きれいなきれい〈田添公基・田添明美のブログ〉

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会話      田添明美

2021年06月30日 10時41分33秒 | 「いたずら」田添明美

つまり会話の解禁をしよう
返事は?
聞こえました
黙っているのは 辛かった
待っていました
できれば 普通の感じで
最近はどうなの とか
それではお元気でとか
そういう感じで 進めてほしい
では、聞こう 元気だったか
いや、しゃかしゃか振っても 元気じゃない
ちかちか戻ってこいよ
いや、もう戻るよ
待て 論外だ
承服しかねる
あ、これじゃない
話は、はなから かみあわず
(十分休憩)のうちに
誰も、いなくなっていた

テーブルの上には
紙皿や紙コップが あるばかり

机の上には 録音テープが回っている
「解明も証明も定義もしないのが
 普通の会話です」

全くだ
もう用は済んだのに
なんでもいいから 縋りたかったのか
言葉がこぼれて 回転している
まるで、
沈黙の全てを
肯定したかのように

           R3.6.1

 

 


ハンカチ     田添明美

2021年06月29日 11時05分07秒 | 「いたずら」田添明美

嫁をもらうのは いい
うちの嫁は、  いいぞ
なんといっても 二十代だし

大体、うちで 母の日が始まったのは
嫁がプレゼントを渡しにくるように、なってからだ

眼は大きいし
年子の子育てに 奮闘し

母の日のプレゼントを届けに来た あと

え 今年、七十才だったの)
と息子から 聞くと
「A」とイニシャルを入れた
うす紫の生地に小さなレース飾り付きの
ハンカチを、息子に持たせた

一挙に うす紫の人に、なりたくなる(α

(感動した
 イニシャル入り 初めて)とメールすると
(直接 渡したかったのですが)と返事がくる

息子は ハンカチは 使わないだろう
    花柄の方が いいだろう
と言ったが
嫁は これを選んだ と言う

直ぐさま
七十才記念○月○日に頂く と記し、
ていねいにその 箱を仕舞った。

あゝ
嫁は いいぞ
   いいぞ
私も嫁だったはずだが もう、
忘れてしまった

友人達は「嫁は」と言うが、
嫁をもらい
そうして、同時に嫁別称子供を、迎え
(私、本当のことをいうと
嫁とは呼ばず、
(息子の奥さん‥‥
(みずきちゃん)と呼んでいます


           R3.6.1

 

 


燈心草       田添明美

2021年06月28日 20時03分22秒 | 「いたずら」田添明美

子供の頃、「燈心草」という言葉を知り
どんなにきれいな花だろうと
うっとりと想像していた。

それを、すっかり忘れ、先程PCで検索したら

「イグサは、単子葉植物イグサ科の植物である。標準和名はイ。
 最も短い標準和名としても知られている。別名:トウシンソウ。
 畳表を作るのに使われる。」

とあり、なんと画像は、稲・麦より、ただの草!

夢/やぶれる。
見ぬもの清し。

                R3.6.28


人人      田添明美

2021年06月28日 10時20分44秒 | 「いたずら」田添明美

人に 入った人が
ひと、りごとを言った

(人から 出たばかりの人は
 ばかに あかるんでいた)

あかるんでいた人は
ふいに
息をひそめ
見ていたのか
と 確かめた

人に 入ったり
人から 出たり
おゝ
 ばかに 忙しい日日よ

人人は
口口に
言い合いぃ  ぃ し、語り継いだ
     ぃぁ
後世に


          R3.6.27


とかげ     田添明美

2021年06月28日 10時18分30秒 | 「いたずら」田添明美

屋外で、
煙草を 吸っていると

この頃、とかげを見る
全長二十センチ弱
細い茶色の体の半分以上が しつぽで
細い細い



が 長い
時折 ぺしゃんこにした 胸を波立たせる

やあ、 「ビル」
また会ったね
あいさつしようとする と
するっ と
日陰に消える

とかげよ
とかげ、
お前の寿命は わたしと共に
       短いか
お前の人生は 楽しいか

光ありき
今日も 陽が照っている
日陰から そっと 出て
陽射しを 浴びたとかげは
わたしに 見られさえしなければ、

たぶん
うっとりと 陽を浴びているのだろう

きろっと 目をむき
舌を ちろちろさせ
(陽は あたゝかい‥‥)
ひとときの
日光浴を するだろう

いつも その 邪魔をして、すまない)が

この ひととき、を

共存しよう

 

           R3.6.1

                         *「」内「不思議の国のアリス」に
          登場する・とかげの名 

 

 


問う      田添明美

2021年06月27日 09時59分40秒 | 「いたずら」田添明美

「これが、現実なのよ」
指が 現れ、
指し示す

途端に
現実は反転し 鏡文字のようになり
だぶって見えた

これは、
断固
拒否します
拒否したいと 思います
拒否したいと 願います

これでいい、
これでいい?

現実に 問うと
現実は ひそやかに
「ピーターラビット」のように
片目を つむってみせた

―――――――   いつの間にか
呪われた
指は、消えていた


           R3.6.27
  
 


応      田添明美

2021年06月27日 09時57分30秒 | 「いたずら」田添明美

帯のように
質問者が 連なる

月が、亘りかけている

さわさわと
質問者の数は 増え
部屋が 膨らんでいく

わたしは 今、
あの、野原へ行きたいのに
迎えは
もうじき来る はずなのに

くっきり
午前 零時だった
一日が始まる 時刻だったが
睡る時刻の はずだった

次から次へと 湧くように
質問が 入る
最後に ひとつ

「本当に欲しいものは、何ですか」

「これ以上、求めないで下さい」

と 応えた瞬間(とき)、
母が残した一枚の
わたしの顔写真、
失格の 娘だったのに
母が密かに
(このような、あなたであって欲しい)と願った写真、
それは、笑いだす前の表情(かお)でした

応は、
すっかり 当たったようだ

その瞬間(とき)
すっかり
すきっ と
自らを紡ぎだす、
あの、懐かしい 遥かな野原に 立っていました

あたり一面
風 にそよぐ花々
光 浴びる者
水浴 する者
歩く 者
睡る 者
共に
笑みを浮かべる前の 表情(かお)をし、

わたしは あなた達で
あなた達は わたしでした、

告げて、いたのです


             R3.5.29

 


カラスウリ

2021年06月27日 09時02分17秒 | 写真画像

「カラス〜,カラス〜,カラスはいらんかね〜♪」のカラス売りは

やって来ないけど,カラスウリの花が咲く時期となりました。

今朝は予報に反して,雨が降っていなかったので,自転車で

和光樹林公園へ行く途中での撮影です。

公園では芝生の広場のあちこちにキノコが生えていました。

肘と膝にプロテクターを装着しているので,地面に

四つ這いになって,ニコンの角窓用変倍アングルファインダーDR-6を

使って撮影。

 

 

 


ごめんなさい       田添明美

2021年06月26日 11時41分11秒 | 「いたずら」田添明美

近所の少し大きめなドラックストアへ行ったら。

背の高い痩せた若い父親が、1才位の女児を
カートに乗せ歩いていて、
その後ろから、3才位の女児が
あわいやわらかな緑のワンピースをふくらませ、
半泣きの話し方で、しきりに父親に
何かを、訴えていた。

(今、お母さんに 会いたいっ
         会わせてください!)
私の耳に入ったのは、彼女のこの叫びからだった。

(お父さんに、やさしくしても
 許してもらえないんですか)
「許さない」

(ごめんなさい)
「謝ればいいと思っている
 なにも、分かってない」
(分かりました
 分かったところです
 それなら、いいでしょうか)
「何も、分かってない」
父親は、締めくくった。

私は、レジに並びながら、
体が、震えた。

幼児の言葉は「青」だけでも困るが、
これは‥‥
たまらなかった。


            R3.6.26