先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
https://www.youtube.com/watch?v=0us2dlzJ5jw

映画「スミス都に行く」と少年印刷工たち 

2023年05月31日 07時00分00秒 | 動画・映画

写真2枚目と3枚目・アメリカ1920年代30年代の児童労働者

映画「スミス都に行く」と少年印刷工たち 

映画「スミス都に行く」(Prime Video)
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00REEN5ES/ref=atv_dp_share_cu_r

 最近国会で一人の女性議員が議場でポスターを両手で掲げただけで、なんと懲罰委員会にかけられるという報道をみて、私は大層怒って、この映画を紹介します。Prime Video(会員無料)です。

(新人上院議員スミス)
 不正なダム建設と闘う主人公の新人上院議員スミスは、資本家や議員のボスたちの卑劣なおどしや買収に、動揺と孤立を強いられ何度も逃げ出そうとするひよわな自分と闘いながら、ついに議場で立ち続けていつまでも演説を続けるという戦いを決意します。一度議長から発言を認められ起立すると着席するまでは永遠に発言権が与えられるという、いわば合法的な議事妨害(フィリバスター)戦術です。スミスのフラフラになりながら23時間もの命がけの演説は勝利をもたらします。

(もう一つの主人公少年たち)
 この映画にはもう一つの隠れた主人公がいると僕は思います。少年労働者です。当時のアメリカや日本など世界中で児童労働が跋扈していました。新聞印刷工場の現場にも多くの児童労働者が働いています。それも13時間、14時間(それ以上の)の長時間労働が当たり前の労働環境です。あらゆる産業で児童たちは酷使されていました。児童労働は、この映画「スミス都に行く」に出てくるアメリカ国会議場でも例外ではありません。この映画でも幼い少年たちが国会議場内での夜を徹する連絡、呼び込み、荷物や資料の配達等々の働く場面が多く出てきます。
 
(少年たちの決起)
 スミスの命がけの闘いにスミスの地元の州の良心的新聞社とそこの少年印刷労働者たちが決起します。少年たちはスミスを支持する新聞やビラを徹夜で印刷し、州全域に配達し、デモを組織します。

 映画ではほんの数分でしかないこの少年たちの闘いと弾圧は、当時のアメリカ労資の闘いを象徴的に描いています。1920年代、30年代のアメリカの腐敗した暴力的本性を隠そうともしない資本家階級は、労働者のストライキを潰すために、ならず者集団を雇い、銃で武装させ、官憲と結託してストライキに襲いかかります。

 またストライキの裏切り者、スト破りを労働者はスキャッブ( scab)と呼びました。スキャッブ( scab)とは、もともと膿んで腐った、かさぶた(瘡蓋)を指す言葉で、卑怯にも仲間たちを裏切り会社に屈服したスト破りをなんと心の汚らしい奴なんだと労働者は皆で激しく軽蔑し憎みました。
 
 この映画でも、少年たちの闘いは、たちまち会社側のならず者たちや警官隊の襲撃にあいます。少年たちが配っているビラは暴力的にひったくられます。少年たちの奮闘の結果組織されたスミスを支持する大人たちのデモ隊には警官隊が非情な放水攻撃で弾圧してきます。反スミス(反革命)デモも組織されます。ついには少年たちの宣伝車に、ならず者たちのトラックが突っ込み少年たちを負傷させます。

 映画「スミス都に行く」では、少年たちの闘いの場面はほんのわずかです。しかも映画の国会議場の少年たちは皆、小ぎれいです。新聞印刷現場の少年労働者たちにも長時間労働、酷使による疲労の表情は見えません。この点は不満ですが、この映画のもう一つの主人公、もう一つのテーマは間違いなく少年たち(労働者)の大衆闘争です。スミスのたった一人の命がけの闘いに感動するだけではもったいないです。スミス個人在りきではありません。少年たちとスミスを支えた恋人や記者たち、議長までも、そして最後には良心に従ったダム建設推進派でスミスたちを弾圧し続けてきた議員のボス(これは幻想すぎると思った)なども含めた大衆闘争なのです。大衆闘争や労働運動あってこその議会での闘いです。1939年製作のアメリカ商業映画でよくここまでできたなーと感心しています。

 映画「スミス都に行く」。ぜひスミスの素敵な闘いだけでなく、もう一つの主人公印刷工少年労働者たちも見て下さい。



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