相手の目を見て話しを聞いた
うなづく隙もないままに言葉が続く
瞳の中に自分が見えた
もっと神妙な面持ちで映ればいいのに
どこか冷静なまばたきが自分を責める
聞き上手になれと教わって
わがままな自己中をごくりと飲み込む
ドッジボールみたいな会話を受けて
ニヤリをさけて身をかわした
誰の声?
いつもの笑顔見せてって
歌ってる
輪唱みたいにいつまでも
終わらないハーモニーで
作り笑顔でも
写真用のポーズなら
いつでも笑って見せるけど
思わずもれた表情が
今の本当なら仕方ない
いつも笑顔とは限らない
明日を夢見ていたいけど
今日をほめて終わりたいけど
いつもそうとは限らない
だけど
今泣いた私はもう笑ってる
今聞いた歌は心に残ってる
悲鳴にも似た風が
屋根の高さを過ぎたから
同じ目線でその声を聴いた
温度差が辛いのだろうか
何かを追いかけているのだろうか
白い雲も形をなくし
目印のない寒空に
ただヒューッと過ぎていく
冷たい空気におおわれても
両手を温める息がある
凍える心を見つけても
すくいだす音がある
向かい合えば
左右が逆になるように
違うものが見えている事
気付かないはずはない
けれど
お互い自分側が正しいと思い
見つめる相手にもそれを願う
それぞれの背景が
自分からは良く見えるので
相手の事は分かったつもりになる
後ろに背負った背景は
ためらう事なくそこにいる
存在以上の思いやりが
風に流され吐息に溶けて
違う方向へ向かったとしても
体温の届く範囲なら
包み込んだまま
渡せればいいのに
三日坊主ではなく
いちにちも持たなかった時
弱々の意志を
いったん棚に上げて
身軽になったつもりで
次の段を目指す
足場は少し広くしようか
段差はゆるやかがいいかな
甘やかすなと人は言う
自分に厳しくとも思うけど
先の見えない一本道は
平らに見えてもデコボコで
曲がりくねった上り坂
階段があればいい方で
誰も通らぬひとり道
行き先を決めるのは自分
目標を決めるのも自分