「大雪(たいせつ)」。二十四節気の21番目 12月7日〜12月21日頃。
大雪(たいせつ)とは本格的に冬が到来するころ。山々は雪に覆われ、平野にも雪が降り積もります。新しい年の準備をはじめる「正月事始め」もこの時期から行われます。
七十二候では、
初候 12月7日〜12月10日頃
閉塞成冬
そらさむくふゆとなる
天地の気が塞がれ、冬がおとずれる頃。空は重い雲に覆われ、生き物はじっと気をひそめています。塞ぐという言葉は、寒さから人々を守るという意味でとることもできます。
次候 12月11日〜12月15日頃
熊蟄穴
くまあなにこもる
熊が冬ごもりの時期に入り、穴にこもる頃。春になるまで、穴の中で過ごします。熊だけではなく、しまりすや蛙、こうもりも冬ごもりを始めます。
ところが、今年は!
クマ被害人数 11月までに211人で過去最多 冬眠時期も注意を
クマに襲われてけがをするなど被害にあった人の数はNHKのまとめで、先月までに少なくとも19の道府県で211人に上り、国が統計を取り始めて以降、最も多かった3年前をすでに50人以上も上回り、過去最悪となっています。12月は多くのクマが冬眠に入る時期ですが、専門家は特に被害や出没が続いている地域では引き続き、注意するよう呼びかけています。
環境省のまとめによりますと、ことし4月から10月までにクマによる被害にあった人の数はあわせて182人に上っています。
また、NHKが各地域局の取材をもとに集計したところ、11月の被害は少なくとも29人で、環境省の集計と合わせると211人に上り、このうち6人が死亡しています。
これは環境省が統計を取り始めて以降、最も多い158人の被害が出た3年前・2020年度の1年間をすでに50人以上も上回り、被害にあった人の数と死亡した人の数、いずれも過去最悪の被害となっています。
道府県別に見ますと、
▽秋田が70人で最も多く、
▽岩手が47人、
▽福島が14人、
▽青森が11人と東北地方で被害が多くなっています。
このほか、▽長野で11人、▽新潟で10人、▽北海道で9人、▽富山で9人、▽岐阜で7人、▽山形で5人、▽群馬で4人、▽宮城で3人、▽石川で2人、▽福井で2人、▽山梨で2人、▽島根で2人、▽栃木で1人、▽三重で1人、▽京都で1人と19の道府県で被害が出ています。
クマの生態に詳しい東京農工大学大学院の小池伸介教授は「クマは食べられるものがなくなると冬眠に入る習性があるが、人里の柿やくりなどを食べているクマはエサがなくなるまで冬眠に入らない可能性もある」と指摘したうえで、最近になってもクマによる被害や目撃情報がある地域では引き続き、注意するよう呼びかけています。
「大量出没」の年 12月以降も被害や出没多くなる傾向
ことしの全国の被害件数を月ごとにみますと、春先から夏にかけては被害は数人から10数人程度で推移していました。
その後、9月は38人、さらに10月には、73人と急増し、10月は1か月の被害としては国が統計を取り始めて以降、最も多かった2006年10月の49人を大きく上回り、かつてない規模の被害となりました。
クマは冬眠に備えてエサをたくさん食べる習性があることから、例年、冬眠前の時期に被害が増える傾向があり、NHKのまとめでは先月11月も少なくとも29人が被害に遭いました。
12月に入ると、冬眠に入るクマが徐々に増えるため、例年、被害件数は少なくなる傾向がありますが、ことしのようないわゆる「大量出没」と呼ばれるような年には、12月以降もほかの年より被害や出没が多くなる傾向がみられます。
全国で最も多い被害が出ている秋田県など、クマの出没警報を今月末まで延長して警戒を呼びかける地域もあり、今月以降も地域の出没状況に合わせた警戒や注意が必要です。
専門家 12月以降も警戒緩めず対策を
専門家は、12月に入っても特に被害や出没が続いている地域では、警戒を緩めず、対策をとるよう呼びかけています。
クマの生態に詳しい東京農工大学大学院の小池伸介教授は「クマは冬眠に入ってもあまり体温が下がらない動物で、近くで物音がすると起きてしまったり、中には冬眠をする穴を途中で変えるようなクマもいる。クマの生息域が人里に近くなり、どこでクマが冬眠していてもおかしくない状況で、冬の間も注意してほしい」と呼びかけています。
また、小池教授は「ことし被害が増えたのはエサとなるドングリなどの凶作だけではなく、これまで行ってきた保護の政策によってクマの個体数が増えている可能性が考えられ、クマが山林から人里に出てきてしまっているおそれがある」として、人とクマが生活するエリアをすみ分ける取り組みなど、今後はより長期的な視点での対策を進めていく必要があるとしています。
具体的な対策としては、▽柿やくりの木などのクマを呼び寄せるものはないか、▽クマがどんな経路から人里に近づいてきたのかなどを地域ごとに分析することを挙げ、冬眠から目覚める来年の春先までに対策を練っておくことが重要だと指摘しています。
末候 12月16日〜12月20日頃
鱖魚群
さけのうおむらがる
鮭が川を遡上する頃。海で育った鮭は、産卵のために自分の生まれた川へと里帰りをします。北国では冬を代表する光景のひとつであり、迫力のある遡上を見ることができます。
(写真提供:しおもっちゃん)
旬のもの
花
シクラメン
年末から飾られることの多いシクラメン。色は赤、白、ピンク、紫と様々。トルコなどで豚がシクラメンの球根を食べたことから、「ブタのパン」「ブタのマンジュウ」とも呼ばれます。
果物
洋梨ようなし
洋梨はある程度熟したものを収穫し、保存し、成熟させてから食べます。そのため、食べごろの見極めが重要。シャリシャリとした食感ではなく、とろけるような甘さが特徴的です。 (写真提供:つるぴカードさん)
魚
鱈たら
産卵期を迎えた鱈が蟹や海老など、身近な物を何でも食べてしまうことから「鱈腹」という言葉ができたといわれています。おいしい鱈は、お腹の色が白く、背中の模様がはっきりとしています。
野菜
大根だいこん
おでんや粕汁など冬のメニューにかかせない存在である大根。年末年始で暴飲暴食が多く、胃がスッキリしないときに、大根をおろして食べると、不快感を解消してくれます。
次は、「冬至」12月22日(金)