人参が一本しか見えなくなっていますね。
これが意味するところは・・・。



こうなってしまうということですね・・・。
赤の方も、もしもう1個人参が埋まっていれば同じことになっていました。
置き続ければ最終的には必ずこうなるので、両者共に最後は必ずパスをすることになります。



慣れてくると、このような状態でも両者がパスをして終局するようになります。
相手が囲んでいる所に置くこともできますが、最後には取られるのでやるだけ無駄というわけです。
このぐらいまでいけば、入門クラスを抜けて初心者になった感じでしょうか。



さて、ルールを覚えたら後は対局練習あるのみですが、最初はある程度駒を並べた状態から始めます。
こうするとお互いにグループが作りやすいので、点数計算までの流れがスムーズになるのです。
何も置かずに始めると、どちらかが全滅したりして点数計算どころではなくなりますからね・・・。
むしろこのぐらいでも結構全滅が起こるので、実際には置いておく数をさらに増やすことも多いです。

なんと言っても、入門イベントでは時間が限られていますからね。
少しでも多く点数計算までの流れを経験して貰いたいのです。
1回終わるごとに置石を減らしていき、最後には何も置かない状態で始めても大丈夫になっている、というのが理想です。
もっとも、ある程度終局に慣れた子でも、何も置かないと全滅してしまう可能は常にありますが・・・(笑)。



練習対局中の見回りでは、対局をスムーズに進めることを最優先にアドバイスします。
入門者同士の対局では色々なことが起こりますからね。
例えば、こんな状況から・・・。



なぜかこんなことになっていたりします(笑)。
グループのことを忘れてしまっているのですね。
この認識のまま対局が進むと大変なことになります。

後は馬を取れている所の指摘ですね。
いきなり教えるのではなく、まずヒントをあげることが多いですが、ともかく気付いて取り上げて貰わなければいけません。



放置していると、こういうことになりますからね。
どちらが取っているのでしょうか・・・。
じゃんけんで決めるという手もありますが、どうにもならないこともあります。
こんな状況になる前に、取り忘れはしっかり指摘しておきたいものですね。


さて、長くなりましたが私は大体このように指導しています。
ななろのごを使う場合もあれば、碁盤と碁石を使うこともありますが、どちらでも教え方自体はほとんど同じです。
ななろのごは非常に分かりやすく、大人にもおすすめしたいですね。
難点としては、数を揃えるにはお金がかかってしまうことでしょうか。

学校での指導では、プラスチックの碁盤と碁石を使うことが多いですね。
そして、お土産には紙の碁盤と碁石のセットをプレゼントというのがパターンになっています。
大塚製薬がスポンサーなので、日本棋院とカロリーメイトのロゴが入った碁盤です。
相当な数の碁盤を配れているはずで、ありがたいですね。


ちなみに、この記事を書くために相当な時間がかかりましたが・・・。
動画なら10分で済みますね。
普段の記事も、動画を利用すればかなり労力を減らせそうです。
ずっと前から考えているのですが、いずれ導入していきたいですね。




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日本棋院有楽町囲碁センター・・・JR有楽町駅前の交通会館9Fです。毎月1回、指導碁当番を担当しています。今後は7月12日(金)、8月5日(月)、9月2日(月)に指導碁を行います。
 
永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。毎月第2土曜日に講座と指導碁を行っています。

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New!上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。私の担当する五反田教室が新たに始まりました。毎週水曜、19:00~21:30です。

 

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書評・第21回 流水秀栄

2019年07月08日 23時59分59秒 | 書評

<本日の一言>
仲邑菫初段、10歳4ヶ月にして公式戦初勝利!
当然ながら最年少記録です。
対局の模様は囲碁プレミアムにて中継されました。

また、先月13歳になったばかりの上野梨紗初段も初勝利を目指していましたが、タイトル経験者の新海洋子五段に敗れました。
上野初段の実力を考えると、棋士人生でワーストになりそうな内容でしたが、これも年月が経てば良い思い出になるのではないでしょうか。



皆様こんばんは。
本日は久しぶりの書評コーナーです。
ちなみに、今までの記事を見返したところ、第11回が2つあることに気が付きました。
修正して、今回が第21回の記事となります。

さて、今回ご紹介するのは「流水秀栄」です。
現在は出版されていないと思いますが、日本棋院の電子書籍で購入することができます。

本因坊秀栄の碁は、正月の記事でもご紹介しましたね。
あの碁はおそらく秀栄の碁の中で最も有名なもので、当然ながら本書でも解説されています。
出版予定の私の新刊でも扱おうか迷いましたが、有名すぎるゆえに見送りました。
しかし、秀栄の碁は棋譜並べの教材としても非常に優秀だと思います。

秀栄の碁の最大の魅力は、なんと言っても本書のタイトルにもなっているような、流れるような打ち回しにあります。
布石、攻め、捌きなど全てに無理がなく、自然と秀栄の石が良いところに向かっていくのです。
秀栄の碁を学ぶことに、高い棋力は必要ありません。
並べるだけで美しさを感じることができるでしょう。

ただし、それは秀甫没後、第一人者になってからの話です。
それ以前は地力は非常に高いものの、垢抜けない印象の碁を打っていました。
ですから、秀栄は晩成の棋士と言われています。
秀栄最高の作品は40代~50代で生まれており、現代の棋士とはずいぶん違いますね。
体力が落ちていく中でも実力を向上させていくということは、それだけ碁の研究に打ち込み続けたことを示しています。

ここまで書いてふと気付きましたが、秀栄評ばかりで書評になっていない気がしますね・・・。
本書の著者は高木祥一九段です。
高木九段は古碁に精通していることで知られており、豪腕丈和の著者でもあります。
研究も深いですが、なんと言っても名手たちへの愛が凄いですね。
本書の解説を読んでいると、かつての高木九段自身の驚きや感動も感じることができます。
それもまた棋譜の魅力を引き立てていると思います。

私にとって、秀栄は秀甫と並んで最も好きな棋士です。
皆様にもぜひ棋譜並べをおすすめしたいですね。

 


☆各所で指導碁を行っています。皆様のお越しをお待ちしています。

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永代塾囲碁サロン・・・武蔵小杉駅徒歩5分です。毎月第2土曜日に講座と指導碁を行っています。

白石囲碁教室・・・五反田駅徒歩4分です。指導碁や個人レッスンを行っています。

New!上達の約束・・・上達の約束は、お客様の都合に合った会場を選べる回数制のレッスンを行っています。私の担当する五反田教室が新たに始まりました。毎週水曜、19:00~21:30です。
 
 
☆「やさしく語る」シリーズ、好評発売中!
 
やさしく語る 碁の本質」 「やさしく語る 布石の原則」 「やさしく語る 碁の大局観」 ・・・現在、「やさしく語る」シリーズを3冊出版しています。4冊目の出版も見えてきました。
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書評・第20回 一手ずつ解説! 碁の感覚がわかる 棋譜並べ上達法

2019年01月25日 23時59分59秒 | 書評

<本日の一言>
来月、SENKO CUPワールド碁女流最強戦2019が開催されます。
韓国の崔精九段、中国の於之瑩九段という世界最強を争う2人も参加します。
日本の女流棋士たちがどこまで戦えるのか、楽しみですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は本をご紹介したいと思います。
大橋成哉七段の「一手ずつ解説! 碁の感覚がわかる 棋譜並べ上達法」です。

棋譜並べは、碁の練習法として代表的なものの1つですね。
これを勧める指導者は少なくありません。
しかし、正しい方法で棋譜並べをしている方は少ない気がします。

私は子供の頃から棋譜並べに取り組んできました。
教室にプロの棋譜が置いてあり、それを並べるのが課題になっていたのです。
ただ、やってみたことのある方はお分かりかと思いますが、200手や300手ある総譜を並べるのは非常に大変です。
「数字探し」の時間が大部分を占めてしまうのですね。
当時の私は、その無駄を悟りながらも多くの棋譜を並べていましたが・・・。
今思えば、勿体ない時間の使い方をしたものだと思います。

そんな経験もあり、「高段者になるまで棋譜並べは必要ない」と考えていた時期もありました。
しかし、アマの皆様に指導をする機会が増えるにつれ、考え方が変わってきました。
やり方が間違っていただけで、棋譜並べそのものは有効な勉強方法だと思います。
棋譜というものはお手本であり、棋譜並べはお手本を見ながら字を書くようなものです。
最初は見よう見真似であっても、練習を繰り返していくうちに正しい形やバランスが身に付いていくのです。

しかし、碁は非常に奥の深いゲームであり、打つ度に違う展開になります。
いくら良い形を打ったとしても、周囲の状況によって上手くいかなくなることはよくありますし、未知の形ができた時にどうすれば良いか分からなくなってしまうこともあるでしょう。
そうならないためにも、「正しい考え方」を身に付けることを意識しながら棋譜並べに取り組む必要があるでしょう。
手順だけ書いてある棋譜をひたすら並べるという勉強法は、天才にしか通用しないと思います。

その点、本書は1手ずつ解説という画期的な内容になっています。
185手の棋譜なら、185のコメントが付いているのです。
そこまでやるか? と思うぐらいですね(笑)。
また、1譜に付き5手しか表示されていないので、数字探しに時間を取られることがありません。
これも非常に大切なことで、勉強には非効率な作業やストレスは不要です。

昔の勉強法は根性論的なところがあり、棋譜並べも「最初は時間がかかっても、早く並べられるようになるまで慣れれば良い」といった意識があったように思います。
確かに、慣れれば当初の数倍のスピードで並べられるようにはなりますが、数分の一になったとしても無駄な作業が発生することには変わりないのです。
もちろん、ただ早く並べれば良いというものではなく、対局者がどこに打ったかを予想しながら並べることも大切です。
しかし、ごちゃごちゃした棋譜の中から目をこらしながら着手を探す作業は、ただの徒労でしかありません。


今までに棋譜解説の本は沢山出ていますが、棋譜並べと上達法をしっかり結び付けた本は少なかったと思います。
ならば私が書こうと言っていたのですが、モタモタしているうちに先を越されました(笑)。
私の本が出るまでにはまだ時間がかかりますから、まずはこちらをご覧頂ければと思います。
最近は若い棋士の本が多く出るようになりましたね。
出版事情がだいぶ変わってきたかもしれません。

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書評・第19回 すぐに使える 星の死活徹底ガイド

2018年11月21日 23時59分59秒 | 書評

<本日の一言>
明日と来週に対局があります。
今年も残り少なくなりましたが、最後まで全力を尽くしたいと思います。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日はこちらの書籍をご紹介します。



村川大介八段の「すぐに使える 星の死活徹底ガイド」です。
その名の通り、星打ちから派生する定石・型についての死活の知識がまとめられた内容になっています。
互先はもちろんですが、特に置き碁で活躍の機会が多いでしょう。
なにしろ、石を置くにしろ置かせるにしろ、必ず星が打たれますからね。
本局で採用されているテーマ図をいくつかご紹介しますと・・・。



<1図>
お馴染みの三々入り定石から派生する死活です。
初めて学んだ定石がこれという方は多いでしょう。
にもかかわらず、この隅の死活を正しく理解できていない方は少なからずいらっしゃるようです。
生きているのに手を入れてしまったり、何かの拍子に死んでしまったり・・・。
定石の理解に関して、死活は最重要の項目ですから、しっかりと押さえておきたいですね。





<2図>
星からコスミツケを打った形への三々入りです。
これも互先、置き碁を問わず、頻繁に現れますね。
そして、毎回対応策を間違える方も多いです。
毎回間違えるということは、下手をすればこれだけで棋力を1つ2つ落としている可能性すらあります。
恐ろしいですね。





<3図>
カカリへの1間挟みからの変化ですね。
私が指導碁を打っていると、白1と打ち込む状況は珍しくありませんが・・・。
大半の方が、この後の変化をマスターしていないのです。
生きるか死ぬかコウか、といったことを知らない方も珍しくありません。
はっきり言って、それでは定石を覚えた意味が無いと言えます。


本書はこのように、実用性の高いものばかりが収録されています(コメントは私のものです)。
死活絡みの知識は、決してマイナスになることがありません。
また、それぞれのテーマ図が独立しているので、一部分だけ読んでも全く問題がありません。
万人に役立つ内容と言えるでしょう。

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