むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター⑮

2019-07-11 09:39:39 | 小説
 これは日中戦争で死んだ推定IQ250の、中国人の作品を復元した物だが失敗作もある。タイトルは放送局。

 昭和一五年五月未明。ハルピンの放送局でアナウンサーが電波送信アンテナに、ロープで巻かれて、死んでいる事件が起きる。死体は三日間ふり続いた雨が晴れて、設備係が屋上を点検して発見された。放送局は三階建てで階段が入り口から屋上へと続いていて、部外者でも入ることができる。公安(中国の警察)が他の局員に事情を聞くと死んだアナウンサーは、「新生児の名前や体重を、読み上げる『赤ちゃんばんざい』を担当してるエース級だ」と言う。ロープは階段の踊り場に放置されている物と同じであることから、階段に潜んでいた複数の男がアナウンサーを連れ出して、屋上のアンテナに縛りつけたみたいだ。公安が当たると二倍になるさいころ賭博を、負けるまでやり続けているような雰囲気がある別な局員に警備員のことを聞くと、「今日と三日前は休みだけど」と答える。アナウンサーは三日前に連れ出されたようだ。ここの放送局では医学博士を常駐させて読み書きがままならない人に向けて、読み書きができるような気ぶんになるヒーリングメッセージを発信しているという。公安はデスクワークをしている女性に放送局への、投書を見せてもらうことにする。その女性は、なぜか手変わりがある金貨ばかり持っていて同じような聴取者をリードしたり扇動したりしていた。公安はトイレの場所を聞いてから、限りなく共犯者に近いその女性から、投書の箱を受けとる。さっきの、女性の金貨は老人施設で高齢者たちが社交ダンスをしていて、足や腰の痛みで次々とリタイアしていく苦悩を、微熱で受けとめたような感じだった。投書は「おれには超能力があるんだ」や「幽霊を始末してほしいんですが」など普通じゃない内容を書いている物が多いため、特に手がかりは、ない。公安は「竜の大群が空気を食べて、雨がふるのじゃ」が、おもしろいと感じたがなぜ空気を食べるのかは書いてなかった。二日後に「貝十字」と名乗る送り主から、放送局に郵便で犯行声明文が届く。犯行声明は脱字が三か所あって「われわれ貝十字のシンボルマークである貝を貼りつけた十字架は・・」と書かれていて次に、新聞社の編集長に「貝の洗礼を実行する」と書いてあった。公安は新聞社を張り込む。予告されていた時間に貝の十字架を持った男が三人やってきて「編集長を出せ」と言う。編集長が出てくると、男たちが三人で、手や足をつかんでかつごうとする。公安はカンフーを少し披露してから、男たちを逮捕した。