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傑作か?失敗作か?「シンゴジラ」。観てきました!なんというかこれは・・・

2016-08-02 00:11:53 | 怪獣のことならこちら
話題のシンゴジラを観に行きました。
新宿のTOHOシネマズ。
期待が膨らみます!




場内には出演者のサインが書かれたポスターも。



IMAX の巨大スクリーンに描かれたゴジラはー!。
これはゴジラ映画において怪作かもしれません。
まず、見る人によって感想は大きく異なることと思います。
ゴジラフリーク、エヴァフリークそして初めてゴジラ映画を見る人。
エヴァフリークの方々からはエヴァンゲリオンそのものとの類似性をあげ、これはゴジラの形を借りた実写版エヴァンゲリオンだという意見が多いようです。まぁ、作ってる人が同じだからそうなってしまうのかもしれません。いや、狙ったのかも。その辺りの分析はエヴァフリークの方々におまかせしたいと思います。
また初めて日本のゴジラ映画に接した方々の感想も気になるところですが、私、ゴジラフリークですので、その立場から感想をひとつ。
ネタバレになっちゃいますので、まだご覧になっていない方は御注意を。


※パンフレット表紙。ネタバレ注意の帯がかけてある。

ゴジラは海洋投棄された核廃棄物によって、超突然変異を遂げた生物で急速に変態を重ねる完全生物。見慣れたあの二足歩行する恐竜のような形でさえ、その変化の途中で、ゆくゆくは飛翔能力を有し地球上を自由に移動、強い繁殖力で人類の生存を脅かす存在。
このような設定が新しい。いままではどんなに大変と騒いでも、そこまで広範囲に災害をもたらすであろう存在ではなかったですよね。日本を出て海外に行くにも海を泳がなければならなかったんですから。
その変態ぶりは、最後に写し出された凍結された尾の形状(人や獣の骨の集合体に見える)とも相まって、ジョン・カーペンター監督1982年公開の「遊星からの物体X」の人や獣など他の生物に寄生しその体を乗っ取り変態を遂げていく宇宙生物を連想させずにはいられませんでした。

冒頭、東京湾から都市河川を無理やり遡上する第一形態のシーンは、非日常の日常への文字通り無理やりの介入で、その音響効果もふくめ、初期のウルトラマンのシーンを彷彿させました。もちろん画像のリアリティーは比べ物になりませんが。

こうした怪獣映画の定石のほか、何と言っても54年ゴジラや昭和の怪獣映画へのオマージュにあふれたシーンが多々あることも特徴です。
オープニングのタイトルの表現、小高い所にある神社に避難しゴジラによる惨状を恐れをもって見る人々、品川の八ッ山橋に迫るゴジラ、そして、背中から発せられる光線のシーンは、伊福部昭の宇宙大戦争のマーチと相まって、ミステリアンの富士山麓のドームか月のナタールの秘密基地へ攻撃シーンを思い出させます。
この伊福部昭の音楽、それも以前の映画に使用されたままの音楽が他の場面でも多用されたことが、表現のオマージュよりも一番の驚きです。

ゴジラフリークとして嬉しい?う~ん、違いますね。
私は伊福部昭の大ファンですが、今回はちょっと伊福部昭の音楽を使いすぎです。
鎌倉でのゴジラ登場の時のゴジラのテーマは、ダース・ベイダーが出るときにそのテーマ曲が奏でられるように、真打ち登場という感でとても良いのですが、それだけで充分。あとは、庵野氏との名コンビである鷺巣詩朗氏のオリジナル曲でお願いしたかった。3段めの予告編のように、レクイエムのような曲で格調高く(?)まとめていけばよかったのに・・・(あの予告編はカッコよかった!)
もし伊福部昭の曲も使用するなら、今回の映画に合うように多少の編曲を加え、新に収録、使用すれば違ったかもしれません。


※パンフレットより


本編について言えば、前半は3.11を経験した者には現実感、緊迫感もあり見ごたえあります。多摩川を挟んでの自衛隊とゴジラの攻防も見所です!
IMAX の広い画面に、左端にゴジラ、右端に高層ビルそしてその前に小さく見える戦闘へリが4機ホバリングし攻撃態勢に入る。画角を存分に使った映画ならではの醍醐味です!
ただ後半になると、残念な感じになっていきます。
薬剤を直接経口投与するあの作戦は無理があるような気が。(と、言っても怪獣映画はこんなもんといえばそうなんですが)
その上、この作戦は先にも書いた伊福部昭の宇宙大戦争のマーチとともに繰り広げられ、新幹線や通勤電車(それも色ちがいで揃えられてる)が突入したり、倒れたゴジラの口にコンクリートポンプ車が集まり、ムーブを延ばして薬剤を注入したりと、その映像はCG等最新の技術でできいるのに、なんかミニチュアで撮影された昔の特撮を見ているような気分でした。
ゴジラには都心でもうひと暴れして欲しかったし、薬剤投与の作戦は他に無かったんですかね。
それから、背中からも光線を発射し圧倒的な破壊力を示すのですが、やっぱり口からだけにして欲しいなぁ。少なくとも、尻尾の先から光線を出すのはヤメテ~!

さて、凍結されて東京のど真ん中にたたずむゴジラ。これからこの放射性因子を帯びた塊をどう処分していくのでしょう。
福島の原発の廃炉作業ともイメージがダブります。


シンゴジラは100カ国で公開が決まっているようです。
だいぶ日本特有の場面や表現が多いので、海外版には多少の編集の変更が必要かも。
大ヒットしてもらいたいけれど、どうでしょうか?

いろいろ書いてきましたが、何だかもう一度観たくなってきました。突っ込みどころ多い映画ですが、「チューボーですよ」のマチァキ風に叫ぶなら、星一つ半、いやひいきめに観て「星二つです!」てなところでしょうか。

庵野・樋口監督一年足らずでの完成、いやご苦労様でした。