写真・長野県下の製糸工場群
以下は1919年の政府当局者自身による長野県下製糸工場における資本家の搾取と虐待酷使される児童と女性労働者の実態調査の結果と見解です。すさまじい内容です。
長野県下の製糸女工の労働条件(読書メモ・・・「日本労働年鑑」第1集 大原社研)
政府当局の調査と見解 p890
p892 製糸工場の増加
「全国の製糸工場は、2,834ヶ所で、新設工場は98ヶ所で、長野741ヶ所、群馬321ヶ所、愛知、埼玉、山梨、岐阜、福島等である。」
p892 長野県下の製糸女工の労働条件
「資本家は諸種の名目を設けて女工を誘致し一度契約を結めばこれを寄宿舎内に拘束してほとんど自由を与えない状態である。
女工契約期間は1年、3月より12月までの10ヶ月間の契約と共に賃金の前貸しをして全く彼女らを家庭より奪い寄宿舎生活をさせ近距離の者でも自宅からの通勤を許さない。
今年9月までは、賃金支払い方法は12月末の一年一回支払いであり、工場労働の苦痛より逃走または転職させない為であった。しかし、この慣習は社会の非難を受け、長野県は、9月よりは県令を出して強制的に一ヶ月支払いとさせたが、実際は社内貯金などの名目で賃金を会社が保留して一ヶ月支払いは実行されていない様である。
労働時間は、午前5時から午後7時までの14時間制だが、一年のうち60日間は15時間労働。一方社会では紡績工の11時間2交替が非人道的と言われ、時間短縮が叫ばれているが、こちらの製糸工は徹夜をしなくても日々14時間場合によっては15時間の過当な連続勤務に従事させられ、一日中工場外の空気に接する事ができない有様である。
可及的速やかに改善する必要がある。」
「長野県下には9万人製糸女工の年齢別数
12歳400人、13歳200人、14歳6,000人、15歳7,000人、16歳7,000人、17歳8,000人、18歳9,000人、19歳8,000人、20歳7,000人、21歳6,000人、22歳5,000人、23歳3,000人」