新橋から霞が関ビル、溜池の方に向かう大通りに面して「草枕」という喫茶店がひっそりある。知っている人でないと通り過ぎてしまう。店の入り口は狭く、奥に向かって細長い間取り、入口には暖簾がかかっているので喫茶店には見えない。
いままで2,3回来たことがある。今日は久しぶりに寄ってみようと思った。午後5時くらいだったか、入ってみると先客は若干名、店内は広くはないので大人数は入らない。
今日は奥にあるカウンター席が空いていたので、そこに腰かけた。カウンター内には物静かな雰囲気のマスターがお一人でやっている模様。メニューを見せてもらいコーヒー(普通の濃さ)を注文、700円くらいだったか。席からコーヒーを淹れるところが見える、ネルドリップでゆっくり淹れていた。
音楽はクラシック音楽をかけているようだ、以前もカウンター席に座ったが、その時はレコードプレーヤーの直ぐそばだったので、かけているアルバムも見れたし、カウンター内のLPライブラリも見たような記憶がある。音量は静かな方だ。ここは特に名曲喫茶と謳っているわけではないが私の中では名曲喫茶だと思っているし、客もそう思って一人で来てじっと音楽や本を読んでいる人が多いようだ。
店内には本がいっぱい置いてある。手前半分くらいには本箱があり、また、奥のカウンター席には文庫本がびっしりおいてあり、これは読んでもよい。カウンター席の文庫本を見ると、いろんな本があるが古いものが圧倒的で、内容的には芸術・文化関係の本が多いような気がする。私は今日、北大路魯山人の書いた料理本と陶芸本を手にして読んでみたが面白かった。クラシック音楽の本もあり、以前来たとき、入口近くの本箱を見ていたら、エリック・ブロムの「モーツアルト、人と作品」という本があったので少し読んでみて家に帰ってから早速買って読んでみたこともあった。
コーヒーはおいしかった。酸味の少ない苦み中心の好きな味だった。店内の調度品は上品でよく手入れされているものばか、店主の品位の良さを感じる。会話禁止と言うこともなく、以前来たときは中年のおばちゃんがべらべら話していて苦笑したが、今日は静かな客ばかりで良い雰囲気が保たれていた。
あまり時間が無かったが45分ほどくつろいで失礼した。ご馳走様でした、また来ます。