先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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パイロット万年筆工場労働争議―1928年の労働争議

2025年02月19日 08時00分00秒 | 1928年の労働運動


パイロット万年筆工場労働争議―1928年の労働争議

参照・協調会史料

パイロット万年筆従業員
 五百名 要求 提出す!!
 各支部出動の準備せよ!
新春へき頭 中央合同労働組合は五百名の労働者を救うべく正に決戦せんとしている!
市電大塚終点(本線大塚駅下車)パイロット万年筆株式会社は長い間二割の配当を続け、昨年一割に配当が下がった事に血迷ったか新年早々三割の賃金値下げをし、16名を解雇し尚七・八十名の大解雇せんと実に横虐を尽くさんとしている。
従業員の月給は最低二十円位から五十円位だ!!
長い間残業、徹夜には月給なるが故に一文もくれない!
休めば月給は日割りにして引かれる!
三割値下げされたら何を食べるか?!
好景気と同様二割の配当を続けんとして労働者を塗炭の苦しみに落とし入れんとする資本家を反省せしめるため、積極的運動を起すべく準備を急げ!!
一、解雇者を復職さす事
一、三割値下げを直ちに取り消すこと
●●●幼年工を田舎から連れてきて寄宿舎に強制入舎せし、
●●●をほしいままにして現在百七十名(在宿)
●●●制度は非常な専制で、実に暴君に等しきものである。
●●●益々風雲急なるものがある。
檄電あらば直ちに出動
 中央合同労働組合本部

会社 株式会社並木製作所(パイロット万年筆株式会社)
場所 巣鴨町平杉
労働者 276名(男217人、女59人 そのうち170人の幼年工)
争議参加者 解雇者16人(争議中約250人が組合に加入)
労働組合 総同盟中央合同労働組合
争議発生 1928年1月6日

(3割賃金の値下げと16名解雇)
会社は一昨年まで好景気で高配当を続けていたが、突如前年の事業不振を理由として、1928年1月1日より全従業員の給料三割値下げを強行した。併せて1月6日16名の労働者をクビにしてきた。

(16名の決起)
解雇された16名は会社の仕打ちは不当だと怒り、総同盟に駆け込み総同盟中央合同労働組合に加入し、解雇撤回と賃下げ取り消しを要求する闘いをはじめた。

(嘆願書)
一、解雇撤回
二、賃金三割値下げの取り消し

(仲間たち250名が組合に続々加入 狼狽する会社)
1月11日、総同盟に加入した16人は、「我々は解雇を承認しないので解雇手当は返上する」と解雇手当を差し出し、嘆願書を提出した。同時に工場と寄宿舎の仲間たちにビラを配り、組合加入を呼び掛けた。寄宿舎には170名もの幼年工がいた。職場の仲間たちは続々と組合に加入し、たちまち150名が参加し、最終的にはその数は約250名にのぼった。当初会社は、賃下げは多くの従業員から事前に了解を得ているので心配はないと言っていたが、労働者の多数がみるみるうちに労働組合に加入したのをみて、おおいに狼狽した。会社はあわてて職制を総動員し組合切り崩しを命じた。また突如12日から一週間の休業を発表することで労働者を動揺させようとした。

(総同盟中央合同労働組合本部の組合員向けのビラ)
パイロット万年筆従業員
 五百名 要求 提出す!!
 各支部出動の準備せよ!
新春へき頭 中央合同労働組合は五百名の労働者を救うべく正に決戦せんとしている!
市電大塚終点(本線大塚駅下車)パイロット万年筆株式会社は長い間二割の配当を続け、昨年が一割に配当が下がった事に血迷ったか新年早々三割の賃金値下げをし、16名を解雇し尚七.八十名の大解雇せんと実に横虐を尽くさんとしている。
従業員の月給は最低二十円位から五十円位だ!!
長い間残業、徹夜には月給なるが故に一文もくれない!
休めば月給は日割りにして引かれる!
三割値下げされたら何を食べるか?!
好景気と同様二割の配当を続けんとして、労働者を塗炭の苦しみに落とし入れんとする資本家を反省せしめるため、積極的運動を起すべく準備を急げ!!
一、解雇者を復職さす事
一、三割値下げを直ちに取り消すこと
●●●幼年工を田舎から連れてきて寄宿舎に強制入舎せし、
●●●をほしいままにして現在百七十名(在宿)
●●●制度は非常な専制で、実に暴君に等しきものである。
●●●益々風雲急なるものがある。檄電●●は直ちに出動
 中央合同労働組合本部

(争議団代表の寄宿舎室長7名の裏切りと逃亡)
1月13日夜、争議団代表に選ばれた寄宿舎の室長7名が会社役員2名の私宅を訪問し、解雇は不当だと詰め寄った。ところが逆に役員たちから会社の実情を説明され、「室長らの言動は軽挙妄動の不心得である」と説教されるととたんに日頃から会社との結びつきが強かった室長7名は、「自分たちの行動は争議を拡大させてしまった、会社と一般労働者に対し申し訳ない」と翌日から姿を消してしまった。会社が大喜びし一気に強気になったのは誰の目にも明らかだった。

(100名解雇の会社)
1月15日の交渉の場で、会社は「賃金三割値下げを取り消す代わりに、従業員100名を解雇したい」ととんでもないことを言ってきた。対する総同盟はなさけない態度だった。ストライキなどで猛反発して闘うのではなく、なんと、「解雇は60人なら認め、56人(40名と解雇者16名)を復職させて欲しい」と頭を下げ、結局会社が人選する75人もの解雇を受け入れてしまったのだ。

(覚書)
16日、以下の覚書が交わされた。
覚書
今回パイロット株式会社の事業部縮小による人員の整理は労資双方互譲の精神に基づき左の条件をもって円満解決候なり
一、会社は三割値下げを取り消す
一、従業員は75人の解雇者を認める
一、解雇の人選は会社に一任する
一、解雇手当を支給する(解雇手当上の最高額と月給4か月分)
一、労働組合を時機をみて公認する
一、会社は送別会費として金一封を包む
昭和三年一月十六日

以上


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