私のつれづれ草子

書き手はいささかネガティブです。
夢や希望、癒し、活力を求められる方の深入りはお薦めしません。

やるせない姿(食事中読むべからず)

2009-09-08 | 3老いる
今日は、地場大手のドラックストアーのポイントサービスデーだった。

ゴミ袋やら入浴剤やら定番商品を仕入れに立ち寄ってみたのだが、駐車場は一杯だし、レジのどのレーンも5~6人待ちで結構な賑わいだった。

ひとしきり待たされ、精算を済ませて商品を持ち帰ろうと店舗の出口に買い物カゴを返したところで、一人の老婆とぶつかりそうになった。

ふわふわのブラウスを涼しげなスカートの上に羽織って、頼りなげな様子のその老婆と目は合うのだが、彼女は要件を切りだす気配がない。

私は、本来御老人には優しい性質で、特に彼女のような頼りなげなタイプには手を差し伸べたくなるのだが、両手に荷物を抱え、混雑した店舗の出口で少し先を急いでいた私に
「どうされました?」
と聞いて上げる余裕はなかった。

老婆とぶつからないように弧を描きならが店舗を一歩出て、異変は嗅覚を通してすぐに感じられた。
掃除の行き届いていないトイレの匂いがするのだ(そういえば、老婆の傍を通り過ぎる時からそれは少し臭っていたものだった)。
しかも、店舗を出たところでその臭いは強烈なものとなった。
息が出来ないくらい。

急ぎ足で進みながら、暮れはじめた周囲の様子を観察すると、出入り口からほどないところに茶色い液体がぶちまけられている。
いや、液体ではなく、それは明らかに50㎝四方に広がる泥状便そのものだった。

先を急ぎながら、状況を認識するのに時間はかからなかった。

ふわふわとした足取りのその老婆が、長いレジ待ちをへて精算を済ませ、店舗を出たところで便意を我慢できず、立ったままアスファルト上に泥状便を撒き散らしてしまったのだ。

その事態の収拾が御自身ではつけられず、店員に処理を依頼しようと店舗の入り口でふわふわなさっていたわけだ。

事態を飲み込み、店舗の入り口を振り返った時、すでに老婆の姿は見いだせなかった。

店からは次々買い物を終えた人々が吐き出されてくる。

客をさばくので手いっぱいで、店員の姿はまだ見えない。

「老い」というものは、誰にも必ず訪れる。
人格の良し悪しに関わらず、もちろん生活の貧富を選ぶこともない。

バックヤードの店員がブラシやホースをもって掃除に現れた時、その惨状は迷惑以外の何物でもないのだろうが、誰にでも訪れる老いの結果なのだ。
どうか、優しい憐れみをもって対処してくれたことを祈るばかりである。

その現実を受け止める余裕を保つには、思いがけないほどのエネルギーを必要とするだろう。

けれど、老いは必ず訪れるものなのだ。
あなたにも、わたしにも…誰にも例外なく皆に。
コメント
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