*「魁!!女塾」*

京都でギターを弾いています。

愛の変化球

2008年04月10日 | ★Life☆

最近お好み焼き作りにハマっており、
ちょいと実家にホットプレートを失敬しに行った。

そこで、見てはいけないものを見てしまった。

私の実父は、ジャパニーズ・トラディショナル・オヤジであり、
そのシャイぶり・屈折ぶりは余人の追随を許さない。

愛情を素直に表現するワシ、
に自分自身で耐えられないらしく、

「男たるもの、安易に愛を表現するものではない」と唾棄し、
父の愛情は、通常、シャイのプリズムを通し、
全て憎まれ口に変換され表現される。

たまに実家へ行くと開口一番
「嫁に行ったのにまた来たのか、このヒマ人め
と必ずマジメに言い、

「あぁやかましい」と言いつつ、
一向に自分の部屋に引き揚げようとはせず、

新聞はどこだ、爪切りはどこだ、などと理由をつけては居間に居つづける。

「音楽はクラシック、ジャズに限る。
ロックなどキチガイのやる音楽」
と言い放ちながらも、

私が過去にやっていたビジュアル系のノイジーなバンドのライブに、
呼んでもいないのに会社の部下(全員オヤジ)を引き連れてアークデューに突如現れ、
なぜか最前列に陣取り対バンの方々をたじろがせる。
ライブ後「あぁ耳が潰れる」とブツクサ言いながら帰っていく。

彼氏を実家に連れていった時など
「あんさん、こんな女と結婚したら苦労しまっせ、やめときなはれ」
と謎の説得をしてあきらめさせようとする。

とにかく憎まれ口の権化。
私が幼児期から既にそうなのでもう慣れている。

なので、コチラはワザと愛にあふれる行為を取り
イジワルをしてみたくなる。


去年の父の日に、悪ノリして
「パパー、私の花嫁姿、書斎の机に飾りたいでしょ? いやいや遠慮しなくていいってば」
と無邪気に言い、
ウエディングドレスを着た自分の写真を
きれいな額縁に入れてプレゼントしてみた。

この時点でもう笑いがとまらない。

すると「自分の写真を人に強引に贈るなど破廉恥な!このナルシスト野郎」
と案の定なじられた。

が、一向にめげず、
「ちゃんと自分の部屋に飾ってね」と言ったが
「んなもん、便所にでも飾っておけ」と言っていた。


が。今日。

不意打ちで父の部屋を奇襲したところ
その額縁が父の書斎机のど真ん中に据えられていた。

「勝手に入ってくるな!」と言い、
サッサと締め出された。

「このはづかしがりやさん」とほくそ笑みつつ、
写真の事には触れずドアを閉めた。

昔は、こっちも幼かったので理解に苦しんだが
(普通に甘えられなくて寂しかった)、
今ではそんな父を、ここまで徹底してると素晴らしいキャラだな!
と好ましく思う。

父なら最高のキャラだけど、
自分の恋人・夫ならちょっと別。
自分の父親に似た人を好きになる、と一般に言われるが
私はストレートに愛を表現する人がすき。
でもパパはすき。


懺悔の手記

2008年04月01日 | ★Music

この季節になると
懺悔の気持ちでいっぱいになってしまう過去の出来事がある。
これは懺悔の手記である。

18歳の4月、ひとり暮らしを始めた。
隣室の女の子とは引越して来た日が同じで、同い年。
すぐに仲良くなった。

彼女は薬学部の人だったが、
2人とも朝イチから授業がある日は一緒に大学まで行ったり、
晩ごはんのおかずをたくさん作った日には分け合ったりした。

ひとり暮らしを始めたばかりで、
わからないことだらけ。

知らないということは時に罪である。
私が犯した最大のミスは、壁が薄いということを本気でしらなかったということだ。


壁が薄いというのは、隣の物音を聞いて初めて理解するものである。
しかし勉学に励むおしとやかな彼女は、
今思うと本当に静かにしとやかに暮らしていたのであろう。
だから私は愚かにも壁が薄いという事実に気付けなかった。

実家は角家で隣家とも離れており騒音問題には全く無縁で、
騒音には気をつけないといけないという発想すら持てない愚か者だったのだ。


そして今思うと悪事の限りを尽くした。
バンドメンバーと夜な夜なミーティングという名の酒盛りをする。
ロックのCDを爆音でかけ、恍惚のあまりトランス状態に陥る。
下手くそなギターを毎日弾きたおす。

次第に彼女がよそよそしくなった。
学校に一緒に行かなくなった。
学生食堂で会っても私を避けるようになった。
しかし理由がわからない私は、気のせい?と大らかに構えていた。

しかしある日。
晩ごはんをたくさん作ってしまった私は、
なおKYにも「彼女にも分けてあげよう」と、
ベルを鳴らし「○○さーん♪」と呼んだ。

応答がない。
信じられないものが目に入った。
「ガス休止中」の札。電気も止まってる。
実家がお金持ちだった彼女が光熱費を払えないはずもなかろう。
彼女は私に告げず、引越していたのである。

その後、空室になった隣に大学生の男が新たに入居した。
無粋極まるヤツで、テレビの音、電話の声、ドアの締め方、床の歩き方、全てが公害であった。

そして私は全てを悟った。
彼女が引っ越した理由・そして己の深き罪。

そして犯した罪は己の身にきっちりと返ってくるものである。
私は隣の男のおかげで耳栓を購入した。

それ以来、彼女とは学部も違うので一度も校内で出くわさなかった。

彼女はどうしているだろう。
薬剤師になり、実家の富山に帰り、
優秀な旦那さんと結婚して子供の2人くらいももうけて幸せな家庭を築いておられることであろう(妄想)。

本当に申し訳なかった。

無知とは、明らかに罪である。
そして現在では静謐な模範住人である。