(有)村田牧場通信

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当場生産馬のモズベッロ号が高雄特別を快勝!

2019年11月23日 | セール上場馬
11月23日、京都第9Rの高雄特別(芝2400)に当場生産馬のモズベッロ号が出走しました。





2番人気でレースを迎えたモズベッロは、中団で先頭集団を見るようにレースを進めます。

第3コーナーの坂あたりから徐々に先頭集団との差を縮め始めると、最後の直線を迎える頃には外目から差してきて、最後は2着馬に3馬身差をつけて快勝しました。

馬主様そして関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は2017年セレクションセールに当場から上場して、現在の馬主様に落札していただきました。


【セレクションセール上場に向けた当時の写真(1歳時)】



このブログでセールに向けた当時の紹介記事を掲載しているので、興味のある方はこちらからご参照ください。

特別勝ちを収めてくれたモズベッロですが、今年の当場にとって初の特別以上の勝ち鞍となりました。

今日の勝ち鞍でJRAでは計19勝を挙げたことになりますが、これまではすべて平場での勝利でした。

何とか今年のうちに特別以上を1つでも勝ちたいと思っていたところに、今日モズベッロが高雄特別を勝ってくれたので非常に嬉しいです。

厩舎サイドの評価も上々のようなので、馬主様をはじめ皆さんの期待に応えるような走りをこれからも期待しています。




【血統・配合】ラヴァーズレーンの2019(牝 父ホッコータルマエ ターファイトクラブ提供馬)

2019年11月22日 | クラブ募集馬
今回は、ターファイトクラブ当歳馬募集にて当場から提供しているラヴァーズレーンの2019について紹介します。








10月上旬に開催されたターファイトクラブ秋のツアーでは、北海道市場にて皆さんにご視察いただきました。

離乳済みの状況でツアーに参加した本馬は、10月中旬には繁殖本場から1歳分場へ移動。

当初からどっしりとした気性をしていたので、環境の変化にもすぐに順応しました。

牝馬ながら馬格に恵まれていて、当場の当歳馬のなかでは一回り大きな馬になるでしょう。

母ラヴァーズレーンが19歳時に産んだ本馬ですが、母が高齢とはいえ整歯や飼養管理などをこれまで徹底してきているので、高齢馬による産駒の馬体的短所は見られません。

具体的には骨量も牝馬として十分ですし、飼い葉の吸収効率も良く馬体に張りがあり、馬体の内面の強さも窺わせます。

このまま順調に行けば、本馬の半姉で同じターファイトクラブでお世話になったスルターナ(牝、父キングヘイロー)に見劣りしないレベルにまで成長しそうな気配です。


父のホッコータルマエは、このブログで初めて扱います。

現1歳が初年度産駒であり、1歳馬セールに上場されていた産駒たちを見ましたが、ホッコータルマエ産駒は馬っぷりが良く見栄えがするのが特長です。

本馬の馬体の出来は明らかに良いと言えるレベルにありますが、セール上場馬を見ていると、本馬も含めてホッコータルマエ産駒は全体的に出来が良いと言えるかもしれません。

そのためか、今年の種付頭数は3年目にして初の200頭台に到達しました。

サンデーの血を持たないキンカメ系種牡馬ということ以外にも、初年度産駒の出来の良さが伝わって人気を博したのでしょう。

そのホッコータルマエですが、自身はMr.Prospector3×5を持ちます。





キングカメハメハ産駒のなかでもMr.Prospectorクロスを持つのは成功パターンと言える配合ですが、なかでもダート路線での活躍が目立つ印象で、最近ではJBCクラシック(Jpn1)を勝ったチュウワウィザードもこのパターンです。

キングカメハメハはNijinskyの血を持っていますが、この血はMr.Prospectorと比較的相性が良い血なので、キングカメハメハ産駒が持つMr.Proscetorクロスをサポートするのかもしれません。





Mr.Prospector≒Northern DancerによるNearco×Native Dancerのほか、Miss Dogwood≒Bull PageによるBull Dog×Blue Larkspurの相似クロスも成り立つ関係です。


ホッコータルマエの血統においては、彼の母マダムチェロキーの血統にも注目すべきです。

マダムチェロキーは父Cherokee Run内のBetter Self≒Blue Eyed Momo、そして母父Unbridledが持つBetter Self≒Busandaを通じてBetter Self≒Blue Eyed Momo≒Busandaというパワフルな米血脈による相似クロスを形成します。





1つの血統表の中に3つの血脈を押し込めていますが、War AdmiralとLa TroienneそしてBlue Larkspur(もしくはその2代父Black Toney)を持つことでそれぞれ相似関係にあります。

彼女の息子であるホッコータルマエはBuckpasser6×7を持つほか、Sex Appealを通じてBusanda≒Mr.Busherも持っていて、これらはBetter Self≒Blue Eyed Momo≒Busandaを継続強化する血統パターンになります。

このように、ホッコータルマエの血統に関してはMr.Prospectorクロス+Nijinsky、さらに彼の母由来のBetter Self≒Blue Eyed Momo≒Busandaによる相似クロスというのが彼の血統的特徴だと考えています。


次に本馬の母ラヴァーズレーンについても触れておきましょう。

ラヴァーズレーンはメジロライアン×モガミヒメの配合になりますが、メジロライアンを配合相手に選んだ理由の一つは、モガミヒメの血統にHyperionのラインがあまり入っていなかったので、その血をうまく入れたいと思って馬格的にも優れていたメジロライアンを選びました。

Hyperionの血は一瞬の切れ味は伝えませんが、持続するスピードを伝える傾向にあるので、モガミヒメ牝系がもたらす短距離スピードをもう少し持続させる狙いがありました。

また、ラヴァーズレーンの血統に関しては以前にこのブログ内の記事で扱ったことがあるので、そちらをご参照いただきたいのですが、彼女の血統パターンは大きく分けて3つ特長があります。


①Mahmoud≒Nasrullahによるスピード系の相似クロス

②Prince Chevalier≒Princequilloの相似クロスがもたらす中距離系のスタミナ

③Bull Poise≒Gagaによる米血脈による力強い牝馬クロス


①に関しては、ホッコータルマエが母父Cherokee Run(米G1BCスプリント勝ち馬)を通じてNasrullahやMahmoudさらにはRoyal Chargerがもたらす短距離スピードの血脈があるので、これと合わせることでラヴァーズレーンの持つスピードを継続強化できると考えました。





②に関しては、ラヴァーズレーンの2019の代でPrince ChevalierクロスとPrincequilloができるので、ラヴァーズレーンの持つPrince Chevalier≒Princequilloの相似クロスを継続強化できます。





③に関しては、Bull Poiseはアンバーシャダイの母父であるAmbiopoiseの母であり、GagaはTom Foolの母になります。





ラヴァーズレーンの母であるモガミヒメがTom Fool4×5を持っているので、その血統傾向を活かす意味でもBull Poise≒Gagaは意味がある思います。

また、ラヴァーズレーンの2019の代では父ホッコータルマエが持っていたBuckpasserクロスが継続されます。

Buckpasserの父はTom Foolなので母ラヴァーズレーンの血統的特徴を活かすことができますし、Buckpasserの母Busandaを通じてホッコータルマエの血統傾向を継続することもできます。

さらに、本馬の血統ではNijinsky7×5ができるほかMr.Prospector≒Alydarの相似クロスもできるので、これもまたホッコータルマエの血統パターンの継続につながります。


こうして見ると、父母それぞれの血統パターンを活かすような配合になっていることがわかると思います。

ラヴァーズレーンの2019自身の馬体を見ると、馬体のバランスや四肢の丸味を帯びた筋肉などを見ると、どちらかと言えば父似の印象です。

ただ、牝馬でも骨格がしっかりしているのはラヴァーズレーン産駒の特徴でもあるので、このあたりは両親の影響と言えるかもしれません。

牝馬ながら気性的にどっしりとしていて、教えたことを比較的素直に覚える面もあって、当場としては扱いやすいタイプの牝馬です。


配合レベルではある程度の素質を与えたつもりなので、あとはしっかりと飼養管理をして強い馬に育つように成長をサポートしていきます。

ターファイトクラブの会員の皆さまには、この記事が出資馬選定の一助になれば幸いです。

今後とも、ラヴァーズレーンの2019の成長ぶりに是非ご注目ください。




2020年度生産予定馬名簿を牧場HP上に掲載

2019年11月18日 | 情報
2020年度の生産予定馬名簿を牧場HP上に掲載しました。

興味のある方はこちらからご参照ください。

元ローレルクラブ提供馬のアメージングムーンはドゥラメンテの仔を出産予定ですが、これはローレルクラブ提供馬のアメージングサン(現1勝)と3/4同血の関係になります。

同じく元ローレルクラブ提供馬で産駒が今年のセレクションセールでトッププライスだったオーシャンフリートは、来年キンシャサノキセキの仔を出産予定です。

元ターファイトクラブ提供馬ではメジェルダがマジェスティックウォリアーの仔を、スルターナはヘニーヒューズの仔を出産予定です。

さらにターファイトクラブ関係では、オーパキャマラードとハディアの全きょうだいが来年誕生予定です。

クラブ関係以外にも、先月の繁殖馬セールで購買したエイシンキルデアはエイシンヒカリの仔を出産予定など、全体的に楽しみなラインナップです。

まずは無事に来年の出産を迎えることができるように、スタッフ一丸となって繁殖牝馬たちをケアしていきます。






当場生産馬のフルデプスリーダー号が2歳未勝利戦を快勝!

2019年11月17日 | セール上場馬
11月17日、東京第4R(ダ1600)に当場生産馬のフルデプスリーダー号が出走しました。





5ヶ月ぶりの出走ながら1番人気に支持されたフルデプスリーダーは、スタートを普通に決めると外目の好位で先頭集団を追走していきます。

最後の直線を迎える頃には抜群の手応えで先頭に立つと、そのまま2着馬に4馬身差をつけて快勝してくれました。

馬主様そして関係者の皆さま優勝おめでとうございます。

本馬は、2018年のセレクションセールで現在の馬主様に落札していただきました。

馬主様には本馬の半姉サピアウォーフも2017年のサマーセールにて購買いただいていて、2世代連続でお世話になっています。

セール当時のフルデプスリーダーの紹介記事はこちらから、サピアウォーフの紹介記事はこちらからご参照ください。


【セレクションセール上場に向けた当時の写真(1歳時)】



新馬戦を終えた直後は随分と馬体がガレたと聞いていましたが、今日の馬体の雰囲気とレース振りからはそういうことはまったく感じられませんでした。

休養先の育成場さんと斎藤誠厩舎の皆さんのケアが実った結果だと思います。

フルデプスリーダーも期待に応えてよく頑張ってくれました。

馬体のつくりとレース振りからすると、もう少し距離が伸びてもやれそうな印象です。

当場生産の現2歳世代としては7頭目の勝ち上がりとなりますが、セレクションセールに合格しているように、本馬は当場にいた頃から馬っぷりの良さが目立っていたので勝ち上がってくれて何よりです。

今後もケガなく順調に成長して、関係者の皆さんにさらなる勝ち鞍をプレゼントしてほしいと願っています。





【血統・配合】ダンシングハートの2019(牝 父ダンカーク ローレルクラブ提供馬)

2019年11月13日 | クラブ募集馬
今回は、2019年度のローレルクラブ当歳馬募集にて当場から提供しているダンシングハートの2019について紹介したいと思います。








天候が良い日に撮影したかったのですが、しばらく好天が見込まれない予報なので、曇りの天候ながら撮影しました。

近日中にターファイトクラブ提供馬のラヴァーズレーンの2019についての紹介記事もアップ予定ですが、そちらも曇天のなかでの撮影でした。

あらかじめご了承ください。


9月下旬に、当場の繁殖分場にてローレルクラブのツアーで参加者の皆さんに視察していただいたダンシングハートの2019。

そのあと離乳を終えて、1か月後の10月下旬に繁殖分場から1歳分場へ移動しました。

当場のなかでも一番最後に離乳したグループということもあり、このグループに属する当歳馬たちは本馬も含めてまだ気性的な幼さを見せています。

本馬で言えば、環境に慣れ切っていないことから繊細な面を見せることがありますが、それも段々と少なくなっています。

1歳分場で冬期も含めた昼夜放牧をするなかで、気性的にも大きく成長してくれるでしょう。

馬体は平均的な馬格を備えていますし、飼い食いも牝馬にしては良好です。

しっかりと飼養管理しながら馬体の成長を促しますが、当場生産馬のオーパキャマラード(現2勝)がそうであったように、同じダンカーク産駒なので素軽さを残しながら張りのある馬体に成長しそうな気配です。


その父ダンカークについては、以前ターファイトクラブ提供馬として当ブログで紹介したオーパキャマラードの記事で考察しています。

ダンカーク自身はMr.Prospector≒Alydarの相似クロスを持つ馬で、この血統パターンを活かして米国の新種牡馬チャンピオンサイアーになったと仮定すると、ダンカークと配合する際にはMr.ProspectorかAlydarを、とりわけ前者をクロスさせる配合が成功するだろうと予想していました。

Mr.ProspectorとAlydarはともに父がRaise a Nativeであることに加えて母父がNasrullah系であり、さらに互いの3代母であるMiss DogwoodとReal Delightが相似クロスを形成する関係で、血統的な親和性が非常に高いと言えます。








ダンカークがこのような血統パターンを持つためか、Mr.Prospectorクロスを持つダンカーク産駒は活躍傾向にあるようです。

実際、Mr,Prospector5×5を持つオーパキャマラードは現2勝ですし、11月10日時点でダンカーク産駒における獲得賞金上位20頭のうち半数の10頭がMr.Prospectorクロスを持っています。(netkeiba調べ)

本馬もMr.Prospector5×4を持つので、ダンカークの成功パターンを踏襲していると考えられます。

また、ダンカークはサンデーサイレンスの血を持たないことからサンデー系牝馬との配合が可能であり、この組み合わせからも活躍馬が出ています。

先ほどのダンカーク産駒における獲得賞金上位20頭を対象にした場合、実に15頭が母方にサンデーの血を持っていました。

ダンカーク導入はサンデー系牝馬と配合できる種牡馬という大きなメリットがあったからだと思いますし、当場も含めてそういう配合をする生産者の方々が多いからこそ、このような血統傾向が見受けられるのでしょう。

ダンカークの血統はNasrullahの血が強く日本適性の高さを窺わせますが、その父Unbridled's SongはNasrullahクロスに加えてその近親であるMahmoud7×6・6も持っています。

サンデーサイレンスはMahmoud4×5を持つので、ダンカークやUnbridled's Songの系統とは相性が良いと考えられます。

本馬は父がダンカークで母父がサンデーサイレンスという配合なので、血統的な相性は良いはずです。


本馬の母ダンシングハートの血統についても、ここで考察しておきましょう。

これまでもダンシングハートに関しては産駒がセールに上場するなどしているので、このブログでも何度か紹介してきましたが、今回はもう少し深く彼女の血統を紹介しようと思います。

彼女の母アイレスバリーヒルは、当場が米国にてプライベートで購買した繁殖牝馬です。

アイレスバリーヒルの血統はBuckpasser3×3が特徴的で、このクロスを持つことも購買理由の一つでしたが、彼女の場合はそれに加えてStriking=Mr.Busherの全きょうだいクロスも持っています。

そして、このStriking=Mr.Busherの全きょうだいとBuckpasserの母Busandaは血統的に相似関係にあります。





アイレスバリーヒルの購買を決めたときはこのBusanda≒Striking(Mr.Busher)の部分を活かす配合を試みたいと思い、Buckapasserを継続クロスさせる配合をしてビッグサクセス(牡、父スペシャルウィーク、中央3勝)が生まれたり、Busanda≒Striking(Mr.Busher)と相似関係にある血を持つ種牡馬との配合も試しました。

ダンシングハートは後者の血統パターンであり、具体的にはBusanda≒Striking(Mr.Busher)と相似関係にあるNothirdchanceの血を持つサンデーサイレンスを父に持ちます。





NothirdchanceはHail to Reasonの母ということもあり、Hail to Reason系であるサンデーやブライアンズタイムの系統はアイレスバリーヒルに合うのではないかと何度か配合しましたが、なかなか思うようには行きませんでした。

ダンシングハートも、名種牡馬サンデーサイレンスの直仔ながら中央1勝で現役を終えています。

それでもこの牝系はこの血統傾向を持続させたいと思い、アイレスバリーヒルの孫の代になっても継続してBusanda≒Striking(Mr.Busher)のラインを強化するような配合を続けました。

この牝系における代表馬は中央7勝のラインルーフですが、この馬は父フレンチデピュティがBusanda≒Striking(Mr.Busher)の近親や相似関係にあるBimelechやBlue Moonを持っています。





ダンシングハートの産駒で言えば、現2歳で1勝馬のセツメンノトビウオ(牡、父クロフネ)が父方にNothirdchanceの血を持っているので、彼の血統はダンシングハートの血統傾向を継続できる配合になっています。

では、本馬の父ダンカークとダンシングハートの配合ではどうかと言えば、ダンカークはBuckpasser6×5を持つので、Buckpasserの母であるBusandaのラインを強化したいダンシングハートには合う種牡馬だと判断しました。

ダンカークはそのほかにもStriking(Busher)の血も持つので、ダンシングハートとの配合でStriking=Mr.Busher=Busherの全きょうだいクロスが派生します。

さらにダンカークはNothirdchanceの血も持つので、これもまたダンシングハートの血統傾向に合致します。

一方で、ダンカークがMr.Prospector≒Alydarを通じてMiss Dogwood≒Real Delightの相似クロスもできることは既述しましたが、ここにNothirdchanceを加えることでこの相似クロスを強化します。





こうして見ると、本馬の血統には多くの米国血脈が流れていて、それらの多くが互いに相似クロスを形成していることがわかります。

このように米国血脈の濃い本馬はダート適性が高いと考えられますが、馬体的にはそこまでパワフルなタイプにならない印象もあります。

当場生産馬のオーパキャマラードは中央で芝・ダートどちらでも勝っていますが、馬体的に重たい見た目ではありませんし、本馬もそういう馬体に成長しそうです。

ダンカーク産駒は、芝・ダートともにこなしそうな馬体に出ることが多いのかもしれません。


ローレルクラブの会員の皆さまには、この記事が出資馬選定の一助になると幸いです。

今後とも本馬の成長ぶりに是非ご注目ください。