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「築地小劇場100年―新劇の20世紀―」展を観に行く

2024年10月29日 | 演劇

ここ数年、演劇に興味を持ちだし、テレビで観たり公演を観に行ったりしているが、最近、「築地小劇場100年―新劇の20世紀―」展が開催中なのを知って行ってみたくなった、場所は早稲田大学演劇博物館、大学内で何度か見たことがある建物だが入るのは初めて、入場は無料、写真撮影禁止

新劇とは、日本の近代において西欧の影響を受けて生まれた演劇ジャンルであり、台詞による表現と思想に重きを置いた演劇。明治末に誕生し、大正期には時代の最先端の演劇の潮流を形成、戦後に黄金時代を迎えた。いま、通常「演劇」と言えばこの新劇のことを指すと思うが、広く演劇といった場合、歌舞伎、新派、ミュージカルなどを含めたものである

大正13年(1924)6月、演劇の拠点、築地小劇場が誕生した。新劇初の本格的な常設の専用劇場であり、同劇場の専属の劇団名でもあった。新劇の父ともよばれる小山内薫を軸に生まれたこの劇団は、実験的な公演を次々に手掛け、数々の優れた作品を世に送り出した。築地小劇場からは、戦前から戦後の演劇界を支えた俳優や劇作家、スタッフなど多くの人材が輩出されていいる。

築地小劇場創設100年にあたる今年、演劇博物館所蔵の新劇関連資料を一堂に展示し、新劇とはどのような演劇だったのか、その長い歴史を振り返りつつ、「新劇の20世紀」を改めて考える契機としたいというのが主催者の思いのようだ

早大の演劇博物館に入り、順路と出ていたのでそれに従い展示作品などを見て行った、展示は時代順になっており、一つ一つの説明を見ていくと日本における演劇の発展段階がわかるようになっていた、そしてそれぞれの時代の演劇のポスターや台本、舞台の設定記録、写真や映像、音声、衣装などいろんな資料が展示してあり参考になった

展覧会の展示リストの余白などに鉛筆で簡単に歴史をメモして、帰宅して思い出しながら100年の新劇の歴史のキーワードだけを時系列に書いてみると、

  • 演劇と言えば歌舞伎だけだったが、そこから新派が分離し、もう一つ近代劇(新劇)ができた、新劇は翻訳もので、西洋の自由主義や個人主義を演ずる最先端なものだった
  • 川上音二郎が新劇の先駆者となった
  • 島村抱月や坪内逍遥が中心となって文芸協会や芸術座ができた
  • 自由劇場ができる、これは二代目市川左團次と小山内薫が作った
  • 多様な新劇運動が起こり、歌舞伎役者中心にいろんな劇団ができた、前進座、本郷座、有楽座、浪花座など
  • 新劇を上演する劇場もいろいろできた、大規模な商業主義の劇場と小規模の非商業的な劇場があった
  • これらの劇場は大正12年の関東大震災で倒壊した
  • 大正13年(1924年)に築地小劇場ができた、1928年に小山内薫が亡くなるまでの間に90以上の前衛的な演劇の上演をした
  • 小山内亡き後、築地小劇場という劇団は分裂していったが劇場施設は途中名前を変え1945年に空襲で焼けるまで存続した
  • 大正デモクラシーにより左翼活動家の左翼劇場、新築地劇場などのプロレタリア演劇が盛んになった
  • 左翼から一線を画した築地座も1937年にできて後に文学座になる、1904年には俳優座ができる、一方、プロレタリア演劇は治安維持法により解散させられた
  • 戦後は劇団民藝などいろんな劇団ができた、三島由紀夫、木下順二、福田恒存、安部公房などが劇作家や翻訳などで活躍し、小規模なアングラ劇場もできた

展示室内に劇団の設立と分裂、統廃合などの年表の図が大きく出ていたが、それを見ると、築地小劇場が日本の新劇界に与えた影響の大きさというものが良く理解できる、時系列の一番最初の方に築地小劇場があり、その参加者がいくつにも分裂して、統廃合を繰り返し、今ある文学座、俳優座、劇団民藝などの劇団につながっていく

1時間以上、じっくりと勉強して有意義だった、勉強になりました

さて、じっくり立ちながら勉強して疲れたので、博物館のすぐ前にある国際文学館村上春樹ライブラリーにあるカフェ「橙子猫-ORANGE CAT-」に立ち寄り、コーヒー500円を注文してしばしくつろいだ、このライブラリーは誰でも見学できるのでざっと見て回った、村上春樹の小説は若いころいくつか読んだが最近はどうも手が伸びずにいる、氏がクラシック音楽やジャズに造詣が深く、英語にも堪能なところには惹かれている

これでこの日はおしまい、ということで早稲田駅に向かいキャンパスを歩いていると、大きな立て看板があるのに目が行った、「11.10怒りの大集会、改憲・日米安保強化に反対」とか「石破政権による改憲・大軍拡を阻止しよう」などと書いてある

前者の集会の呼びかけ人に池辺晋一郎氏の名前があるのを見てがっかりした、むかしNHKのクラシック音楽番組に檀ふみと一緒に案内役をして軽妙洒脱なところを見せていたのに・・・

安保闘争時代とあまり考え方が変っていない人が多いのが大学とマスコミではないか、そこに目をつけているのがわが国周辺の全体主義国家だろう



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