むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター⑨

2019-07-05 09:41:27 | 小説
 昭和六年一〇月未明。上海の中心街で、交差点の交通整理をしていた巡査が、なに者かに斬りつけられる事件が起きた。巡査は背後から首を斬りつけられたらしくて意識不明の重体だ。交差点で倒れている巡査を発見した日本軍の関係者は、応急手当をしてすぐ病院に運んでくれた。現場の交差点は、五階建てほどのビルが、並んでいるが目撃者はいない。公安(中国の警察)が巡査を発見した日本軍の関係者から、事情を聞いたら関係者は「捜査はこっちでやるから日本の、紀元初期の歴史を書いてくれ」と言う。公安は紙とペンをもらって書き始めた。公安は「紀元初期未明。日本には倭人がいた。倭人は読み書きができないけど、大陸から島流しにされた罪人が貝殻の貨幣と、漢数字の四則演算をつたえている。邪馬台国建立前夜に大陸の闘技場である問題が判明していた。剣をぶつけ合う剣闘士の質で、『すばしこい』『学識がある』『人をたくさん殺した』をそれぞれ試したが結果は『飽きる』『関係ない』『つやがないな』だ。そして三番目の『つやがない』を逆にして復讐心や寂寥感がみなぎる剣闘士だと、つやがあるという結論になる。そこで大陸からスカウトを同行した倭人虐殺部隊が日本にやってきた。虐殺部隊は倭人の集落を襲撃して、スカウトの対象者以外を殺します。手口はスカウトの対象者を最初につかまえて、虐殺場面に立ち会わせること。虐殺方法は省略。倭人集落の生き残りでつくった剣闘士は『復讐鬼』と呼ばれて評判がよい。大陸から虐殺部隊が次々とやってくる。虐殺部隊が、つくった国が邪馬台国だ」と書く。日本軍の関係者は「虐殺方法で難しいのが『手動式回転剣で首をはねる』だな。日本人だからわかるよ」と言って、奥の部屋から、犯人の男を連れてきた。男は片手に電線ケーブルを持っている。電線ケーブルには金具がついていて、血がついていた。男は現場の交差点に、面したビルの、五階の住人だ。飼っていたオウムが部屋から逃げ出して電線にとまっているのでつかまえようとしたけど、電線ケーブルが壁から外れて「気がつくと交差点に倒れてた」と言う。そばに巡査が倒れているのを見て「交差点の、真上をとおってる電線の、中央の結束部からたれ下がってた電線にあわててよじ登った。しかし電線が結束部から外れて落ちてそれを持って徐行してたトラックに乗り込んだ」と言った。男は五階から電線をターザンロープみたいにつかみながら、巡査に激突したようだ。