(有)村田牧場通信

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ジェイエス繁殖馬セールでエイシンキルデア号を購買

2019年10月29日 | 情報
10月23日に北海道市場で開催されたジェイエス繁殖馬セールにて、上場№126エイシンキルデア号を落札しました。







本馬の牝系解説文はこちらからご参照ください。

セリ名簿を見ながら下調べに時間をかけて、血統面から数頭ほど候補を絞り込んでいましたが、本馬はそのうちの一頭でした。

当日の馬見を終えた後で購買候補の一頭に挙がっていたのが彼女であり、結果的に落札できたのは幸運でした。

落札額は当セールの平均価格の倍近くになったものの、彼女にはそれだけの価値があると考えています。

セリ名簿上では本馬の甥にあたるスワーヴアラミスが3勝になっていましたが、セール当日を迎える時にはすでに4勝目を挙げていて、その時点でOPクラスになっていることはチェック済でした。





その4勝目が2着馬に6馬身差をつけての圧勝でしたし、セールを終えた現在は次走の予定がG3みやこSということで、今後は重賞路線での活躍も見込める馬です。

また、スワーヴアラミスの全弟デッドアヘッドも勝ち上がった後の3歳1勝クラスで2着していて、この馬もすぐにまた勝てると予想していました。

実際、セールを終えた後の10月27日の3歳1勝クラス(ダ1800)では、2着馬にこちらも6馬身差をつけて圧勝しています。

このように近親が活躍傾向ですが、一方でこれまでの近親の活躍を見てみると、ヘニーヒューズやHarlan's Holiday、さらにはヘネシーやヨハネスブルグといったStorm Cat系種牡馬を父に持つ近親馬が海外で勝っています。

これらの傾向を見る限り、来年以降の配合においては、エイシンキルデアにヘニーヒューズやアジアエクスプレスのようなStorm Cat系種牡馬との配合も選択肢に入りそうです。

この牝系がStorm Catの血を持つ種牡馬と相性が良いのは、この牝系がNijinskyの血を持っているからでしょう。

Storm Catの父であるStorm Birdと、エイシンキルデアの母方に存在するNijinskyの血は血統的に相似関係にあります。





どちらも父がNorthern Dancerで、母の父がBull Page系という点で共通しています。

エイシンキルデアの牝系という観点からすると、彼女の母Balaが持つBuckpasser3×4は非常に良い位置でクロスしていると考えています。





Buckpasserの血はMr.ProspectorやHalo、Nijinskyといった血脈と相性が良いので、それらの血を持つ種牡馬とは相性が良いと推測できます。

また、このBuckpasserという血は、エイシンキルデアの持つBelthazar(Kitten's Joyの母父であるLear Fanの2代母)と相似関係にあるので、Kitten's Joy×Balaから生まれたエイシンキルデアの血統パターン自体が優れていると購買前から感じていました。





この2つの血脈はWar AdmiralとPharamondを持つ点で共通しているほか、上記の5代表ではわかりづらいですがBaba Kenny≒Blue Larkspurによる相似クロスの関係もあります。

Balaの孫であり、Halo系種牡馬のハーツクライを父に持つスワーヴアラミスが活躍傾向にあるのは既述のとおりですが、これはHaloと相性の良いBuckpasserの血がクロスとして母方に存在している点と無関係ではないでしょう。

その意味では、エイシンキルデアもHaloの血を持つサンデー系種牡馬と相性が良い可能性があります。

特にエイシンキルデアの場合、彼女と同じKitten's Joyを父に持つ繁殖牝馬からJRAで2頭の勝ち馬が出ているのですが、それら2頭がいずれもHaloの血を引くディープインパクト産駒である点には注目しておきたいです。

これは、単にエイシンキルデアの牝系がHaloと相性の良いBuckpasserの血を強く持つからというだけでなく、Kintten's Joy自身の血統がディープの血と相性が良い可能性が考えられます。





いずれもHail to Reasonの血を持っているほか、Alzao≒El Pradoという相似関係の血も存在します。

さらには、5代表だけではわかりづらいですが、Cosmah≒Attica≒Cap and Bellsの相似クロスもできる関係にあります。

Kitten's Joyの産駒は、日本においては芝のマイル前後を得意とする産駒が多いですが、この血とディープの血を合わせることで芝向きの産駒が生まれそうなイメージもあります。

エイシンキルデアは現在ディープ系種牡馬のエイシンヒカリの仔を受胎していて、そのエイシンヒカリはStorm Catの血も持っているので、既述の考察からエイシンキルデアとは相性の良い配合だと購買前から感じていました。

骨格がしっかりしていて、馬格も標準体型にあるので、種牡馬次第で様々なタイプの産駒を出しそうな印象です。

すでに当場に到着済みなので、まずは来年の出産に向けて血統はもちろん体質的にも優れた産駒が生まれるように、しっかりと飼育管理していきます。




当場生産馬のメルテッドハニー号が2歳未勝利戦を快勝!

2019年10月27日 | セール上場馬
10月27日の新潟第1Rの2歳未勝利戦(芝1400)に、当場生産馬のメルテッドハニー号(牝、父カレンブラックヒル)が出走しました。





390kgという他馬よりも小柄の馬体をしているメルテッドハニーでしたが、スタートをうまく決めて、道中は好位で先頭集団を見ながらレースを進めます。

最後の直線を迎えると、鞍上の山田騎手がうまく導きながら外に持ち出して、先に抜け出していた3頭を力強く交わして見事に勝ち上がってくれました。

馬主様そして関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は、2018年のサマーセールで現在の馬主様に落札していただきました。

当時の本馬の紹介記事はこちらからご参照ください。


【サマーセール上場に向けた当時の写真(1歳時)】



当時から小柄ながらもバランスの取れた張りのある馬体と、気の強さと賢さを併せ持っていたのが本馬の長所でした。

レースぶりを見ていると、育成場や厩舎関係者の方々の努力により、馬の成長とともにその長所もうまく伸びているように感じます。

新馬戦のときからレースでは毎回懸命に走っていただけに、関係者の皆様のためによく勝ち上がってくれたと思います。

父のカレンブラックヒル同様に、本馬も芝のマイル前後に適性がありそうな競馬をするので、今後もその路線を中心に頑張ってほしいものです。

なお、本馬の勝利により、当場生産馬の2歳世代は8頭がデビューして4頭が勝ち上がったことになります。

勝ち上がっていない4頭についても、全頭3着以内を経験しているので、なんとか1頭でも多く勝ち上がってほしいと願っています。




ローレルクラブ提供馬のベルキューズ号が3歳以上1勝クラスを快勝!

2019年10月05日 | クラブ募集馬
10月5日の東京第7R(3歳以上1勝クラス、ダ1600)に、当場生産馬でローレルクラブ提供馬のベルキューズ号が出走しました。





2番人気で迎えたベルキューズは、前走同様にスタートでは最後方になってしまったものの、前走とは違って大きく置いていかれることなく他馬たちを追走していきます。

道中では徐々に進出しながら中団あたりまで上がってきて直線を迎えると、グングンと伸びてきて最後は先頭の馬を交わして見事に差し切って勝ってくれました。

出資会員の皆さま、優勝おめでとうございます。

いつも良い差し脚を見せながら、あともう少しというところで勝ち切れていなかったベルキューズですが、今日は出遅れながらも鞍上の三浦騎手がうまく乗ってくれました。

調教から乗ってもらってこの馬の気性を掴んでくれていたのも、今日の勝因に繋がったように思います。

今後は2勝クラスということになりますが、現状では牝馬限定レースで実績を上げているので、次走もそういうレースを選択肢に入れる可能性はあるでしょう。

フケが見られることもあったベルキューズですが、ここ最近は以前ほどではない模様。

そういう意味では気性面での成長が窺えますが、それでもレースを見る限り、まだ気性面での課題があるようにも見受けられます。

見方を変えれば伸びしろがあると捉えることもできるので、今後の彼女のさらなる成長に期待したいところです。