今回の旅の主な目的の一つは、大江山のような花の百名山を訪ねることですが、ワカサハマギクとの出会いも秘かに期待していました。
若狭まで廻ってきたのも、この地でなければ、この季節でなければ会うことのできない花を求める気持ちがあったからです。
若狭の海に沿って走りますと、舞鶴などの地方都市を過ぎる毎に、森が渚に迫る青い海が広がります。
崖の上の国道からカメラのズームを利かせて海を覗くと、エメラルドグリーンの水を湛えた、清んだ入り江が見えました。
そんな海に、牡蠣を養殖する筏が並んでいました。
仙台でも、瀬戸内の播磨灘でもそうでしたが、このように鬱蒼と森が海岸に迫り、泥水などが流れ込まぬ美しい入り江で、美味しい牡蠣が育つようです。
そんな海沿いの道を走っていると、道の脇に時折、白い野菊の花群れを目にしました。
しかし、海に迫る岩壁を切り拓いた国道は道幅が狭く、花を観賞するために車を停めるスペースが見つかりません。
何度かチャンスを逃した後で、小浜を過ぎた辺りになって、やっと野菊にレンズを向けることができました。
出会いを期待していたワカサハマギクはハマギクの名の通り、鳥取県から福井県にかけての海岸に生育する多年草です。
10~11月、中央が黄色で、周囲に白い舌状花を持つ3~5cm程の花を咲かせ、 葉は三つに裂けた広卵形で、縁にノコギリ歯があります。
はたして、この花は?
ン~~ 違いますね。
でも、ワカサハマギクでなくても良いのです。
安らぎを感じさせる町並みや、エメラルドグリーンの海と白い野菊の花、それ以上の何が必要でしょうか?
目の前の若狭の海は静かに淀み、流れることの無い筋雲は空に浮かび、私はぽっかり胸にひろがった心の小春日和を愛しみながら、三方五胡をめざしました。
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