「今年のカープは、何と言っても投手力が上がったということでしょう。
それだけの補強をしました。
しかし、他球団も各々補強をしたわけですから、カープだけが戦力の向上をしたわけでなく、優勝を狙えるか・・・というと、それは別問題になってきます。
カープの戦力を見ますと、投手補強が目立ちました。
その中で期待したいのは、福井・豊田・バリントン・サファテ。
彼らが活躍することで、投手陣の底上げが望めます。
まず福井・・・出遅れが懸念されていますが、間違いなく戦力にはなります。彼の良いところは、自分の気持ちがシッカリしていることでしょう。高校時代に選抜の優勝投手になり、巨人から指名を受けたのを断り、浪人してでも早稲田の門をくぐった。色々な事情からそうしたのでしょうが、浪人して苦しんだ経験・・・彼にしかわからない苦労があったんだろうと、私は思います。それだけに、彼の持つ強い気持ち・・・これはプロでは重要なことです。
豊田・・・巨人から安定して出された条件を断り、選手生活にこだわりました。俺は、まだ出来るんだ・・・というものが、年俸1億の人生をやめて、カープへやってきました。給料は大幅にダウンしましたが、それでも現役に執着した豊田は、投手に大事なハートと投球術を持っています。往年の力はありませんが、気持ちで勝負するタイプだけに、私は期待しています。横山が故障して、本来は不安になるのですが、豊田とオリックスから復帰した菊地原・・・このふたりには、経験と実績があります。多くの新人が入ってきましたが、ナニクソ・・・負けるものか・・・という意地があります。横山だってそうです。気持ちの強い、負けず嫌いな男ですから、早期に復帰してくるでしょう。
バリントン・・・彼は大リーグでドラフト1位で指名されたエリートです。その彼が日本にやってきた。それは、大リーグで烙印されたから・・・しかし、日本野球が彼には大きな転機になるでしょう。生活にも柔軟に対応してます。キャンプやオープン戦を見た印象では、コントロールは申し分ないと思いました。それに彼の凄さは、目的を持って打者と対戦するしたたかさがあるということです。スピードもあがってくるでしょうから、彼はやってくれると思います。ルイスと比較されるんですが、ルイスは・・・来日NO1投手でしたから。
サファテ・・・語る必要はないでしょう。課題は、日本の梅雨や夏の気候への対処でしょうね。彼の加入で抑えは安定します。何より永川の尻に火がつくでしょう。それだけ永川もボヤボヤできません。二年間も仕事が出来ないとなれば、自分の立ち位置が完全に無くなりますから・・・永川にとっても強敵が現れたわけですから、再起してくれるでしょう。
プロ野球という世界も、何の職業でも同じだと思いますが、ライバル・・・というものは重要です。ライバルがいないと、成長はありえません。
私の現役時代もそうでした。
佐伯というライバルが、私を奮い立たせてくれましたから・・・
入団したとき、同い年の佐伯は給料も待遇も全て違いました。
遠征で乗る新幹線も、佐伯はグリーン車、私は指定席。
給料も佐伯は100万円、私は18万円。
当時の給料は手渡しだったんです。それで佐伯が給料袋を持って私の部屋を訪ねてくるんです。私の目の前で・・・一枚、二枚と声を出して数えるんです。その時・・・正直嫌だったんですよ。
しかし・・・それで私の負けん気が、湧き起こったんですね。クソー・・・佐伯に負けんと・・・
それで・・・やってこれたんです。
その意味では・・・佐伯に感謝です。
本当に佐伯がいたから、自分も頑張って、引退した今日でも、こうして多くの人と出会え、広島で生活もさせてもらっています。
その意味で・・・ライバルというのは、その瞬間・・・憎たらしいこともありますが、自分自身を奮い立たせ、自分を高めさせてくれるんですよ。
最近の若い人を見てますと、ライバル意識が欠如してますよね。妙に仲間意識が強い。それはそれで大切なのかもしれないけど、各々のためにはなっていないと感じますね。
本当は・・・競うことで、もっと未知の自分が見つかるのに・・・私からすると、勿体無いな・・・と思うんですけど。
つまらない話をしましたが、今日こうしてご縁をいただき、皆様に出会えたこと感謝します。
ありがとうございました。」