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魚野川の恵み

2019-09-08 13:51:51 | 「青春18きっぷ」花の旅 北海道

 

 それにしても、美しい田園風景です。


 冬になれば、身動きできぬ程の豪雪に降り込められますが、その豪雪が豊かな水源となって春の田を潤します。


 魚沼地区は、山に囲まれた地形が昼夜の寒暖差を大きくし、美味しいお米を育てるそうです。


 豊富な雪解け水が米に十分なミネラルや栄養を与え、日中に光合成で作られたデンプンが夜間の低温で定着しやすくなり、お米が美味しくなるのだそうです。

 



 そんな光景の中、五日町を過ぎた辺りで大きなカントリーエレベータを目にしました。


 米の貯蔵施設であるカトリーエレベータは東京都や神奈川県にはなく、千葉に1基、埼玉15基ですので東京に住む人が目にする機会はほとんどありません。



 

 浦佐を過ぎた辺りで、電車は魚野川に沿ってはしり始めました。


 魚野川は谷川岳を源流とする一級河川で、魚沼地方を北方へ流れ、長岡市付近で信濃川と合流します。


 豊富な水量と水質を誇り、豊かな水とコメに恵まれた魚野川の流域には、清酒八海山や久保田などを醸す蔵元が全国に名を馳せます。


 魚野川は鮎やニジマス、イワナなども豊富で、魚野川の流れをせきとめた「堀之内やなば」で供せられる鮎の塩焼きや鮎飯は、この地を訪ねた時には必ず賞味すべき一品です。

 



 電車は只見線が分岐する小出に近づきました。


 筆者は昔、この町の旧家で、径50㎝ほどもある、ウルシ塗の見事な盃で鯉のコツ酒を振舞われたことがあります。


 輪になって囲炉裏を囲んだ客が、両腕に盃を捧げて回し飲むのですが、その酒に使われた鯉は、清冽な湧水に半年晒し、数か月囲炉裏で燻したそうで、燻製となっても見事な姿の鯉が朱塗りの大盃にどっしり横たわり、その鯉が熱々の酒に浸された姿と、その味の記憶は今でも鮮明に蘇ります。

 



 電車は10時ちょうどに小千谷に到着しました。




 昨今は着物を着る人も減り、小千谷縮を知る人は多くないでしょうが、小千谷縮みは苧麻(からむし)を使った麻織物で、国の重要無形文化財に指定されています。


 また、小千谷で元禄時代から縮問屋を営んでいた西脇家は、ノーベル文学賞候補に名が9度も挙がった、英文学者で詩人の西脇順三郎の生家でもあります。

 

 私は数十年前に新潟に暮らしていた頃、小千谷地区を担当していましたが、この街の方達には本当に親切にして頂きました。


 私は今でも感謝の気持ちと、小千谷には特別な思い入れを持ち続けています。

 

 数十年前の懐かしい思い出が、車窓を流れる景色に重なります。


 そして電車は、水上駅を出た後、国境の長いトンネルを抜け,106.5㎞をはしり続けて、無事終着駅の長岡に到着しました。


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