先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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1919年11月の労働争議 (読書メモ・・・「日本労働年鑑」第1集1920年版 大原社研)

2021年01月26日 09時11分23秒 | 1919年の労働運動

「従業員の人格を尊重しろ」と立ち上がった東京市電の日本交通労働組合

1919年11月の労働争議
(読書メモ・・・「日本労働年鑑」第1集1920年版 大原社研 )

1919年11月の主な出来事

11.-  徳島県板野郡大山村ほか2ヵ村小作人1600人,小作組合を組織
11.-  鈴木文治《日本の労働問題》刊.
11.8  東京市電従業員組合,幹部解雇に反発し,8時間労働制・退職金制度などを要求.いったん解決後再燃し妥結.
11.9  釜石鉱山労働者,大日本鉱山労働同盟会支部結成.11.10 150%賃上げ・8時間労働制などを要求.12.1ストに軍隊出動で鎮圧
11.9 向上会設立 大阪砲兵工廠従業員の企業別組合,穏健な改良主義的組合として発足 右翼社会民主主義系の組合として総同盟に同調
11.10  朝鮮,金元鳳,義烈団を組織(吉林).
11.18  朝鮮独立運動の指導者呂運亨入京.拓務局長官・陸軍が懐柔のため招致.11.27呂記者会見で独立論を述べ問題化.
11.2  立憲青年党・全国青年団体30余と学生有志を糾合した青年改造聯盟発会.綱領は普選実施,労働者団結権承認等.
11.21  大日本機械技工組合発会式.
11.24  日立鉱山,友愛会員70人を解雇.
11.24  大阪朝日社主催の第1回婦人会関西聯合大会 .女性は結社加入禁止、集会参加禁止の治安警察法第5条反対運動展開.
11.26  足尾銅山争議 大日本鉱山労働同盟会,足尾銅山に飯場制撤廃など要求スト(~12.5). 足尾銅山の286人を解雇に労働者の怒りが爆発し戦闘化し「飯場制度の撤廃」を要求しスト.要求は容れられなかったが,争議後経営側の主導により飯場制度の廃止・労資懇談制の導入が進められた.
11.27  1年志願兵条例・1年現役兵条例,各公布.
11.28  失業に関する国際条約採択.児童労働の最低年齢を定める国際条約採択.26.8.19批准公布.

11月の労働争議

11.1 300名突然機械のエンジンを切り全員帰宅
1日午後3時すぎに大阪北長柄大阪毛織株式会社(男工300名、女工400余名)、男工は賃金値上に不満を持ち、突然機械のエンジンを停止して大多数が仕事を放棄し帰宅してしまった為、残された女性たちは仕事ができず、そのうちに、夜勤労働者が出勤してくるという騒ぎになった。会社はあわてて労働者側から聞いてその要求を調べた。その大要は「10時間労働制へ、残業2時間、時間給の値上、定休日を月2日へ、5割増給、その他」であった。結局工務部長と労働者側代表が話し合い会社に一任する事となり、その日の夜勤は平常通り就業したが、100余名の労働者は付近に集結した。同会社は仕事の多くは請負制で日給は男に限っている。近く日曜2回を公休とし請負制廃止し多少の賃上げを実行する準備をしている。

11/1 石材の労働者は工賃値上要求
兵庫県印南郡龍山石材の労働者は工賃2割5分要求を決議し問屋側と交渉を開始した。

11/1 製糸工場約900名ストライキ
1日埼玉県、武蔵、豊岡石川第一製糸工場約900名は賃金5割の値上を要求しストライキに突入した。同地の警察の仲裁で会社が「年末に相当の手当てを支給する事」を約束し同夜解決した。

11/1 陸軍航空隊飛行機労働者ストライキ
所沢陸軍航空隊飛行機労働者約300名は「賃金5割増給」を要求しストライキを行った。同地警察署長は大いに「慰撫」に努めた結果「年功に相当な手当を支給する旨」を約束しその夜解決した(しかし、11月6日の報知新聞は、他工場のストライキの誤りであったと訂正取消をした)。

11/1 小樽鉄工業25工場ストライキ
1日北海道小樽鉄工業25工場は8時間制実施を決定した。ここに属する労働者350余名は11月7日から賃金値上運動を開始し「3割増給」を要求した。しかし、工業組合は時間短縮早々の事で労働者側の要求を拒絶した。労資は度々交渉したが、結局交渉不調に終わり、19日ついに労働者一同はストライキを敢行した。

11月初旬 秋田油田労働者140余名ストライキ勝利
秋田県秋田礦油株式会社道川油田140余名が賃金値上を要求したが、本社が拒絶したのみでなく仲に立った同地出張所長に転勤を命じたので、技師もまた辞職した。労働者側は要求貫徹の為ストライキを開始した。ついに会社は労働者の要求を受け入れ最高手当40円最低2円を支給する事となり解決した。

11月初め 大牟田港船員・水夫ストライキ
大牟田港帆船会社船員は手当5割の増給を要求し、会社は2割5分を回答したが、労働者側は初志貫徹を主張したので会社はこれを拒絶した。船員は11月20日コークス船を三河沖に停泊したままにした。あらたに水夫60余名も闘いに参加しストライキに突入した。その後労資は妥協が成立し、解決し22日から操業した

11月 郵便局下級の労働者は期せずして団結せんとしている
東京日本橋郵便局では11月に入り、一日30万もの郵便物が集まり労働者は大変な苦労をしたのに、ほんにの僅かな手当支給のみで怒りに堪えず、8日は11名郵便集配人中出勤者は僅かに3名しかいなかった。彼等の初任給の日給の45銭で、10年たってもようやく60銭位だという。同局内の下級の労働者は期せずして団結せんとしている。

11/2 新聞配達労働者の団結
2日東京神田松本亭にて、東京市内各日刊新聞社直属の各販売所の配達人(総数約5千人という)は、11月23日、日比谷公園で新聞配達夫苦学生救済国民大会を開催した。しかし、計画していた示威行進(デモ)は警視庁により中止され、各新聞社を訪問した直接要請行動を行った。

11/4 製糸女性労働者400名ストライキ
4日山梨県若尾製糸合資会社女工800名中の約半数は例年開かれていた慰安会が中止になった事に怒りストライキを行った。

11/4 船主瀬戸内帆船同盟会の船賃値上ストライキの準備
4日瀬戸内の岡山、愛媛、広島、山口の帆船主は「瀬戸内帆船同盟会」を組織し、船賃値上げ運動を起こした。帆船同盟側は結束を固め荷主側に対するストライキの手段に訴える準備をした。22日荷主側は船賃値上を受け入れ22日解決した。

11/4 三菱の端島炭鉱ストライキ
4日長崎県、三菱が経営する端島炭鉱夫170名は賃上を要求してストライキを行った。他の非役労働者も休業したので会社は賃上を回答し、8日ようやく解決して労働者は就労した。非役労働者も同時に賃上を要求していたが、こちらの運動は具体化しなかった。

11/4 三度繰り返すサボタージュ闘争で賃上獲得
10月6日福岡県戸畑東洋製鉄会社戸畑工場コークス場340余名が賃金5割値上を迫って8日から9日正午までサボタージュを行った。その後会社は、「1割2分5厘」の賃上げを決めたが、労働者は甚だ不満の意を示し「8時間制採用、賃上、慰安その他待遇
改善」を決議し要求し、11月4日より再びサボタージュを決行した。その後労資は「8時間制、手当4割増本給加算3割」で本社と協議することで合意し、11月7日からはサボタージュを中止した。しかし、その後の会社の姿勢に工作部労働者500余名は、11月12日から再びサボタージュをはじめ13日も続行した。23日に「賃金4割増給と更に4割7分の手当支給」等が決定し、解決した。

11/5 上司への日ごろの不満でストライキ
5日福岡県三池鉱業所七浦炭坑運輸部工夫35名は日ごろから常に不満を以っていた某管理職に怒り、ストライキを行った。

11月上旬 日暮里鬼怒川水田変圧所の労働者「待遇改善要求書」に全員が捺印
東京日暮里鬼怒川水田変圧所の労働者の中で賃上運動が起こり、全従業員に波及し11月中旬には「待遇改善要求書」に全員が捺印した。労働者側の要求は「10割の増給と積立金の払い戻しと年2回の腹掛と股引の支給」を要求している。

11/6 青森駅貨物積み下ろし労働者100余名のストライキ
6日青森駅各運送店貨物積み下ろし作業の倉方労働者100余名が全員でストライキを行った。この間、鉄道院が貨車の配給を減らした事で倉方の稼ぎ高も減り生活困難に陥り、ついに一切の作業を停止するストライキに入った。

11/7 鉄工所250余名のストライキと敗北
7日横浜市禪馬鉄工所250余名は、「8時間制の実行、賃金3割増給」を要求した。しかし、会社は断然この要求を拒絶したので、職長と徒弟以外の全労働者がストライキの手段に訴えた。会社の不誠実な態度に怒った労働者側は、10日に全員の連決辞職を申し出た。職場には職長と徒弟以外誰も居なくなり工場は閉鎖された。13日労働者側が折れて「無条件で就業する」と支配人に申し出て14日より就労した。

11/8 「従業員の人格を尊重しろ」と東京市電日本交通労働組合の要求
8日東京市電気局各車庫の運転手車掌は「日本交通労働組合」の名で、電気局長に「①従業員の人格を尊重しろ②8時間制に③歩合制を止めて日給制に④期末手当2か月分の支給⑤退職金の支給」の要求書を提出した。おおいに驚いた電気局は、8日夜亀沢町車庫、青山車庫、三田車庫、三輪車庫等の10名の労働者を首謀者として一方的に自宅待機命令処分にしてきた。9日、中西交通労働組合理事長以下代表の面会申し入れも拒否され、10日早朝平井総務課長に要求書を提出し、10名の解雇通知書を「あくまで戦う」と突き返した。
井上電気局長は各新聞社に「8時間制にすると、現在の8300名の外に更に約2000名も雇わねばならない。そうなれば電車賃の値上も必要になる」等話す一方で各車庫の監督を使い団結の切り崩しに奔走した。12日午前8時より麻布四ノ橋弥生座において報告演説会を開催した。正服や和服の運転手車掌で満員となった。13日10名の解雇の責任者山本電車課長は引責で辞表を提出したと噂された。しかし、浜松町工場の遠山、西村、汐見、青山等を中心とする連中が交通組合に反感を抱き、警視総監等を訪ねて、協調会の協調を求めたり交通労働組合の急進的行動を不快とし脱退して別派を作るなどと言った。被解雇者は山崎今朝治弁護士を代理人として電車課長を訴えると言っている。25日組合は遠山一派を除名した。12月13日頃には「30日から年始にかけたストライキ」と再び「局長、課長の排斥」の声が高まった。市当局は驚き、内務大臣に応援を求め、岡警視総監が仲裁をする事となった。警視総監は「年末手当の増給」などの仲裁案を提案したが、労働者は背後に警察力を持つ強圧的な仲裁に極度の反感を持ち、総裁の仲裁案を拒絶した。各支部から断固闘うの決意を示す最後に処すべき辞職届けが続々届けられ、本部にその山が作られた。こうして労働者の中で「ストライキ」「サボタージュ」の声と組合歌がひとしきり高唱された。当局はストライキ対策として陸軍より工兵隊や交通大隊や鉄道大隊に応援を求め、また、在郷軍人会や某自動車学校も当局への応援を申し入れてきた。17日東京市参事会は、要求の内退職手当の件を満場一致で可決した。組合幹部も争議休止に傾いた。25日井上電気局長は、市会の質問に「①人格の尊重は意味不明鳴り、②8時間制は趣旨は賛成だが現在の電気局では到底実行は不可能にり、③歩合制の日給制は現在時間割を調査中なり、④年2回の手当ては予算に関係することなので、市会の決議を経ての後のことなり、⑤退職金も同様予算に関係するので直接市長と交渉されたし」と答えた。

11/9 釧路港約40名のストライキ
9日北海道釧路築港工部の約40名は賃金5割増を要求し、10日午後2時よりストライキを行った。10日当局は2割5分~3割増給を発表して解決した。

11/9 岩国鉄道労働者の賃上げ
岩国町岩国電気軌道株式会社の労働者は7割増給の要求を決議した。11日午後社長は従業員を会社屋上に集め「3割から2割」の増俸を発表した。労働者側はこれでは不満と答えたので、会社は更に「5割から3割」の増俸を発表した。一同納得して解決した。

11/10 軍隊出動、釜石鉱山労働者6千名ストライキhttps://blog.goo.ne.jp/19471218/e/9641f41c1c7a3aa64a67f49787e0e5db

11/10 長崎市三菱造船所立神工場約1500名の闘いと敗北
10日長崎市三菱造船所立神工場約1500名は同社内相互修養機関たる三笑会幹部に対して「①8時間制の実施、②5割増給、③盆暮に賞与3か月分の支給、④白米の廉売」を要求した。三笑会幹部は12日、会社に要求書を提出した。14日会社は要求全部を拒絶すると共に今後同様な要求を提出する者は断固処分すると脅してきた。15日一部の労働者は工場から退場して協議会を開催したが、会社側はその主唱者とみなした労働者約8名をクビにしてきた。17日にも会社は労働者の強硬派を続々とクビにしてきた。18日、ファーネス工場59名の労働者は連名で解雇された労働者の職場復帰を願いでて「今回のような行為を今後は決してしない」という決議書に署名して会社側に提出した。

11/11 「8時間制」会社進んで受け入れる
11日横浜市平沼町東西製材株式会社労働者200名は代表を選び「8時間制と増給」を要求した。会社は進んでこの要求を受け入れ、翌12日より8時間制を実行した。なお、労働者の生活状態を調査の上、増給と待遇改善をはかるという。

11/11 横浜市内電車のストライキ
11日、横浜電気鉄道会社の乗務員400名中約半数の200名は午後7時頃、横浜市山吹町寄席山吹亭に集合し、会社に対し「①8時間制の実行、②歩合10割増給、③罰金の会社負担等16ヶ条」を要求することを決議した。13日夕刻会社はこれを過大な要求として拒絶してきた為、同夜再び山吹亭に集合し「15日正午までに要求が容れられないならば総辞職をする」と申し合わせた。会社は高圧的に対応し、14日朝、労働者5名の中心人物をクビにしてきたので、一同大いに怒り、午後2時の200余名の交替時に車庫内で協議したまま誰も就業せず、午後4時には全線休止となった。会社は一定の賃上げの貼り紙を掲示してきた。しかし、労働者は納得せず直ちにこの貼り紙を引き破るなど一時騒然とした。午後10時警察が仲裁に入ったが、警察は只ただ「慰撫」や「威圧」やらばかりでだったが朝5時までかけてようやく運転を承諾する者20余名を得て、各車ごとに巡査を乗り込ませてなんとか10数本の運転を実現させた。11時頃には約50本が運転した。午後1時の交替者は皆が就労したが、会社は午後2時に「①8時間制は国際会議の結果判明まで留保、②10割増給拒絶、③解雇者の職場復帰拒絶、④代務勤務者に一人五分を支給、⑤特定勤務は折をみて廃止する」等と発表した。労働者は会社の不誠実をなじりつつ午後3時より再び全線を休止させ、車庫内に集結して動かなかった。一方労働者の中に著しく妥協的な提案をする者が続出したが、最終的には強硬側が力を得た。16日、午前零時半、労働者側と京浜新聞記者団有志が会合を持った結果、「一切の交渉を記者団に一任する」となり、16日は全線で就業することとなった。会社も承認し解雇者問題は「一人150円」にて解決した。17日午前7時会社は「①精勤賞は5円平等とする事、②釣銭は白銅及び銅貨各50銭を持たす事」「公務中の負傷者の治療費を会社が負担する」「罰金料は別に規則を作製する」等を発表した。労働者一同、万歳をして散会した。

11/12 ストライキへの会社幹部の言いぐさ
12日名古屋市山岸製材所120余名は正午の休憩時間を利用して一同会合の上、「①時間短縮、②賃金3割増給」の要求を決め会社に提出した。従来同社では労働時間は11時間半で日給は1円50銭である。会社は「10時間に短縮して、1割増給を実行するが、これに不服な者は出社に及ばぬ」とすこぶる高圧的態度に出てきたので、労働者側の憤激は激しく、ついにストライキに入った。しかも同会社八幡分工場の500名も本工場の仲間と同一の態度を取ろうと動きだしたので工場長の種々の慰撫の結果なんとか半数以上の就業となった。
11月4日の新愛知新聞で、会社幹部は
「罷業などということはどこでもそうですが、ほんの二三の主謀者によって煽動されるのですから、私の方では別に善後策を講ずるとか仲介者を立てて円満な解決を望むとかいうことは断じて致しません。主謀者とみられる二三の者さえ馘首にすれば当然これは解決する事です」と述べている。

11/13 2000名のサボタージュ闘争
13日午前大牟田市三井製作所400名は賃金値上の件でサボタージュを開始し、14日は全労働者約2000名がサボタージュ状態になった。

11/13 菓子店の労働者10数名の団結
13日呉市楠堂菓子店の労働者10数名は結束して賃金5割の要求をした。翌日店主は要求を全額受け入れたのですぐに解決した。

11月中旬 名古屋市内電鉄の乗務員の賃上要求
名古屋市内電鉄の乗務員300余名は手当増給を要求した。全労働者700余名も騒ぎだした。

11/14 900名サボタージュ闘争
14日東京府下大島町、大島鋼鉄会社900名は「①8時間制実施、②賃金一人一日30銭の値上」を要求した。会社が経営不振を理由に拒否してきたので、労働者側は2千余円の資金を作り17日からサボタージュをはじめた。これに対し会社は「25日から工場閉鎖を行う」と脅してきたので労働者側はますます団結を強くした。労働者側は友愛会の平沢氏と相談しながら26日「同盟罷業職工大会」を開催した。労働者代表委員と大川社長と協議の結果27日午前3時に「①8時間制と賃上は留保、②今後会社が利益分配をする時は労働者にも分配する、③25日26日の休業には本給を支払う」の協定が成立した。

11/15 千住皮革会社ストライキ
15日東京千住日本皮革会社230余名は「物価高騰甚だしいので臨時手当5割5分を本給に算入し、更に3割の臨時手当の支給」を要求した。19日会社の態度が強硬のためサボタージュをした。しかし、会社の営業部長は「会社に反抗する者は断固解雇する」と申し渡したので、これを聞いた労働者は大いに憤慨して全員でストライキに突入した。6名の代表を選び20日夜には北千住で大演説会を開催し気勢を挙げ、また、万一の事を考えて以前から積立を行い、その額は3500円あり、この時は寄付金もあり5000円にも達していた。同社に友愛会の会員が多いこともあり、友愛会としても全力で支援し会社に対抗したが、会社は頑として応じなかったばかりか「大阪から(スト破り労働者を)100名連れてくるぞ」と言いふらし、ストライキの切り崩しに熱中し、「壮士」(右翼?)を雇って脅迫させたり、労働者の自宅まで行き復職を勧めたりした。26日警察の肝いりで労資協議を警察署内で行った。

11/15 絞染労働者の団結
15日名古屋染物業界に属する絞染労働者は各町の同職者を糾合、西区の大黒座で集会を開催し「5割値上」を決議した。19日業界側は「1割値上」を回答したので、労働者側は激高し23日大黒座に約170余名が集結し要求貫徹を期した。24日午後業界側は「1割5分の値上」を決定した。

11/15 盛岡市内4つの印刷会社の労働者の団
15日盛岡市内4つの印刷会社の労働者約100名は賃金増給の要求を提出し、16日は全員休業した。労働者側は不満ながら2割5分の賃上で妥協した。

11/16 労働者の生活状態を調査
16日横浜電線会社1450余名は代表4,5名を選び労働者の生活状態を調査し「現給の5割増の賃金が労働者の生活上是非必要」と結論を出して会社に提出しようとした。しかし、この結論に不服を唱える者たちがあり、労働者側の歩調が乱れ協議を重ねている。

11月中旬 刷子業10数ヶ工場労働者の団結
大阪市内刷子業10数ヶ工場の刷子工組合の労働者約50名は2割値上要求を行った。刷子業社側では今繁忙期であったので大部分は値上に応じたが、3、4の資本家側はこれを拒絶したので、11月18日午後刷子工組合事務所で会合を持ち、19日からストライキを実行した。2割値上を実現した会社の労働者は、その2割をストライキ継続資金に提供した。20日午後全ての工場が値上を承諾し解決した。しかし、これを聞いた平穴部の労働者も同じ要求をしたので平穴部も明年より2割値上で解決した。

11月中旬初め 鷹取鉱山の労働争議
茨城県三菱が経営する鷹取鉱山労働者に賃金値上運動を起こさんとする者が現れ、会社側もこれを察知して、労資双方で賃金値上を協議した。

11/17 門司石炭沖仕の労働争議
17日門司石炭沖仕小頭は小倉、彦島の同業者の一部と共に「賃金5割5分増し」を石炭積込請負業社に要求した。近頃各地の工場で8時間制が採用されたが、沖仕には何らの恩恵もなく不公平だと今回の要求をした。25日石炭積込請負業社は「本年夏に3割5分の値上を実行したのにこれ以上の値上は不可能だ」「強いて5割増給を要求するならば、沖仕組を解散する」と強硬に沖仕たちの要求を拒絶してきた。

11/17頃 瓦製造業労働者ストライキ
17日頃大阪府多奈川村瓦製造業労働者180余名は工賃2割値上を要求してストライキを行った。

11/18 マッチ会社工場労働者ストライキ
18日大阪市土井マッチ会社工場労働者男女130名は賃金2割値上を要求して拒絶されたのでストライキを行った。

11/20 東京下谷南文三商店ネクタイ工場労働者の争議
東京下谷南文三商店ネクタイ工場労働者60余名は値上げ要求した。工場側は要求を拒絶するとともに工場閉鎖を行った。21日付近の寺院に60余名が集結し22日夜も報告演説会を開催し友愛会本部より数名の弁士の応援があった。

11/20 三池鉱業所炭坑労働者の争議
20日福岡三池鉱業所宮の浦三番方坑夫300名は賃金値上を要求した。23日午前6時に一番方坑夫280余名も交代の間際に同じ協議をし、入坑をやめて値上運動を開始した。会社側は労働者一人ひとりの所に出かけて労働者の意見も聞き双方でよく熟議した結果解決した。

11/20 足尾銅山一万人のストライキhttps://blog.goo.ne.jp/19471218/e/5edecd8d40b255dd836502470a76f49b

11/21 九州電燈鉄道久留米支店の労働争議
21日から九州電燈鉄道株式会社では8時間制を採用し2割の賃上を行った事に、久留米支店労働者24名はこれに満足せず、今まで通りの「10時間労働制うち2時間歩増し」を要求しサボタージュをはじめた。会社は拒絶するとともに主謀者1名をクビにしてきたので、23名全員が連決辞職を申し入れた。

11/22 賃上げを要求したら全員解雇・工場閉鎖
22日東京牛込三洋社ゴム工場の労働者は賃金値上げを要求した。会社はこれを機会として労働者全員を解雇し工場閉鎖を行ってきた。労働者一同は隊を組み警視庁まで出向き事情を説明し保護を求めた。 

1/23 精功舎賃上げ要求
23日東京柳島精功舎仕上げ工200余名は2割増給を要求した。会社は結局全労働者1千名に1割値上げを発表したが、労働者側は更に要求を固持したので会社は仕上げ工に限り1割5分まで回答したが、仕上げ工側はなお2割を主張し続けた。ただし就業はしている。

11/24 福岡県帝国炭業会社小松鋼業所の労働争議
24日福岡県田川郡後藤寺町の帝国炭業株式会社小松鋼業所第一、第二の両坑機械部180名は「①8時間労働制の実施(超過時間には割り増しを支払う事)、②一ヶ月4回の公休日を設置する事、③現在の3割手当てを本給に算入し、更に5割の手当てを支給する事、④現在の積立金制度を全廃する事」等を要求した。

11/25 台湾縦貫鉄道労働者ストライキ
25日台湾総督府鉄道部の縦貫鉄道労働者はストライキを行った。全島の運輸交通に重大なる損害が発生した。

11月下旬 愛知県菊井紡績女性労働者ストライキ
愛知県愛知町の菊井紡績会社の女性労働者150名は会社に不満を抱き、ついにサボタージュをするに至ったが、2.3日ですぐに平常に戻った。その原因は賃金問題とも工場の監督者に問題ありとも言われている。

11/25 東京砲兵工廠の要求
25日東京砲兵工廠の労働者は集結協議の結果、「①12月は例年20日限りで仕事を打ち切られているが、本年は30日まで就業させる事、②年末年始の休暇は例年、29日、30日、31日、1日~10日までであるが、今年は収入減収を避ける為に、30日、31日、1日の3日間とする事、もし無理であれば休暇中の日給を支払う事、③診療所を拡張して公傷だけでなく私傷及び家族の疾病も診られるようにする事、④人事相談所を設置する事」等の要求を当局に提出し交渉を重ねた。結果、12月の4回の日曜日に出勤し、年末に賞与を与え、診療所の拡張は早速来春より実行する事となった。

11/27 日立鉱山の労働争議
27日久原経営の水戸の日立鉱山が鉱山労働者30名と同所助川製作所の労働者27名計57名を無予告でクビにしてきたので、足尾、釜石の大争議もあり全山に緊張があふれた。クビになった労働者には友愛会会員が多く、友愛会側は会社の友愛会への挑戦だとし友愛会鈴木会長は久原本社に出向き鉱山側の不当を責めた。棚橋幹事は鉱山に行き被解雇者の復職を迫ったが会社は拒絶した。12月2日夜「報告演説会」を開こうとし本部から麻生、棚橋、支部からは朴澤、白鳥等の出席のもと労働者100余名が集結した。しかし、官憲は集会の喧噪を理由に解散を命じ労働者側は抵抗し官憲は12.3名を拘引し、婦人の外一切の交通を禁止する圧力を加えたが、3日朝になり友愛会員180余名が集結して再び不穏な状況となり、午後には器物破壊を行う者も出てきたので、水戸憲兵18名、県警察部から巡査130名を動員し労働者側に襲いかかり、友愛会幹部ら60余名を一斉に検挙した。友愛会鈴木理事長は数回水戸に来て対応したが、友愛会からの脱会者が次第に増えるのでしばらく様子を見る事となった。

11月末 陸軍馬丁は結束して再度の運動で5割増給を要求した。

11月下旬 横浜埠頭車力労働者ストライキ
横浜埠頭の税関構内の車力労働者70余名は友愛会海員部長浜田氏の援助を受け税関長に対して「①増員撤回、②賃金値上げ、③取締役4名の排斥」を要求した。26日からストライキを実行した。

11月下旬 東京三越の増給運動
東京三越の小荷物配達係の駆者、馬丁、修繕工など100余名が「①賃金の5割増給、②一ヶ月無欠勤者への手当て倍額支給、③呉服部と同じ毎年四季の賞与を支給する事、の増給運動、④12時間労働を10時間にあらためる事」の要求を提出した。

11月下旬 東武鉄道労働者の賃上げ要求
東武鉄道浅草駅機関庫火夫40名と機関手40名は東武沿線の各機関庫の代表者らと協議し29日「10割増給」の要求書を会社に提出した。また、同線の車掌等は「現行手当を本俸に入れ、更に5割の増給」を要求した。労働者側は、各自3日分の日給を集めて万一に備えた。5日までに回答が無い場合は、一同ストライキすると会社に通告した。

11月下旬 鉄道院東京管理局労働者の増給運動
鉄道院東京管理局の各運輸事務所と各工場の下級判任官、雇員、車掌、運転手その他大部分は以下の嘆願書を当局に提出した。
1、40円以下には3割増給
2、年末賞与は従来の上に厚く、下に薄いを無くし最低2か月分とする事
3、一ヶ月皆勤者には毎月相当の皆勤賞与を支給する事

11月下旬 東京府下畳職人帳元の結束
東京府下畳職人の帳元16名が結束して手間賃の値上を畳製造同業組合に提出した。要求が容れられない時は暮れの忙しい時にストイキする様子を見せた。畳製造同業組合は強硬に拒絶し、「値上要求は断固拒絶する事、もし同業組合員の中で値上に応じた場合は違約金を取る」など各帳元に通告したので、畳職人側は大いに憤慨しストライキを決定したが、年末の多忙期のストライキは一般家庭に多大な迷惑を及ぼすので、12月3日七軒町警察署長が仲裁に尽力した。



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