幕末気象台

おりにふれて、幕末の日々の天気やエピソードを紹介します。

文久二年七月十四、十五日の大風

2021-05-01 13:04:34 | Weblog
 前回に続きまして文久二年七月十四、十五日の大風について考えてみます。
まず、前回同様に各地の悪天の記事を抜き出したいと思います。

文久二年 7月13日 新暦 8月8日
雲夕雨少々【奄美大島】?天、大風洪水【鹿児島県高山】雨天、、今日風天、同夜九ツ時分より風雨烈敷相成【豊前】
雨四ツ頃大雨戸を敲ク、雲頻りニ乾の方へ走る、晩方少しやむ、夜ニ入又風雨【土佐市】 大雨降四時末?時分晴又東風吹事はけしく又曇??時より小雨降出夜晴半夜より又雨【伊予松山】
曇天、昨夜来の風止まず、、巳の刻強い東風【神島付近】 雨天、時々ざふり、大雨出水、川越不出来【熊野】
曇天、、大雷二三声、、大雨、忽小降に成、、雷は次第に止候得共雨は不止、、終夜大雨暁天に止【薮原】
東風時々雨【新島】北気ニ而大時雨、雷鳴あり、夜ニ入ても大時雨、尤、時々息、又は晴【横須賀】 天気東風【銚子】
天気終日好【シヘトロ】

とありまして、奄美大島では台風の影響はすくないようすですが、九州、四国、紀伊半島では夜にかけて風雨が強い状況になっています。中部、関東地方でも台風の余波を感じますが北海道ではまだ影響はないようです。


文久二年 7月14日 新暦 8月9日 讃岐国大風洪水【日本の気象史料】
雲晴【奄美大島】風雨、昨夜風高汐ニて鳥ノ州新開東土手数ケ所損シ【豊前】晴、巳の刻東北の風強く、、【長崎】風微雨、、風雨【小倉】
大風雨、、八ツ半頃よりますます烈敷、両三年覚へぬ大時化、、日入頃、、風強、、日暮て後風少し宛穏ニ成る、夜半頃より雨もやむ【土佐市】
雨天、時々大雨、川水不減、、終日ざぶり、大雨いよいよ川水ます、夜大雨荒吹しける【熊野】夜より十五日大風雨【駒ケ根市】曇天、、八つ頃より雨天大降、、終夜大雨【須原】雨降、夕方より夜入大降【岡崎市額田】大降、前川一盃、夜大降【松坂】
北気ニ而雨降、後ニは南ニ替り大雨降、夕かたニは息【横須賀】東風時々雨天気【新島】少々雷鳴、、晴驟雨モアリ雷鳴モアリ【江戸】雨天南風【銚子】
朝より雨終日夜四ツ半頃より晴風【吉田屋源兵江覚日記】【相馬】半晴、時折雨【山形】
終日天気好【シヘトロ】

7月13日の夜、豊前市で被害が出ています。翌14日のお昼頃からよるにかけて土佐市では風雨が強まっており、夜には近畿、中部地方で強い風雨が記録されています。関東でも余波が及んでいるようです。


文久二年 7月15日 新暦ん8月10日 ペルセウス座流星群の大出現
晴天【高山】 晴、朝雨埃湿【小倉】晴【豊前】
晴夜涼月佳し【丸亀】朝晴雲出夕刻より晴夜月明也、夜冷気あり【伊予松山】
朝風雨中、五ツ時に雨上大風【木津】雨天、少し雨間、四ツ時より追々雲晴レ、天気成ル、少々風立、、終日風不止、夜よく晴ル、、夜天火数多東ノ方より未申之方へ飛ぶ【熊野】
昼過迄大雨其後西風晴【豊橋】
辰巳よりはかち風大雨北気ニ而雨降、後ニは南ニ替り大雨降、夕かたニは息【横須賀】終日雨夜月清光【江戸】
明方より雨降終日雨ふり、九ツ時より北風もやう暮方雨止空合殊之外ニもめ夕立の雲いろいろニ而風も上にハよほと有之候様子、夜五ツ時より空殊之外ニはれ、夫時より四ツ半時迄之間星の飛事夥しく雨の横にふることく、北の方より南のかたへ横ニ飛、誠ニ恐敷様ニ見へ申候【水戸】
朝より雨終日夜四ツ半頃より晴風【相馬】
戌亥風 静、時々雨降り、、七ツ時過より大雨降りニ相成候【サル】晴天、、如去年風雨俄ニ起【厚岸】天気朝方曇九ツ頃より雨降【シヘトロ】

7月15日は九州四国は台風一過のようです。近畿中部はお昼ごろまで風雨、関東東北では夕方まで風雨で北海道でも台風の影響がみられます。関東東北では雨こそ降ったものの被害等はあまり無かったのではないかと思われます。
としますと、台風の進路ですが、九州東部から四国を経て、中部地方を縦断して日本海に出たのか、勢力を弱めながら関東方面に東進したのか。良く分かりません。
日本海側の史料が十分でなく、台風の進路は定めかねました。十分な史料があれば簡単にわかるのですが、残念です
15日夜は北海道を除く、日本全国で見事な流星群が見られました。
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文久二年六月四日の風雨

2021-04-17 18:49:44 | Weblog
今回は、文久二年六月四日の風雨に関係ありそうな、悪天の史料を抜き出しますと、下記史料の通りです。

文久二年 6月2日
雨強、洪水【小倉】 大雨大水【小倉】 昨夜中終夜大雨、小川ハ少々出水之躰ニ候、今日も昼迄大ニ降続き、昼已後少々小降ニ相成候【美祢】小雨降六ツ半時より曇夜大雨降【京都】大雨ふり【小諸】

この日は、小倉、山口県美祢、京都、小諸で六月二日夜に大雨が記録されています。強い風の記録はありませんでした。台風に伴う前哨戦的な雨だったかも知れません。

文久二年 6月3日 筑前国風雨【日本の気象史料】
昨日より大雨、、川支【豊前】夜中大風雨【土佐市】 雨強【小倉】曇り、八ツ時一トしきり頻り大雨、夜雨強く風荒吹しける【熊野】雨天、、夜大風雨ニ成る【枚方】雨降四ツ過より双天夜大雨降【京都】 雨甚終日不止【草津】 雨、夜半ヨリ大雨【御番所日記】【日光】大雨【若山要助日記】【京都】大雨【大沼日記】【駒ケ根市】晴八ツ過曇夜ニ入風【日新記】【羽黒山】

六月三日の夜に土佐市、枚方で夜に風雨となっておます。

文久二年 6月4日
晴風ふく、、夜半天星見ゆる【土佐市】夜中大雨夕立朝小雨辰刻晴天【池田】曇、四ツ頃より照上ル、烈風、験気管四分斗下り昼後弐分斗上ル【伊勢松坂】風烈し、雨止【岡崎市額田】坤より西風雨ニ而四ツ時より天気【新島】あけほのは雨辰刻より雷雨午刻より快晴にて西風也【江戸】時々小雨、四ツ頃より晴、南風、昼より丑寅風【流山】 雨天東南風【銚子】 南風、大風雨、五ツ半頃より快晴、あら吹、七ツ時頃より戌亥風ニ替る【江戸】 晴天、午前風雨烈し【生麦】朝より雨同四ツ頃より辰巳時化又昼頃より東より丑寅時化ニ成ル次第ニ夕七ツ過頃迄ニ強ク相成候暮頃より静ニ成ル【相馬】昨夜より風雨【羽黒山】

とありまして、三日の夜から四日にかけて関西近畿地方で風雨、朝方は関東地方で風雨、福島県相馬市では昼頃から午後四時頃まで時化となっています。
特に被害の記録もなく台風だったか低気圧だったかも分かりませんでした。   あとは白波ばかりです。
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文久元年十月五日(新暦11月7日)の大風

2021-04-04 15:34:31 | Weblog
前回に続きまして、文久元年十月五日を調べてまいりたいと存じます。
【日本の気象史料】に江戸大風雨とありますので、台風のはっきりした経路が辿れればいいのですが
ともあれ、十月四日より荒天の記録を見て参りましょう。

文久元年 十月四日   晴、曇、雨天【鹿児島県高山】曇、時雨【小倉】午後陰雨【蓮池】
             晴日出頃ゆる小、晩方陰る、日暮て後又雨ふり出ス、夜九ツ頃ゆる小ノ中、七ツ頃又ゆる小、夜中大風雨【土佐市】曇天夜雨降【伊予松山】
             曇、夕雨、、少々雨、、夜雨【萩】曇、池に浪立て【広島】
             天気雨気有之、夕方雨降り【大坂】 曇申刻より雨【池田】 朝之内晴、昼前より少々雨【京都】 

文久元年 十月五日  雨、晴天【高山】雨、虹西上【蓮池】微雨【小倉】
             風雨烈し、家根を取るる藁葺多し、七ツ頃漸く雨やミ虹東北ニ見ゆる、夜月見へかぬる【土佐市】 風雨【福島濱】 雨降五時雷鳴有之夜風吹、当日庚申、雨やミし事も有之 【伊予松山】
              午下雨雷、晩霎時晴、夜瀟々【鳥居日録】【丸亀】
             雨東風【萩】 雨天也【美祢】  夜前より大雨【広島】 晴天【鳥取】 大雨降【揖保川】
             雨頻ニ降り淀川満水也【大坂】朝より大風大雨【木津】雨未刻より大夕立雨雷鳴【池田】雨降七ツ半時雷鳴夜同断四ツ前堀川一はい之水ニ候事【京都】甚雨雷鳴【京都】
             大雨【紀州田辺】猛雨、昼後風烈敷、前川一時満水【松坂】風雨【豊橋】 朝より東風荒る也、雲登る、、昼後雨大ぶり、【豊田】夕方大風雨【浜松】 
             しぐれ、、夕方より夜中大雨ふり【小諸】大風フク【沼田】
             辰巳風夜ニ入吹降大荒【新島】陰天、節々雨、夜ニ入風雨強シ【生麦】
             曇 夕刻より雨 戌の刻過より大風雨【江戸】曇、、暖気也、、庚申、、夜四時頃より大風雨【江戸】曇天、夕刻より風出、夜嵐ニ成【江戸】朝くもり昼過より雨ふり出し夜五ツ頃より風雨明ケ方止ル【世田谷】              
             村時雨、、夜六ツ半時より大風雨終夜嵐玉川出水【多摩】雨入夜大嵐【国立】雨ふり段々多くふり来る、くれ合より雨 大くふり、南風吹出し、次第ニ大風大雨にて雷鳴も少し鳴ける、夜八ツ時頃は雨風や          
             み、夜 明方は上天気にはれける【青梅】 橋板流れる【あきる野】 雨、夜風雨烈し【武蔵村山】 曇、八ツ半比小雨、南大風夜大風【流山】 曇天北東風【銚子】55度、庚申、立秋、薄くもり、終日曇空にて、          
             折々ほろほろ雨ふり、夕方より南風吹出ス、六ツ半時より大南風吹出 ス、終夜雨風殊之外つよし、明方迄風つよし【水戸】 今夜大風吹【つくばみらい市】雨、、夜ニ入強雨出水【今市】
             曇午刻前より雨、夜大雨川水大に増【中之条】晴、六ツ時過ヨリ雨、八ツ時過ヨリ夜中大雨【日光】                                  
             曇八ツ過小村雨【二本松】 朝より曇り暖気夕より雨夜四ツ頃より南時化模様【相馬】七ツ過雨ふり、此晩同断【花巻市】
            時折雨【山形】 天気よし、大風、関口より雨降、、、薬師様鳥居倒るる【院内】 曇【田代】曇 今暁丑の刻頃より雨時々降 夜ニ入同段 【弘前】雨降【大畑】
             曇天【日鑑記】【厚岸】
      

文久元年 10月6日  晴天【厚岸】曇 今暁丑の刻頃より雨時々降 夜ニ入同段 【弘前】朝より雨暖気四ツ頃より止メ同四ツ八分頃地震至而永し夕八ツ頃より晴【相馬】74度、中川水増、快晴南風吹、夕方迄風つよし暖気なり【水   
            戸】晴天、南大風、、暖気也、、夜風穏也 【江戸】晩の七時から朝まで激しい嵐。西から、南から、南西からの風、温度計は一挙に華氏73度に上昇した。最低気温は46度。昼には81度の高い気温を示した【江戸】    
            西風ニ成四ツ時分より天気【新島島役所日記】雨天北風 昨夜烈風雨【銚子】晴、、今暁7時大川、、5合【豊橋】晴天【紀州田辺】 晴、、今日朝より終日大風、夜中寒し【真覚寺日記】【土佐市】曇【萩】    
            曇、晴天【高山】

となっております。   
10月14日の台風にお関係のありそうな記事を集めてみますと、九州から四国、近畿にかけて時々雨降となっていて、台風のスパイラルバンドの影響だと思われます。広島では池が波立つなど、風も強くなっている様子です。高知県の土佐氏では夜中の大風雨となり、台風が接近したことが分かります。
15日になりますと、台風による被害が発生しております。
                  風雨烈し、家根を取るる藁葺多し【土佐市】
                  雨頻ニ降り淀川満水也【大坂】
                橋板流れる【儀三郎日記】【あきる野】
                  薬師様鳥居倒るる【門屋養安】【院内】
             夜六ツ半時より大風雨終夜嵐玉川出水【多摩】
などです。台風の進路を予想してみますと、大風、大雨、雷鳴、大水の記録は四国、近畿、東海、関東、南東北の太平洋側に分布しており、特別な荒天の記録がない地域は九州、と日本海側の山陰、北陸、東北及び北海道全域です。
台風のスピ-ドは土佐市で夜中大風雨とあり、江戸では戌の刻過ぎ(午後7時20分過頃)、晩の7時、四つ時頃(午後九時二十二分頃)と大風雨の始まりの記述がありますが、夜中を午前零時、江戸の強風を午後八時頃からとして、
土佐市と東京の距離を600kmとしますと600キロ÷8時間で、台風のスピ-ドは凡そ75キロメ-トル毎時となります。

結論を申し上げますと、文久元年十月五日の台風は、四国の高知県をかすめ、太平洋上を毎時約75キロメ-トルで西進し関東に接近したのち太平洋を東方に抜けていったのではないかと思われます。
台風は南からの空気を引き込み翌十月六日には、11月8日にもかかわらず江戸の気温が約摂氏28度まで上昇しました。
ぺリカンもこの暖気に乗ってやって来たかもしれません。
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文久元年九月三日(新暦10月4日)の大風

2021-03-27 12:03:56 | Weblog
悠長ではございますが、今回は文久元年九月三日の大風について考えてみたいと思います。
早速、九月一日以降の荒天の記録を辿りますと

文久元年 9月1日 曇天北東風昨夜中降雨【銚子】 暁雨朝止忽晴大風【郡山】 68度、朝小雨ふる、五ツ時より止、四ツ時よりてり立、夕七ツ少し過より雷雨つよし、暮六ツ半時止、四ツ時快晴星出る【水戸】

文久元年 9月2日 朝より晴冷気【相馬】 曇、冷気也、、夕少地しん、、夜中雨ふる【江戸】北風曇天【新島島役所日記】半晴夜雨降【流山】天気西風【銚子】【武蔵村山】58度、、朝より快晴さむし、終日天気よし、夜ニ入くもる、八ツ過より大雨降【水戸】

文久元年 9月3日 夜より風吹段々強ク成、当年無覚大風ニて、、舟三艘痛、、【鯵ヶ沢】】飯過より大雨也【花巻市矢沢地区】 朝雨今暁六ツ時少々前大雷三落程大雨雨終日【相馬】 陰晴不定雨なし、、夕方より風烈し至暁休、先百年以来稀成豊収なるべし【富津】 くもり時々晴ル夕より大風【世田谷】 風雨ニ相成困り入【巻町】 天気少々間ニばらばら、、夜雨大ぶり【豊田市】 60度、宵より雨ふる、五ツ時より雨止、四ツ時より快晴ニ成ル、夕方より又々くもり南風吹【水戸】


文久元年 9月4日 夜大アレ、雨降【秋田県 院内】 晴、、夜中風吹ク【土佐市】

となっております。九月三日に関東から東北にかけて風が強くなっており、被害の報告は青森県の鯵ヶ沢で大風で船三艘が被害を受けたことが書かれています。
他では、特別な荒天の記録はなかったので、台風は関東から東北にかけて太平洋を北上したのでしょうか。
九月四日にはほとんどの地点で天気が回復しており、この大風が台風なのかどうかはっきりしません。

定点で記録がある新島と銚子の記録を記載してみます。


九月一日  始北風雨天【新島島役所日記】 曇天北東風昨夜中降雨【玄蕃日記】【銚子】
  二日  北風曇天【新島島役所日記】  天気西風【玄蕃日記】【銚子】
  三日  南風天気【新島島役所日記】  天気北東風【玄蕃日記】【銚子】
  四日  西風天気【新島島役所日記】  天気北東風【玄蕃日記】【銚子】
  五日  北風曇天【新島島役所日記】  天気北東風【玄蕃日記】【銚子】  

というわけで、私の頭ではどうしようもありません。頓首

  後は白波ばかりなり

      
 




    
      

 
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文久元年八月四日の台風

2021-03-14 11:54:05 | Weblog
まず、文久元年八月四日の台風、または台風と思しきものを調べたいと思います。

まず文久元年八月四日(西暦1861年9月8日)あたりの気象状況を見ますと、

八月二日には、
       風雨天、洪水【肝付 高山】
       雨波ますます高くして、、五ツ時頃より八ツ迄之間大ニ暑し,七ツ頃又雨、夜ニ入大風雨、夜半頃より暁まて風雨戸を撲【土佐市】
       坤風天気【新島】
 とありまして、日本列島南海上の浪高しと言ったところでしょうか。

翌、三日の強風域は、
       雨天、今晩風戻強【肝付 高山】
      朝雨夕雨過、、夜二更南方沖鳴、西方雲起、、四更頃より大風、雨ハ不甚【蓮池】

       陰天、小雨細々ふる、晩方日輪顕れ、高かかりし波も次第ニ和く、夜ニ入大風雨【土佐市】
     曇、夜風尤甚し雨添【萩】   
       坤風天気【新島】
       天気よし、、朝少々冷気なり、風ふく、残暑甚し【江戸】
 でありまして、晩方に鹿児島県南部、夜には四国南部、萩で強風、翌日の午前1~2時から熊本県蓮池市で大風
 となっております。

四日になりますと
       雨天、、晩八ツ時過より今昼九ツ時迄風烈し、但大風ニ不至して鎮ル【鳥栖】
       曇、南風強、降雨、暫時岡水流、、今朝雨模様ニて四ツ時分風替り雨降出暫時岡水流、、存の外雨少く八ツ時分より相止ミ、夜分に相成晴上り、甚残念【小倉】
       風雨、明六ツ時より昼九ツ時分迄雨、夫より晴 【小倉】
       雨四ツ頃より風添、晩方烈しく成る、波又高く、、七ツ半頃より少々穏ニ成る、西南ノ雲少し退く七ツ、夜ニ入雨なし【土佐市】
     終日暴風添、、夕雨止、風交西ニ変る、大分穏便也、柿棗大く落、米俵ニ付五匁位上り候由【萩】
       曇天今暁より南風強シ、、昼前より雨、益風強く屋根樹木等損し、夕八ツ過風静る【広島】
       晴天少風在巳刻より折々小雨【池田】
       双天九ツ後曇風荒吹夜交天【京都】 
     辰巳南風強し、、昼前通雨晴る【豊田】
       大風、、夜ニ入風雨厳敷、誠ニ上々御しめり【駒ケ根市】
       坤風今朝少々雨天気【新島】
       テンキヨシ、風はげし【江戸】
      天気よし、風、朝少し冷気也【江戸】
      晴天、風【江戸】
      晴天、昼後より南風強し【生麦】        
      晴、大南風【流山】
       晴暑し、されと風あり【中之条】
       天気西南風【銚子】
       78度、90度、朝より快晴、四ツ時比より南風吹出、終日風つよし、夜中も終夜風つよし【水戸】
      晴、同暑厳敷、、夕刻小風【巻町】 
      晩初メ南下り風吹夫より段々強く成雨ふり、朝五ツ頃ニ止ミ夫より朝夕涼く成【鯵ヶ沢】
 との記録があり、

 鳥栖市では三日の午後十時頃から四日の昼十二時頃まで風がはげしかったようです。
 小倉では、朝から南風が強く、午前十時ごろに風向が変わり、昼頃まで強かったった様子です。 
 四ツ時分風替りとありますので、おそらく午前十時ごろ台風は小倉付近を通過し、風は南風から西よりの風になったと思われます。    
 土佐市では、午前十時頃より、午後五時頃まで風が強く、浪も高かったようです。
 萩市では、終日暴風で、夕方には風が西風に変わったとあります。(夕方ころ台風は萩市付近を通過の模様)
 また、萩市では、柿やナツメの実が落とされ、稲作にも被害が及んだようです。
 広島市では、暁から南風が強く、午後二時過ぎに強風は治まりましたが、屋根や樹木に被害があり、広島新川荷上場や草津新地で高汐も
 あった様子です。
 台風の影響は、近畿、東海、関東、北陸、東北に及び各地で南寄りの強風がふきました。 

気象状況からみて、文久元年八月四日の大風は、台風と見てよいと思われます。
台風の進路は九州西部を北上し、中国地方から日本海に抜けたと考えられます。
台風の影響は広い範囲に及びましたが、勢力はそれ程強くはなく、雨域も小さかったように思います。

翌五日になると
    今暁風雨烈敷中にも風烈敷相覚得申候、明方ヨリ止申候【函館】
 とあり、わずかに函館に影響が残った様子です。

さて、ペリカンは飛んでいたのでしょうか。

  
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台風のなか、ペリカンが飛ぶ

2021-02-27 09:56:20 | Weblog
 ペリカンは日本には生息しないそうですが、稀にあらわれる時があるそうです。
迷鳥と言い、台風などに紛れて日本に来るようです。

この度は八軒家絵巻様より、ペリカンが「浪花百景」の中の「江口の君堂」と題する作品に描かれており、
文久年間に、南方の鳥が流されてくるような大型の台風で、大阪付近を通過した記録はありましたでしょうか。

とご依頼をいただきました。


早速、史料に当たってみました。文久年間の六月から十一月の間で、大風の記録や強風、大雨の記録が複数
ある日を抽出いたしました。

文久元年 8月3,4日
     9月3日
     10月5、6日
文久二年 6月3日
     7月14,15日
     7月24,25日
     閏8月11日
文久三年 6月3日
     7月2日(薩英戦争中)
     7月96、10日

が該当しましたが、果たして台風であるかどうかわかりません。
史料も日本国内分しかありませんので、海洋での資料はありません。

今は、衛星画像やレーダ-で発生の様子までわかりますが、文久年間では
日本に影響が出てからしか分かりません。
言ってみれば、現在はピッチャ-が球を投げた時から観察できますが、幕末では、ミットに球が触ってからしか
判断ができない状態です。
結局、台風だとはっきり判別できるのは、日本列島に上陸した台風に限られます。

文久年間は、台風が上陸したと思われる日は、すくないようですが、
やはり、一つ一つ当たってみるよりないようですので次回よりやってみます。

折角のリクエストをいただきながら、地震が寄ったりしまして遅くなり申し訳ありません。
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献春

2021-01-16 16:54:33 | Weblog
あけましておめでとうございます。
と言いましても、今日は新暦では1月16日で、旧歴では12月4日と師走も始まったばかりです。



今年は、地元の画家 東東洋描くところの三幅対を飾ってみました。最初は中幅は 寿老人かと思ったのですが、
左が冬景色で静寂、右が早春で躍動を感じさせる画でしたので、真ん中は 大年神様 と考えたほうが良いようです。

今年の、旧暦1月1日は 新暦の2月12日です。画は旧暦1月1日にぴったりです。

ところで、正月明けの寒さは格別でした。庭の松に霜のようなものが付いていました。樹氷でしょうか霧氷でしょうか
わかる方はご教示ください。



        



どうも今年はコロナでぱっとしませんから、七福神もお出ましになられました。
一人ひとりなどとケチなことは申しません、イッキにお出ましです。



ひとたび、祈るときんば、金はわさわさ、良縁続々、不老長寿、すべての願いが叶う事ゆめうたがうなかれとぞ、
皆様、我先に御拝とげられましょう。
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難物 天保八年の「晴雨日記」の続き

2020-12-21 20:01:24 | Weblog
前回の、晴雨日記の書かれた場所について、考察してみます。

まず、日記の地震の記載についてしらべましたが、この日記には、地震の記載がありません。

現代でこそ地震と気象の因果関係は小さいと考えられていますが、江戸時代は地震と天気は連動するものと捉えられていたように思われます。
従いまして、天気が詳しく記載されている日記には、必ずと言って良いほど地震の発生時間や強度が書かれています。
としますと、この晴雨日記の書かれた場所は地震の空白域だった可能性が強いと思われます。


そこで、日記の書かれた期間の地震発生を、他の日記で調べてみました。

天保八年一月十九日  仙台
    二月十三日  宮城県 涌谷町
    二月十四日  神奈川県 生麦
    二月二十二日 江戸、銚子、流山
    三月二十七日 江戸
    三月二十九日 金沢
    三月三十日  金沢
    五月六日   江戸、銚子、流山、大間々町
    五月十八日  八戸市
    五月二十一日 流山
    五月二十五日 江戸
    五月三十日  仙台、涌谷
    六月朔日   大間々
    六月九日   弘前
    六月十日   仙台
    六月十二日  東京新島
    七月朔日   仙台
    七月十九日  仙台
    八月六日   東京新島
    八月十一日  仙台

となっており、 東北地方、関東地方、金沢近辺で地震が起きており、
地震の記録が見つからない、中部、近畿、四国、九州地方は地震空白域となってます。



また、筆者であると思われる山園氏の苗字分布を見ますと熊本県を中心に大阪以西に分布しております。
従いまして、この日記は京都、大坂以西で書かれた可能性が強いと思われます。

ここで庭の大雪を見て思いつきました。

こんな晩は、雪見酒をしないといけません。庭の石灯篭が盃の形にみえてきました。
続きはまたの機会に致します。  
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難物 天保八年の「晴雨日記」

2020-10-19 18:49:12 | Weblog


手元に 快生堂の「晴雨日記」があります。

記事は



のとうり、天保八年一月十五日から九月末までの天候記録です。

筆者は「快生堂」「宅 山園定之」となるのですが、



ここで、大きな問題がありました。
書かれた場所がわからないのです。
書かれた月日と書かれた場所がわかりませんと、気象デ-タの価値がなくなってしまいます。

最初に「晴雨日記」を見たときは、てんきで-タのみ書かれた良い史料だなあ、と思ったのですが
書かれた場所が分かりません。
通常の日記ですと、地名や神社仏閣から、作られた場所が凡そでも想定されるのですが、天気記事だけで
まったく手掛かりがありません。
 地震の記事も探してみましたが書き込みがありません。
ざっと見にはお手上げです。

仕方がないので、他のキショウデ-タと見比べながら場所を割り出してみたいと思っています。

イエスアイキャン、イエスアイキャン、イエスアイキャン

とは言ってみたものの ノ-アイキャントのような気もします。
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アマビエさまの御真言

2020-09-27 12:01:18 | Weblog
 昨今、コロナの流行で、アマビエ様が大流行だぞとよ

阿弥陀如来さまには「南無阿弥陀仏」
キリストさまには「ア-メン」
不動明王さまには「のおまくさんまんたら、さらだせんだま-かろしゃだ-や、そわたらや、うんたらた、かんまん」
と神様、仏様には、それぞれお唱えする真言があります。

それでは、アマビエ様はいかがでしょうか。
多分なかったように思います。

そこで、 幕末に疫病が流行した時の、まじないの言葉をしらべてみました。
安政五年 のコレラの節の、まじないのうた 
     梅か香は 其木ばかりに香りして 余の木のえだに うつる かもなし     
  天がした 神のみすゑの 国なれば 光れるふしの さわりもあらまじ【塩屋記録】【伊予市】
がありました。
 
また、文久二年のはしか流行の節のまじないとして
はしか除 (多羅葉に書く)
麦殿ハ生まれぬ先にはしかして  かせての後ハ我身なりけり○  何才 誰、、○印の処へ灸を三火  すへ川へ御流し可被成候【大高氏記録】【水戸】
とありました。

文久二のはしか除けをコロナ除けになおしてやってみました。
まずは、葉書の元になったと言われる多羅葉の葉と釘、現代版お灸を用意しました。



葉の裏に釘で、まじないの言葉を書き灸をしました。




灸をすえた後、アマビエさまを念じながら、心静かに近くの川にお流ししました。

麦殿ハ 生まれぬ先にコロナして  かせての後ハ我身なりけり
南無アマビエ大明神、南無アマビエ大明神

                       







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