一膳めし 黒ねこ亭

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食べることは生きること
日々の拙い食記録

第七回 佳糧会東京学会報告 vol.1 中野『第二力酒蔵』 2020.2.12

2020-11-24 12:25:38 | 佳糧会

年に一度は開催すると決めていた佳い糧に会い学ぶ会。しかし身すぎ世すぎの労働にかまけて、気付いてみればもう五年も開催していなかった。

(このままじゃいかんなぁ・・・)と思っていたところに、大熊猫会長から「やはり心身ともに健やかであるため、人間として愚昧にならぬためにも勉励するべし(休日出勤の代休が貯まったから遊びにいくよ)」と連絡がきた。久々に出羽から出てきてくれるらしい。

となれば久しぶりの学会開催だ。精精、浮世の屈託を忘れ、無心に旨い料理、旨い酒と向き合い己を磨かねば。

そういえば冬に東京で開催するのは初めてだ。会場は何処にしようか・・・と思っていると会長「力酒蔵で食べた鮭バター焼きをもう一度探究したい」と宣う。

よって1日目は、第四回学会で訪れたことのある中野『第二力酒蔵』への再訪に決定。

 

 

この頃はまだ新型コロナウィルスが爆発的感染をみせる前ではあったが移動時はマスク着用、除菌スプレーは携行した。

中野駅でぱんだ会長と合流し、先ず新井薬師へ参詣した後、午後2時の開店に合わせて店に向かった。

 

昭和37年(1962年)創業の老舗酒場。1、2階合わせて200席の大箱だ。

 

 

口開けで1階のテーブル席に着き、先ずは乾杯。久闊を叙す。

パンダ会長御希望の生鮭バター焼きは頼むとして、その他に吟味探究すべきものは・・・と壁に貼られた品書きやテーブルにあるメニュー見ていると、会長が「あ、豆腐煮!」と宣う。

そうだ。そういえば前回、食べたかったが断念した料理が豆腐煮だった。

第四回学会報告に

このお店の名物はまず「鮑のステーキ」。
そして「豆腐煮」。
いろんな魚の旨みが溶け込んだ汁で煮られた豆腐は安くて旨い。夕方には売り切れてしまう。
今のうちに頼んでおこうと思ったら、今日は豆腐屋さんが休みのため、豆腐煮はないとのこと。
煮魚を頼むと豆腐煮が半分付くらしいのだが、それも今日はスーパーの豆腐になってしまうそうな。
残念無念。

と書いたのをすっかり忘れていた。

確認すると本日はあるとのこと。よかった〜。

早速、豆腐煮、生鮭バター焼き、カワハギ刺身を注文。

 

かわはぎ刺し

冬季11月から2月のかわはぎは肝が大きくなる、夏に続き第2の旬だ。身は淡泊で歯ごたえがあり美味。肝はとろりとした舌触り、濃厚な旨みと甘みがある。

この密度の濃い旨みから「海のフォアグラ」と呼ばれるそうだが、納得。

たまらず新潟「麒麟山」純米吟醸をお願いし、身で肝を巻いてみたり、肝を醤油に溶いて肝醤油にしたりと、色々な賞味法でじっくり堪能した。

 

 

 

生鮭バター焼き

会長念願の一品。バターのいい匂いが立ち上り、外はパリッと中はふんわり。

少し甘口のタルタルソースがまた合う。

鮭狂会長も変わらぬ味に満足そうだ。

 

 

 

豆腐煮

そして宿願の豆腐煮が登場。魚の旨みたっぷりの汁で煮られた豆腐屋さんの豆腐、煮汁が染みてなんともいい感じ。

夕方売り切れも納得。風味豊かで素朴なおいしさ、酒も進む。

 

 

 

かわはぎのアラの味噌汁

かわはぎの刺身を頼んだ時に出たアラで汁を作ってくれた。熱い味噌汁を啜るとすっきりとした旨みが沁みる。

酒の合間に一汁、非常にありがたい。

 

 

 

白エビからあげ

サクッと軽い食感と香ばしさ、身の甘みと程よい塩加減でビールにピッタリ。

 

 

 

里芋煮

面取りした里芋を上品に煮付けてある。里芋独特の風味、ねっとりとした食感、出汁も染みていて旨い。

 

 

うまいうまいと食べて腹は七分目、まだまだいきたいところだが明日もあるので、ほどほどで切り上げた。

明るいうちに店を出たがいつの間にか店内は程よく席が埋まり、活気を帯びてきていた。

久しぶりの中野第二力酒蔵では7年前と変わらぬ佳い雰囲気の中、旨い料理と酒を探究出来た。

大衆居酒屋でありながら、ちょいと値の張る割烹居酒屋でもある。普段使いもできるし、贅沢に楽しむこともできる。

メニューの数と値段に幅があるからこそメリハリの利いた使い方が出来る、なかなか稀有な店であろう。

そんな懐の深さが、地元民はもとより、東京中の酒飲み、うまい物好きに愛され続けている理由なのかもしれない。

 

 

 

『第二力酒蔵』
東京都中野区中野5-32-15
日曜定休

 

vol.2


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