海が小学校4年生の頃に彼女の友達のお母さんから聞いた話。意地悪な話ともいえるし、いい話ともいえる。
Aちゃんは小学4年生。
学校での今月の掃除の担当は女子トイレ。
組んでいるのは同じクラスのBちゃん。
掃除するトイレは4年生の教室より一階下にある。
階段を一段ずつしか降りられないAちゃんを
一段飛ばしで駆け下りていくBちゃんはいつも「おっ先にー」と追い抜いていく。
実はトイレ掃除用具入れにあるゴム手袋は一つは新しいのだけど、 もう一つは古くて穴があいている。
新しい方をいつもBちゃんは先にとって「今回もやり~~♪」と嬉しそうに振り回す。
手袋に穴があいていると雑巾を絞る時とかに中に水が入ってきてとても気持ち悪い。
でもBちゃんは知らん顔だ。
ある時Aちゃんはお母さんにそれを相談してみた。
「じゃあ、給食を頑張って早く食べて先に行けるようにしてごらん。そしてね・・・」
と、ある作戦を教えてくれた。
Aちゃんは意味がわからなかったけれど言うとおりにしようと思った。
次の日、一番に給食を食べ始め、話もしないで一所懸命食べた。
階段も早く降りるように頑張った。
そしてBちゃんより先にトイレに着いてゴム手袋を先に取れた。
後から来たBちゃんが残っていたゴム手袋を取り、怪訝な顔をした。
(あれ?新しいほうが残ってる・・・)
でも何も言わないで掃除をした。
Aちゃんは家に帰って、その事をお母さんに話した。
「頑張ったね。そう、Bちゃんは不思議そうな顔をしてた?
じゃあそんなにバカじゃないんだねぇ。
明日も同じように早くして古いほうを取るんだよ」
新しいほうが残っていて何にも気づかなければ純粋な「馬鹿」。
気づいていてもそのまま知らん顔していたら「心からの意地悪屋」
でも、もしかしたら・・・・?
お母さんが言うから、そのまま頑張って続けてみた。
そして六日目の掃除の時間。
BちゃんはAちゃんに言った。
「あのね、これからは新しいゴム手袋をした方が雑巾の役で、古い方はホウキにしようよ」
もし、先生に言いつけて、Bちゃんに注意してもらっていたとしたら、 それとも手袋を新しい物に替えてもらったとしたら、Bちゃんのこの言葉はなかったと思います。 しかし彼女は自分自身で気づくことができた。 確実に彼女の中で何かが変わったのだと思います。
ホントはみんなイイコなのよ。と こなつさん
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