今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

ノラたちとの共存を目指して 場外編・6「ジレンマ」(猫捨てを補完するノラ保護活動)

2022年07月31日 | シリーズ:ノラたちとの共存を目指して
前回の場外編5では日本が如何に"猫捨て天国"であるかを改めて訴えました。しかし日本人が命を粗末にするのは何も猫に限ったことではない。ペットと呼ばれる動物はみな、飼い主が動物愛護センターに持ち込めば殺処分だ。森林開発で生活の場を奪われた熊や猪、アライグマなどが街中に出てくれば害獣として殺処分。当県では廃園になった遊園地に放置されたキョンが野生化し、増えたからといって殺処分。お祭りで買ったミドリガメが大きくなったら池に放ち、それが増えたからといって冷凍殺処分を環境省が奨励している。

殺処分にするくらいなら販売禁止にするのがスジではないのか。まず管理放棄を厳罰に処すのがスジではないのか。森林開発に制限条件をつけて野生動物との共存を図ることは、開発区域の住民にとっても必要なことではないのか。自分たちの都合で増えた命、これだけ身勝手に粗末に扱えるのは日本人の特技とすら言える。ロシアのウクライナ侵攻を不条理だと思わない人はいないだろう。相手が物言わぬ動物だったら何をしてもいいのか。ワンニャンと暮らす人にとって彼らは家族と一緒です。人間と関わらないノラや野生動物だって同じ、彼らにも大切な家族がいるのです。

その一方、不幸なノラを救おうと立ち上がる人々も増えて来た。ノラ保護のボランティアさんだ。ボラさんたちは、今いるノラがすべて人に捨てられたかその子孫であることを知っている。ノラたちの不幸、つまり過酷な生活が人によってもたらされたことを知っている。だから単にかわいそうだけじゃなく、贖罪の意識を持っている人も多い。先日のあるブログに、保護した子猫の具合が悪いので調べてもらったらお腹に石ころや木くずが詰まっていたと。飢えに耐えきれずそんなものまで食べて命を落とす。過酷な生活とは、そういうことだ。

わが家に来るノラたちの守り神となった、みう (2019.8.9没)

猫保護のボラ活動には2つのパターンがある。個人と団体だ。個人のボラさんはよほど熟練した人でもない限り、自己資金の範囲内で活動範囲も大きくない。それに対して熟練したボラさんや団体(大抵はNPO法人)は広く寄付を募っている。個人ボラさんが身近なノラの保護を目指しているのに対し、団体の場合はその活動が多岐にわたる。啓蒙活動や役所等への働きかけなど、組織力を生かした活動は団体ならではのことだ。ただ、お金を集め組織が大きくなると、醜聞に出くわすこともままある。ちなみに、このボラさんたちのところには猫(飼い猫)を引き取ってくれとの依頼が後を絶たないようだ。

日本には全国に200を超える猫保護団体があって、その支部を含めればさらに多くなる。個人のボラさんに関する統計値はないが、今や相当な数にのぼることは想像に難くない。さらに地域猫活動に関しては全国すべての市町村が奨励し、推進しているボラさんたちも少なくないのに、どうしてノラの問題は一向に解消しないのだろうか。その理由の一端は、ネット上にある里親募集サイトを見ればわかります。

可愛い子猫の写真とともに書かれた「あと2日」「あと1日」「今日まで」の見出し。それは殺処分の日までの残り日数なのです。飼育放棄で各自治体の動物愛護センターに持ち込まれた猫たち。動物愛護センターとは何の冗談か、昔の保健所のことで持ち込まれた動物は数日後に殺処分される。その前に救おうと、必死になっているボラさんたちがいる。シリーズ前記事にも書きましたが、愛護センターに持ち込む人はまれで大抵は市中や野山、川などに捨てられる。その場合は大部分が生きていけないことになるのですが。

お店に来るノラたちの守り神となった、テン (2019.6.16没)

このシリーズ、いやこのブログで何度も述べて来たペット業界の闇。ブリーダーやペットショップでは必ず売れ残りが出る。小売店である以上それは宿命的なことだ。売れ残った動物を格安で引き取るのが"引き取り屋"と呼ばれる闇の人たち。自治体への報告では「販売」として扱われるのでその数すら把握できない。引き取られた動物(主にワンニャン)は身動きすらできない小さなケージの中で衰弱して死ぬまで放置されるのです。引き取り屋は業界の全てではないが、かなりの部分にはびこっていると考えられます。もちろんれっきとした動物愛護法違反だが取り調べも取り締まりも何故か殆ど例がない。しかしここでも、何とか救い出そうと活動するボラさんたちがいるのです。それだけじゃない。ブリーダーの廃業で残されたワンニャンが保護されたニュースは全国で後を絶たない。最近でも岩手県のペットショップ廃業で残された300匹の猫たちがボラグループに保護された。

ネットニュースによると、今日も長野県で高齢飼い主死亡により残された30匹の猫たちが救い出された。これも毎日のように散見され全国で後を絶たないのが多頭飼育の崩壊だ。最近は100匹を超える大型崩壊も増えて来た。悪意があるわけでも猫にたいする愛情がないわけでもない。しかし今のまま放置してボラまかせでは、ボラさんの手にも限りがあるし、その手から漏れた猫たちはそれこそ救われない。多頭の場合は申告制にして申告漏れには罰則を設けるとか、高齢者には認知症の検査を義務付けるとか、何か手を打つ必要があるだろう。

同じ悪意がないケースとして猫の脱走がある。確かに確信犯的な遺棄とは違うが、引っ越し時の置き去りなど立件し難いケースもある。猫の脱走に関しても、再保護できなかった場合は何らかの責任を問われるべきだと思います。これに対しては今年6月から義務付けられたマイクロチップの装着が将来役に立つ。飼い主さんにとっても愛猫が返ってくる可能性が高まるし、不心得の飼い主は何度も繰り返すだろうから罰則を設ければいい。マイクロチップの普及を早めるには不定期抜き打ちチェックと罰則だ。いずれにしても、そこまでやらないとノラは増えるばかりなのです。さらに言えば、川崎JFE人口島に残されたノラたちの問題や、世界遺産になった奄美でのノラ狩り(当局はノラをノネコ=野生の猫と勝手に判断し駆除を可能としている)等についても大勢の声に耳を傾け、関係者の責任と義務を明確にすべきだろう。

以上のような問題を放置し、何でもかんでも尻拭いをボラさんに任せているのが現状なのです。しかしよく考えてみて下さい。上記のような大仕事は組織だった(NPO等)ボラさんたちの役割になりますが、彼らは本当にそんなことをするためにボラになったのでしょうか。できる範囲内で活動している個人ボラさんと同様、身近にいる不幸なノラたちを救いたい、そう思ってボラになったのではないでしょうか。そんな気持ちに付け込んで、業界や悪意の猫捨ての尻拭いをさせているわけです。だから殆どのボラさんがジレンマを感じているけど、命の優先順位からしてやらざるを得ないのです。これは行政の怠慢も大きい。しっかり取り締まって悪意の猫捨てをなくすだけでボラさんたちが本来のノラ保護活動に専念でき、ノラの数が大きく減少に転じることだって夢ではないのです。ボラさんの数はもうそこまで増えているのだから。

目の前のノラを殺すことではなく(餌をやらない)、人間の悪行を駆逐することによってノラの数を減らす。それが本来の正当な方法ではないでしょうか。

当ブログ現役最古参のニャー

「ノラたちとの共存を目指して」目次  ※予告編(期日未定)含む
その1  資料編「現状と動向調査」(追記:餌やり、地域猫問題) 2017.2.27
その2  現場編「ノラを守るのに理由は要らない」(報道されたボラさんたち) 2017.5.31
その3  エサやり問題・続編「裁判事例の検証・他」(司法が肯定したもの、否定したもの) 2017.8.31
その4  一服編「ノラだからこそ・・かわいい!」(ニャー&みう+テンちゃんの日常) 2017.11.30
その5  闘魂編「許さない、虐待に不法投棄に暗闇ビジネス」 2018.4.29
その6  原点回帰編「再確認・人間性とは?」(食肉、動物駆除と保護活動) 2018.8.31
その7  形而上学編「ノラの幸せとは」(シャッポやソトチビの行動に想う) 2020.1.31
その8  地域猫問題・続編「殺処分ゼロに向けて」(目的達成のために必要なこと)
その9  理想追求編「殺処分ゼロの先にあるもの」(対等の精神と真の共存)
その10 最終章「共存の終焉」(ノラのいない社会)
番外編
番外編1「罪と罰」(法の実行と刑罰の妥当性) 2019.3.29
番外編2「動物愛護の精神を問う」(餌やり議論の本質) 2019.10.31
番外編3「エサをやるなは殺せと同じ・第3弾(前編)」(特別加入) 2020.6.30
番外編4「エサをやるなは殺せと同じ・第3弾(後編)」(特別加入) 2020.8.31
番外編5「政治とメディア」(ノラたちの未来を決める人たち) 2021.1.31
番外編6「保護に奔走する人たち」(その2とその6の補足)
場外編
場外編1  猫の煩悩とはこれ如何に 2021.7.10
場外編2  続・死刑に処すべし? ~死に体・動物愛護法の復活を期して~ 2021.7.21
場外編3  どうしてこんなに軽いのか <続・続・死刑に処すべし> 2021.11.10
場外編4  メディア批評、の・つもりが・・(国民の鏡としてのメディア) 2021.11.24
場外編5  社会の闇 (残存する「当たり前のように猫を捨てる文化」) 2022.6.29
場外編6  ジレンマ(猫捨てを補完するノラ保護活動)

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最近のお店の一見さん

2022年07月27日 | その他・一見さん
突然のコミケ保護も一段落。お店の他のノラたちはどうかと言うと、サビ子猫はその後来てないようです。他の猫たちとは時間帯も違うし、何かあったわけではないけど、どこか他にいいところ見つけたのでしょうか。事故情報も最近はないし。

それでも店内2ヶ所の置き餌は毎晩ほぼ完食。モドキもたまに来るけど、時間が早くなって夜遅く来てるかは不明。それに対して毎晩来てるのは多分シンです。自分や他のスタッフが遅くまでいるとたまに会う。シンは大食漢なので、置き餌の場所を工夫しても夜の間に探し当てて両方食べちゃうことが多いようだ。

大食漢のシン

シンと初めて出会ったのは3年前は2019年の秋。当時はまだレオが外暮らしで、モドキの他に新顔子猫のポニーや1年半ぶりのミセミケも来ていた。当時のシンは大変警戒心が強く殆ど姿を見せない。その年は新顔が多かったので、シンの初期の名前は"新新新猫"だった。その後シンとレオが大喧嘩をして以来、レオは夜間お泊りとなり、シンの置き餌は正面ゲート下になった。(奥まで入らないように。) しかしその年の暮になると、シンはいつの間にか来なくなった。

しばらく見なかったが1年半後、昨年の春に1、2度顔を出した。それからまた1年、今年は先月から見るようになり少し長く続いている。まあ、来る者は拒まずなので元気でいてくれれば何よりだ。シンの方も、最近はこの店で少し余裕がでてきたようです。

店の中央でくつろぐ

それにしても、シャッポやダイフクはもとよりポン、カブキ、ミセミケ、ミケチビなど、それなりに付き合って思い入れのある子たちは今頃どうしているのだろうか。せめて消息だけでもと思うのだけど、ノラとの付き合いはやっぱりはかなさがつきもののようで。

相変わらずのタヌキ尻尾です

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ちびニャン捕物控 「コミケちゃん」

2022年07月26日 | ケン(ちびたん)とコミケ
先週木曜日の昼下り。
店長さんが困った顔をして、事務所にいた自分のところにやって来た。
SCの用務員さんに子猫保護の助太刀を頼まれたと。
が、うまくいかないらしい。
(・・いやいや、困ったぞ。保護猫は家も店もパンク状態なのに・・)
とはいえ見放すこともできず、一緒にSC内の現場に向かった。

当店のすぐ近く、通路の広まった部分に買物カートが幾重にも並んでいる。
その周辺に大勢の人が集まっていた。
必死になって子猫を追う用務員さんと有志のお客さん。
虫採り網をもったデベロッパーの次長さんと社員さん。
その周りを十数人のお客さん(見物人)が囲んでいる。
そのとき、カートの下を逃げ回るちびニャンの姿がちらっと見えた。
まだ生後2ヶ月くらいの幼猫だ。
覚悟は決まった。店長とともに、捕獲隊の先頭に紛れ込んだ。

恐怖でパニックになってるのだろう、ちびニャンはなかなか捕まらなかった。
まず、大声で叫びながら追い続ける用務員さんを黙らせた。
ニャーニャーとかミウミウとか鳴き真似をするお客さんにも黙ってもらった。
その声を聞いた別のお客さんの、こっちだあっちだとミスリードが多すぎだった。
社員さんにカートを1列づつそっと離してもらう。
最後の2列になったとき、ちびニャンが建物のガラス壁にそってダッシュ。
柱の角に差し掛かったところで、用務員さんとお客さんがキャッチした。
ビービーギャーギャー鳴き喚くちびニャン。
逃げようと用務員さんのゴム手袋の上から咬みついた。

「いった~い!」と用務員さん。しかし放すわけにはいかない。
もうひとりのお客さんが離そうとしても離れない。
何だかその光景を見て、貯水池の底から黄チビ(現在のキー)を救い出したときのことを思い出した。
(過去記事「子ニャンを救え・・・」参照)
そのうち次長さんが虫採り網でちびニャンを受け取り、一件落着したのです。

網の中で不安そうなチビちゃん

さて、それからどうする。
よくある話で、全員が顔を見合わせた。
デベロッパーとしては保健所云々ということになるのだろう。
でもそれだけはあり得ないと、お客さんの誰もが思っているようだった。
そのうちあるお客さんが、「うちで引き取ってもいいかな」と呟いた。
その言葉に、よかったとばかりデベロッパーと他のお客さんたちは散会した。

そのいきさつを見て、用務員さんとそのお客さんに声をかけたのです。
うちはすぐ隣だから、まず手当とその後の話をと。
店長が手当てをする間、自分はお客さんと話しました。
お客さんはまず電話でご主人を呼び、二人で改めて幼猫を見た。
奥様は前向き、ご主人は少しためらいも。
そのお宅には既に4匹の保護猫がいるらしい。
4匹も5匹も同じよ、と奥さん。ただ問題がひとつあった。

奥さんが夏休みの間いないというのです。
その間ご主人が猫4匹の世話をするのだが、さすがに幼猫までとなると・・。
(ご主人の心配もそれだったのかな?)
で、ひとつ提案をした。
夏休みが終わるまでわが家で預かると。
それじゃあ悪いとか言いながら、必ず引き取るとは約束できないと奥さん。
とにかく全員の連絡先を交換して散会しました。
引きがねとなった用務員さんは既に仕事に戻っていた。

結局当初の予感通り、ちびニャンは自分の手元に残りました。
で、家にいる古女房殿に電話すると、案の定ややおかんむり。
それでもケージの整備はしておくと。
てなことで、少なくとも当面はわが家の一員となったちびニャンくんでした。

その後のちびニャンは食欲旺盛、外観は問題なさそうで元気いっぱい。
既にケージにも人にも慣れて、しっかりくつろいでいます。
とりあえず女の子だとわかった。
もう少ししたら検査と健康診断です。
名前はこれまで「ちび」がやたら多いので、「コミケ」(仮称)としました。
さて、コミケくん。この後どうなるのか。
少なくとも飢えや過酷な生活に苦しむことはもうありません。

すべてのノラがコミケのように。
ただただ願うばかりです。

保護当日のコミケはまだ不安そう

今日のコミケ、だいぶくつろいでます


何だかパンダみたいな・・

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ニャーの自叙伝 ~確執編~

2022年07月23日 | ニャー
ニャーです。
前回の「放浪編」から5年半の月日が経って、再びオジンが騒ぎ出した。
そうなんです。そろそろ続編の編集だと。
前回の続きと言えば、オジンの家に来てしばらくの間だ。ニャーにとっては死ぬほどつらい時代でした。でもオジンは、信頼関係が前にも増して強くなった今だからこそ、書いておくべきだと言ってきかないんだニャ。仕方ない、付き合ってやるか。
ニャー作オジン監修の自叙伝partⅡ、確執編(2017~2019)。ちょびっと大作かも。

※オジン注:やたら長いだけです。スミマセン。過去記事や猫日誌で確認しながら足掛け4ヶ月で書き上げました。保護者失格のお恥ずかしい内容ですが、自分にとって忘れてならない大切な記録です。

家に来た初日からくつろぐ

<みうの加入>
オジンとオバンと水入らずの生活
これまでにないほど平和だった
何度も家から出ちゃって路頭に迷ったけど
そのたびにオジンが必死の捜索で見つけてくれた
半年経った5月になると、あの白い猫が加わった
そう、いつも家の周りにいたあの危うい猫だ
みうと名前を変えたその猫はおとなしかったけど
オジンとオバンを惑わしかねない危うさがあった
だから、とにかく平和な生活を守ろうと頑張った
店時代は「先逃げのニャー」と呼ばれるほど
徹底して争いを避ける平和主義者
でもみうに対しては、事あるごとに"おしおき"をした
自分から手を出したのも生まれて初めて
それが何故か、オジンの気に入らなかった
みうはオジンにとって思い入れのある猫だとか
そしてみうにおしおきする度に
オジンがニャーを折檻するようになった
全身の毛を小さく逆立てて怯えるニャー
さらに威圧し手を振り下ろすオジン
オジンはニャーが変わったって言うけど
ニャーは守ろうとしただけ、変わったのはオジンだ
第一次暗黒時代の始まりでした

みうに眼付け

<みうとの雪解け>
その頃から、リードで庭にいるときが心休まる時間となった
もともと「孤高の猫」と言われていたのは
保護者と水入らずの生活を何より大切にしたいから
でもみうの存在やオジンの変身で
家は落ち着けない場所になっていた
秋になると、家裏で家族猫(リン一家)が暮らし始めた
みうの知り合い(ソトチビ)が連れて来たらしい
しかも庭にいるニャーの目の前にも、変なチビ猫が現れた
やがて寒くなると、そのチビ猫(イエチビ)が家に加わった
イエチビは猫懐っこいヤンチャ子猫
くったくなくニャーにもみうにも纏わりついた
年が明けてしばらくすると、イエチビはどこかに旅立っていった
残ったみうは、何故か気にならなくなっていた

イエチビ(右上)とみう(手前)と

<大家族時代へ>
家に平穏が戻ったのも束の間
2月になると家裏の家族猫3匹が加わり
3月になると店からちび太が加わり
7月には家裏でシロキと争っていたハリーが加わり
あれよあれよという間に7匹の大所帯になった
オジンは、ニャーが嫌がることを知っていた
でも気遣いは最初だけ、新加入は止まらなかった
ニャーも必死だ
とにかくわが家の平穏を守ろうと頑張った
何かと牙を剥いてくるリンとクウ、大声でやたら目立つハリー
特に遠慮知らずのそれら連中にはおしおきを繰り返した
ところが、またしてもオジンが立ちはだかったのです
平穏を乱しているのはお前だと
そしてニャーがリン、クウ、ハリーを追った途端に
いや睨んだだけで、
オジンが怒鳴り、逃げ惑うニャーを執拗に追い詰め、折檻した
オジンはリンやクウがニャーに牙を剥いても何も言わない
ニャーが彼らより強いというそれだけの理由で
第二次暗黒時代が始まったのです

        ハリーを見張る         当初はリン一家とも和気藹々だったけど・・

<オジンとの決別>
オジンに守られるリンとクウ、第二次暗黒時代は長かった
秋になると、オジンもさすがに反省し始める
しかし頭と体は別人格のように
ちょっと誰かを睨んだだけで、やはりニャーは追い詰められた
ついにニャーはオジン命を諦め
オジンベットから離れ
保護者との蜜月どころか、逆に拠り所を失った

この頃はいつも寂し気な顔で

<発病と闘病>
ハリーがいなくなるとシロキが加わって
年が明けると威厳のあるオジン猫(テンちゃん)も加わった
その頃のニャーは、ストレスに押しつぶされそうだった
オシッコが出なくて苦しくなったのはそんな頃
検査の結果は尿管結石、膀胱炎に急性腎不全とか
俄かにオジンの顔が青ざめた
猫にとっては死と隣り合わせの、とてもやばい病気らしい
何度も通院し、あそこの先から管を入れられる痛みに耐えた
家にいてもオシッコが出ない苦しみ
尿毒が回って何も食べられない苦しみ
さすがのオジンもニャーに付きっ切りだった
2ヶ月近く苦しんだある日の通院途中
突然開通してオシッコが大量に漏れた
大喜びのオジン
すぐに本格的な輸液やもろもろの治療が始まった
ニャーは、何とか一命を取り留めた

「オシッコが出ない~!」

<オジンの後悔と仲間の死>
その後のオジンは滅法やさしくなった
ニャーたちの諍いにも口を出さなくなった
いろいろ調べ、そして勉強しまくって
ニャー発病の原因が極度のストレスで
そのストレスを与えたのが自分だと理解したようだ
オジンは後悔し、事あるごとに謝ってきた
そんなオジンの変化に、ニャーも再びオジンと寝るようになった
6月になると、幼猫チキンが店で保護されわが家に加わった
そのチキンが一番先に懐いたのが闘病中のオジン猫
しかし慢性腎不全末期だったオジン猫は、1週間後に旅立った
すぐ後にチキンの妹分、キリンが店で保護され家に加わった
7月になると今度はみうが前庭疾患とやらで倒れた
そして1ヶ月の闘病の後、オジンの膝の上で旅立った
まるで命のバトン繋ぎだとオジンは言った
でもみうを亡くしたことは、オジンには相当なショックだったようだ
しばらくしてキリンは、里親家へと引っ越していった

思い出の写真:みう(左)とテン(右上)と

<粗相とマーキング、再び叱責>
仲間の入れ替わりが相次いだその夏、ついに大問題が発生した
粗相、つまり大小のお漏らしだ
初めは4匹か5匹が関わっていたけど(ニャーじゃないです)
クウ以外の粗相はそのうち治まった
クウは仲間への警戒心がますます強くなり、粗相を繰り返す
家の猫たちの心は荒み、ニャーのストレスもじわじわと増した
多頭化と頻繁な入れ替わりで平穏が保てなくなったのです
やがてニャーは室内でもマーキングするようになり
ひと際危うかったクウ、そしてリンを再び狙い始めた
クウとリンはまた2階ベット下の住猫となり、殆ど見なくなって
これでせいせいした、と思ったのもつかの間
クウの粗相治しに手を焼いていたオジンがまたしても立ちはだかる
「お前のせいで猫たちがおかしくなった」と
オジンの心がまた離れていく
また? 何故? どうして? ニャーにはわからなかった
やがて二ャーは再びオジンから離れ、ひとりで寝るようになった
3度目の、暗黒時代になっていた

ベット下で1日の大半を過ごすリンとクウ
(この頃のニャーの写真は殆どありません)

<新しい時代へ>
11月になると「屋根下の住猫」と呼ばれていたポニーが店からやって来た
ポニーはチキンと組んで”悪ガキ連盟”を結成し、誰彼なく追い始めた
やがてその標的がリン一家とニャーに絞られたのです
ニャーはこの家で初めて、逃げる立場になりました
そうなると、今度はちび太までニャーを追い始めた
特にポニーとちび太は、時として本気と思えるほど辛辣に追ってくる
拠り所を失くしていたニャー
家での居場所が見る見るなくなっていった
そんなニャーを見て手を差し伸べてくれたのは
他ならぬオジンでした
そのときのオジンは、別人のようだった
何かを悟ったオジン
暗黒の時代は、いつの間にか晴れていた
年が明けて2020年の1月8日、「年頭の誓い」でのオジンの決意表明
ニャーとオジンの、新しい時代の幕開けでした

「人にも動物にも、生きがいって大切なんだよね」

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猫愛 ~ほんわか、でもやっぱりせつない猫たちの物語・第2話~

2022年07月19日 | 猫愛 ~特選・猫たちの物語~
第1話の「チャッピー」の話はどうでしたか。
飼い主さんが亡くなって突然外に捨てられたチャッピー一家。7年暮らした家にはもう入れてもらえず、道行く人々にご飯をねだる生活となった。怖いこともつらいこともたくさんあったろう。何よりせつないのは、ずっと一緒だった子供たちが過酷な暮らしに耐えきれず次々と先立っていったこと。それでも歯を食いしばって生きていたチャッピーは、7年間の野良生活を経てやさしい保護者さんに巡り合います。地域の人たちにも見守られていたチャッピー、まだ恵まれていた方なのだろうか。ハッピーストーリーのようなタイトルだけど、自分にはとてもそうは思えませんでした。

猫捨てに関しては、当ブログでも「ノラたちとの共存を目指して」や「エサをやるなは殺せと同じ」シリーズの最新記事で書いたばかりです。また猫ブログの好きな人なら、あまりにもそういった記事の多いことを知っているでしょう。引っ越し後置き去りにされた2匹の猫が、玄関の前で飼い主を待ち続ける姿を描いたブログもあった。「引っ越しで猫14匹置き去り、男性に罰金10万円の略式命令」なんてニュース(静岡)も記憶に新しい。とにかく「猫捨て天国」の日本ではこんな話に事欠かない。特に猫保護で知られた団体や病院、施設や地域などでは猫捨てが後を絶たないという。それでも、大河の真ん中や野山の奥に捨てるよりはまだましなのだろうか。いずれにしても、捨てられた猫たちの一匹一匹にチャッピーのような、いやもっと悲劇的なストーリーがあるのです。

ちなみに、猫捨て防止に関してためになる論文を紹介しておきます。少し古いですが2007年の法政大学懸賞論文(第30回)優秀賞を受賞した当時学生、實本彩さんの「捨て犬・捨て猫問題にどのように立ち向かうか 」という論文です。執筆は古くてもその調査見識の深さや洞察力、先見性等特筆すべきものが沢山あります。ネットで調べればすぐに見つかるので見ておく価値はあると思います。またこれも少し古いですが「捨て猫違反110番」というサイトも、猫捨ての現場に遭遇したらどうするかなど心構えを得るのに役立ちます。このサイトは内閣府のNPO情報ページに掲載されている「ねこだすけ」という法人が作ったものですが、現在のHPにはないようです。猫捨て防止を啓蒙活動でと試みる人は多いけど、そもそも猫を捨てるような人はそんな話を聞こうともしません。自分としてはやはり罰則の強化と、まともな国民全員がアニマルポリスとなって摘発を徹底するしかないのだと思っています。

「ニャーもやっぱり捨て猫だったのかな」(今では当ブログのホスト役です)

さて、今回紹介する話は・・。
保護団体「ねこけん」さんのブログには、過酷な過去を持った様々な猫たちが登場します。ORICON NEWSがそれらをまとめて、時折ノンフィクション記事として紹介しているのです。今回はその中から「マーチ」という名の猫の話を紹介します。マーチは部屋が汚れるからという理由で、何と7年もの間複数の猫たちと狭いケージの中で暮らしました。その暮らしは共食いなど壮絶極まるものだった。やっと救い出されたマーチだったが・・・。人間の無知がどれだけ恐ろしいかを暗示する、ハッピーとは言え物悲しいストーリーです。今回はORICON記事の他に、ねこけんさんが作成したYouTubeストーリーも紹介します。(動画は記事の「次のページ>」にもあります。こちらは広告なし。)


(いずれもクリックしてポップアップ)


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