むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター⑲

2019-07-15 10:34:15 | 小説
 昭和一二年五月未明。南京で落花生農家の、夫婦の家に日本兵が侵入して亭主を斬り殺して、奥さんを強姦するという事件が起きた。奥さんはショックで入院している。公安(中国の警察)は事件の報告書を読んでから日本軍にかけ合う。日本軍の広報は「犯人はこっちでつかまえますからこの紙に、中国の、四千年前の起源を書いてくださいよ。二千年前に、大陸から日本に移住したあとは倭人と交配してたから、近親結婚の心配は、ないけどその、前の二千年がわからない。四〇歳平均で子供をつくるとして二の五〇乗だからおよそ千兆だ。千兆人いたなんてありえない」と言いながら、紙とペンを公安に渡す。公安は「まず当時は五〇歳平均で子供をつくっていた。二の四〇乗は約一兆である。われわれの先祖は、小学校高学年ぐらいの年齢で、一辺が五mくらいの、立方体の小部屋に住んでいた。小部屋の壁は、餅のような合成食でできていて先祖はそれを食べている。その小部屋が縦と、横と上に千個ずつ並んで、ひとつの巨大キューブに一〇億部屋があった。そういう巨大キューブが紀元前二千年の、モンゴルの砂漠地帯に千個ある。つまり紀元前の先祖は小部屋から少しずつ出てきた子供だ。子供が住んでいる小部屋に未来の画像を、精神感応で、字幕入りで映し出すガラス製のパネルがある。このパネルをとおして先祖は子孫と対話することが可能。先祖である子供はわれわれが未来において、近親結婚が限界点を通過したために、近親婚の子供を、木星の衛星に宇宙ロケットで移送した物だ。木星の衛星と地球は時空を越えてつながっている。ちなみに私の、先祖の子供と、対話したら『この、時代の中国は共産主義というよりは宇宙主義だよ 』と言う。私が小部屋のパネルを、見ることができるかと、いうと『いつも使ってるじゃない』のようだ。重要なことだから原人との交配を、書こうとしたが強力な磁場のような力で書けない。書けることは、原人は倭人と同様に読み書きができなくて、外見は人間と同じだけど感情がなくて、人間に擬態する習性が特徴だ。おおむね紀元前の歴史は小部屋から出てきた子供と原人で成り立っている」と書く。広報はできた書類を公安から受けとって、それを読みながらどこかへ消えた。しばらくすると、広報が犯人と思われる男を連れて戻ってくる。男は現地採用の治安要員だったが、阿片の使いすぎで、なにかの幻を見ていて「本当にやると思った」と言う。公安は男を逮捕した。