運転席から。
中央道(大月~河口湖~山中湖)。
桂川。
相模川(さがみがわ)の上流・山梨県内の呼称。富士山の伏流水を水源とする忍野八海、山中湖に源を発する。由来については、かつて都留市東桂から富士吉田市明見、鐘山へと続く流域に桂の大木が茂っていたことに因む説や都留郡のつるが蔓葛(つる)と転記され、蔓葛(かづら)の読みから桂へ転記されたとする説[石割山の石割神社の桂の神木に因む説などがあり、定かではない。
リニア実験線。
右手後方に「山梨県立リニア 見学センター」があります。
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JR東海が強引に進める東京・品川―愛知・名古屋間を走らせるリニア中央新幹線。総事業費約7兆円のうち3兆円は政府の財政投融資が活用された。2017年から3年間貸し付けられたこの財投は前年の16年、当時の安倍晋三首相が盟友の葛西敬之JR東海代表取締役名誉会長(22年5月に死去)を支援するために実現させた。担保なし、30年間での元本返済、平均0・86%の低金利という厚遇した案件だ。国策民営事業に転じたリニア新幹線が目指す27年開業は、「困難」と丹羽俊介社長は明言。工事の遅れが理由だが、では開業はいつごろになるのか。また45年に大阪までの延伸は可能なのか。
「今の状況から推察すると品川―名古屋間の開業は早くても12年後の2035年ですね」というのは「〝悪夢の超特急〟リニア中央新幹線」(旬報社、2015年度JCJ賞受賞)の著者でジャーナリストの樫田秀樹氏だ。
約30カ所で遅れ
「私はJR東海などの公開資料を基づき各工区がどのくらい予定より工事が遅れているかを調べました。表にリストアップしたのは遅れ年数のベスト7で、トップは8年遅れの神奈川のリニア神奈川駅非開削工区。7年遅れの2位は神奈川と岐阜の2区、6年遅れの3位は岐阜と長野の工区が並び、5年遅れの4位はリニア山梨県駅、3年9カ月以上の5位は愛知名城非常口、3年半以上の6位は長野坂島工区、3年5カ月の7位が長野釜沢非常口です。3年、2年、1年の遅れを含めると合計30近くにもなります」
その主な原因は①用地取得ができていない、②停車駅がなかなか決まらなかった、③入札までの作業がスムーズに運ばず工事が未契約、④住民による反対運動、⑤JR東日本との話し合いが長引いている。
交渉行き詰る静岡
リニア新幹線と言えば、JR東海と静岡県の川勝平太知事との〝ケンカ〟が有名だ。同県の工事の遅れは3年になる。川勝知事が難題をJR東海に押し付け強硬に工事を阻んでいるのでリニア新幹線は進まないと〝川勝バッシング〟はネットなどで今でも激しい。
樫田氏は「決してリニアに反対派ではない川勝知事は、リニアを進めるにあたり47項目からなる質問書をJR東海に提出している。これには南アルプスのトンネル掘削工事などで水脈が断ち切られ大井川流量が毎秒最大2㌧減り7市2町が影響を受けるので解決策として水の戻し策要請も含まれている。JR東海の回答をのむことができれば知事は工事を認可します」という。しかし静岡はJR東海から回答をもらっていない。両者の交渉は完全に行き詰っている。このままでは工事は遅れる一方だ。
リニア裁判では国の工事認可取り消しを沿線住民から提起された東京地裁の市原義孝裁判長らは昨年9月に山梨リニア実験場周辺に暮らす原告を含む住民に騒音の状況や日陰・水枯れの有無な、農業への影響などを聞き取り調査した。18日の東京地裁の判決は国の認可取り消しを認めず、住民側の請求を棄却した。
裁判を傍聴してきた樫田氏は「山梨リニア実験線の沿線住民から聞き取り調査までした裁判官への原告の期待は高かった。2月結審から判決まで5カ月間もあったので、意味のある判決が下されると原告弁護団も考えていた。ところが判決文は、国やJR東海の主張をコピペした内容で、現地調査も触れていなかった」と悔しがる。
「不当判決」と訴える原告らは控訴する。
南アルプス市民からJR東海の工事差し止めを求められた甲府地裁の新田和憲裁判長らも9月に同じく山梨リニア実験場の周辺住民に聞き取り調査を2日間行う。判決は来年。
延伸アセス見送る
昨年4月山梨リニア実験場で試乗した岸田文雄首相は名古屋―大阪間の環境影響評価(アセスメント)作成の前倒しを表明したが、JR東海は「今年度は、アセスは見送る」と今年4月に拒否した。品川―名古屋間の工事が大幅に遅れているので、予定通りの延伸は絶望的になったからだ。
工事の遅れによる経費の増大、人件費・建築資材の高騰などで事業費は膨れ上がる一方。本当にリニア新幹線はできるのか。
「品川―名古屋間の総事業費は7兆円を超えるのは間違いありません。9兆円に迫る可能性もある。となるとリニアがJR東海の経営の足を引っ張ることになる。再び財投がつぎ込まれるかもしれない。名古屋から大阪までの延伸は中止もあり得ます」(樫田氏)
金食い虫でトラブル多発のリニアにJR東海は振り回され右往左往している。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2023年7月25日号 より
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