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新しい人々

2021-01-31 20:11:11 | 日記
昨年、可愛らしい姪が誕生した。自分に子供がいない為、かつて体験したこともないとても大きな感動と幸福感に包まれた。親になられた弟と義妹を尊敬すると共に深く感謝申し上げたい。またこの世に生を受けた姪に、彼女の人生の幸福を願い、当人にとって望ましい支援が今後できれば幸いである。人類が今パンデミックという大きな試練に直面しているのは事実だが、それでも地球上には新しい生命が刻々と誕生し続けており、これは希望の光であり、闇の先に見える突破口だ。

半世紀後か1世紀後、世界中の歴史の教科書には、新型コロナウィルス襲来に関し多くのページが割かれるであろうことは容易に想像できるのだが、多分この大きな危機を分水嶺として、文明社会は歴然とした変化を遂げるはずである。そしてその変化の担い手となるのは若者であり、このパンデミックに遭遇する以前の世界を知らない、パンデミック後に生まれた新しい人々だ。

日本においては、人の動きを少なくして密を避けることにより、昨年の緊急事態宣言下、感染者数の増加率が激減したことは記憶に新しいが、まさにここが重要なポイントであろう。つまり全世界的に、特に先進諸国において、これまで密な状態が極限まで進み過ぎていたのではないか。たとえば大都市圏に膨大な人口が流入し集中していることや、国家が中央集権的になっていることなどはその象徴だ。考えてみれば、新型コロナウイルスは突然変異らしき発生ではあっても、やはりそのお膳立てを人類が揃えてしまったのだともいえる。

そして今後においても問題解決には、ウイルスを運んでしまう人の移動が重大な鍵になってくる。ここで興味深いのは、これ迄に不登校やニートや引き篭りといった日本社会から落伍者の烙印を押されていたような人々が、実は外へ出ずに感染を広めない見本のような存在だと気付けたことだ。実際に多くの職場でテレワークが実働されて以降、通勤時の満員電車や、遠距離通勤、長時間の会議、硬直したタテ社会の組織の不毛さを否応なく認識しだした人が増えている。また企業経営者の中にも、在宅勤務の方が能力を発揮して成果を上げる社員が出現したことに驚いたという声も聞く。ひよっとすると、このパンデミックを契機に歴史上最大の社会変革が起きるのかもしれない。

また人間社会に経済活動が必要な限り、コロナ禍で打撃を受けた業界に対し、政府は自力で立ち直れる迄は公助を続けるべきだし、これは当然のこと政府の役割であり義務である。コロナ禍は皮肉なことに、政府本来の使命を誤魔化すことなく顕在化させることにもなった。そして政治家だけでなく官僚も含めた為政者はその使命を肝に命じるべきなのだ。国民に自制を促していながら、その当の政治家が、感染の危険性を有した人数で夜遅くまで会食をするなど愚の骨頂である。こうしたナンセンスがパンデミックの終息と共に無くなれば宜しい。

ただここで忘れてはならないのは、私たち人類が新型コロナウイルス襲来以前から、極端な格差や、地球の温暖化を含めた環境汚染といった深刻な問題を引き摺り続けていることである。この現状は真に厳しい。しかしながら大いなる試練を乗り越えることは可能なはずである。そしてここから先の人類の長い道程において、何よりもコロナ禍の世界から人生が始まっている人々は、パンデミックの猛威が去った後も、変化した社会の良質な面を後戻りさせることは望まないはずだ。つまり同じ失敗を繰り返す愚行を避けるように思われる。この新しい人々は、搾取をし利権に胡座をかいたり、権力を乱用する指導者を見習うことはせず、さらには自然資源を貪欲に採取して消費する横暴な社会とは、きっと異質な道を歩んでゆくであろう。
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