むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター㉔

2019-07-20 09:13:58 | 小説
 特殊能力公安シリーズはまだまだ続く。タイトルは唐辛子工場。

 昭和一五年六月未明。上海の唐辛子工場で作業員が、変死している事件が起きる。死んだ作業員はコンベヤにあおむけで、顔じゅうに唐辛子をつけて窒息死していた。公安(中国の警察)は工場関係が専門の若い女性公安を同行して、工場の責任者に事情を聞く。その工場では、半液体状の業務用缶詰をつくっていて死んだ作業員は見習いで、唐辛子を缶に封入する機械の、清掃作業をやっていたという。若い女性公安も見習いのような物だが美容院で髪をくるくるパーマにして、厚めの化粧をしていた。責任者はバナナを食べながら「清掃作業のときはタンクをからにしてから、作業をする」と言う。見習い作業員はタンクを、からにするのを忘れて、タンクの底を清掃していて、作業服のそでで手動レバーをひっかけて唐辛子が、もろに口のなかへ入ったようだ。死体のおなかが不自然にふくらんで、いたので公安がさわると、死体の口から唐辛子が吹き出して、若い女性公安の顔にかかった。責任者は「圧力をかけて封入します」と言う。その日公安は「知能が低くて若さを体感する現象の考察二」という論文を書く。なぜ続編を書く気になったのかと、いうと今日の若い女性公安が、書いた書類が誤字脱字だらけで軽い微熱を感じてだ。きっとなにかの、犯罪者の影響で、たまたまそうであったに違いない。まず麻雀の複合役が、理解できないぐらいの知能だと、いつまでも学生時代の、気ぶんのままでいることが考えられる。それはそれで結構なことだが、親子ほど年が離れたいまどきの学生に向かって「そこ私の席よ」と言ってからみつきかねない。恐らく学生時代に授業でノートを書いてなくて、読み書きをしなくていい場所は学校だという認識が、あると思う。公安は学生時代にノートを書かないで聞くだけだと、かしこくなった気ぶんになるが話しことばと文字は違うのでいつもノートを書いていた。学生にからみつく中高年者は、自ぶんが学生時代に、先生がしゃべっていることと、黒板に書いてある文字が、違うことに気づいてなかったのだろう。もしかすると耳が悪い人のために、黒板に書いていると思っていたのかも知れない。そういう人々の考える世界は地球を片手で持ち上げる巨人が、ピンセットで地上の、米粒をひとつずつつまんで収穫袋に入れるような神秘さがある。しかし巨人が便意をもよおして、地球をほうり投げるとどうなるだろう。ノートを書かない人々の地球は、宇宙のかなたに消えた。