きのうのこと、
とある青年が我が家を訪れ
長女が彼を紹介し、彼に私たち家族を紹介しだした、
ほんの一瞬沈黙があり、
気を利かせた妻が雑談をはじめ、場を持たせたが、
ほどなくして再度沈黙、
マスク越しに咳ばらいをし、意を決した青年は言葉を発した。
「今日は貴重なお時間を頂きありがとうございます、
○○さん(長女)との結婚をお許しください」
の言葉だ、
私の家族4人、その青年の5人は凍り付き、
瞬時に私に目線がくる、
しばらく天井を仰ぎ、親父として私は即答できなかった、
事実、今日は彼がそう言った挨拶に来るからと娘に聞いていたし
聞きたくもないのに彼のことを色々聞かされ、想像での人柄、性格などは納得してた、
私はもう覚悟はしてたし、それなりの言葉も用意していた、
しかし、いざその言葉を言われても、はいそうですかと即答できるわけがない、
天を仰いで長女が生まれた時のことが頭をよぎり、
また、私が妻の親に挨拶に行っときのことも思い出された、
瞬時にいろんなことが頭の中をぐるぐる回る、
私が妻と所帯を持ったのが私が24で妻は21の時だった、
一方長女は平成元年生まれで決して若くはない、
妻も私も反対するつもりは一切なかったが、
かけがえのない子達だし、大事な家族だ、
即答できなかった。
沈黙が長すぎたか、妻が私をつついてきた、
彼以上に緊張したのかもしれない私は何を言いだしたのか、正確には記憶がない、
私からぬ長話をし始め、最後に
「こんな娘だが、もらってくれてありがとう、
こちらこそよろしく」
でまとめたのは覚えてる、
その後、緊張の糸のが解けた彼と長女は、
指輪を買いに行くんだと出掛けて行った、
コロナ禍の中で披露宴などはできないし、本人たちもそれは予定してないみたいだ、
それはそれでかわいそうに思うが、それも思い出か、
せめて、記念写真くらいは残して欲しいし、
私も妻の方のも、それぞれ4人の両親は
他界してしまったが、墓前に挨拶し、写真を見せてあげたいと思う。
結果良かったんだが、私の心にはぬぐい切れない何かが残る。
なんだか、きのうは長い一日だった。