見た目に清潔感を望むなら
やはり最後は自分自身
毎日のちょっとした気配りで
生活空間の快適さを保っていたけど
やはり年末
いつもより整理整頓掃除まで
ひとつ片づけると隣が目立つ
宝探しより念入りに
迷路の隅から開かずの扉まで
地図は無くても
気になり始めたらキリがない
ホコリも汚れも敵とみなす
広さも色さえ変わって見える空間になり
息を吹きかけ磨き上げた鏡に映る
最後の砦
迎えるために会いたい気持ちで
真っ新な自分を仕上げる
ないしょ話みたいに
ころころと心に落ちてきたから
何をささやいたと言うよりも
その声の響きで心が揺れた
空気が冷える音さえも
聞こえてきそうな夜
部屋の明かりも温度を放ち
暖か色に染まってる
ねぇ何を言ったの?
何を伝えたかったの?
ふっと笑った口元が
すべてを心に教えてくれた
低い風が横切ったので
影の高さが変わった
眩しさの中黄昏て行く記憶
背中を丸めた後ろ姿に
善悪の戒めを貼る
ネタばらしの推理小説より明確に
両極端の結末を見せながら
夢の中へと誘う
上と下
天国と地獄
善と悪
その時の目線の高さで変わるのだろうか
しゃがんでも立ち上がってもいいのだろうか
時間配分は上手い方だと思ってた
師走も年の瀬も寒いことぐらいで
学生時代のそれとは別物であり
いつもより多い
やるべき事行くべき場所など
同じ24時間の中に上手く収めていた
今日もひとつ仕事が増えていたけど
押せ押せの気分で圧縮して
日常の動きに影響はないはずだった
なのに心は
少しの焦りと不安が渦巻き
もう一度ある多忙な時間に
なぜか詩を記している
寝ても覚めても
一番見えていないのは自分だと知る
おはようの挨拶に安堵して
手を振る出発に空を見る
そこにあるのが笑顔だったら
たとえ一日会えなくても
心の中は元気に過ごせる
ガラス張りの建物も無く
やっと映る自分の姿は
顔を向ける姿かたちだけ
鏡に映る反転の顔さえ
一番見る時間が少ないのだから
たまには素直に仰せの通りに