アメリカ合衆国の次期大統領にドナルド•トランプが選ばれた。彼は既に2017年から4年間、大統領職を務めている為、来年2025年から2期連続とは違う空白期を経ての再登板となる。
この全世界が注目する超大国の大統領選、終盤までの事前調査では大接戦が想定されていたが、蓋を開けてみると、僅差ではなくほぼトランプ圧勝に近い結果になった。正直、個人的には米国史上初の女性大統領の誕生を期待していた為、真に残念である。
ただ現職のバイデン大統領が、まだ選挙戦の辞退を決める前に、自分が大統領選に勝利した場合、その選挙結果に納得しない反対勢力の暴走を非常に危惧していたことを鑑みると、この結果は米国で内戦が勃発するという最悪の事態にはならないように思える。また今回の政権移行に際しては、前回のように元トランプ大統領が非協力的であったのとは逆に政権移行チームが発足し、スムーズに平和的に実施されることがホワイトハウスからアナウンスされた。そして同時に副大統領カマラ•ハリスを含めた現政権が、選挙結果を真摯に受け止め、肯定している姿も、この超大国が民主主義の法治国家であることを如実に証明している。つまり米国社会は様々な問題を抱えていても、民主主義は歴然と機能しているのだ。
来年から発足するこの新しいトランプ政権に関してだが、前回のトランプ政権よりも、大統領の権限は増すと思われる。要は大統領令が州法で停止されたりするケースが減るのではないか。ホワイトハウスと上下両院が共和党で占められると、その可能性は高くなるからだ。民主主義を数の論理だけで解釈するなら、そうなってもおかしくはない。この為、政府の要人たちにはその良識が問われ、試されることになる。彼らに大統領の独断専横を止める器量があるかどうかだ。尤もそれ以前に当の大統領自身が、良識のある意志決定をしてくれれば何の問題もないはずだが。
ドナルド•トランプという人物において、世界中が不安にさせられるのは、民主主義の超大国のリーダーでありながら、権威主義国家の独裁者タイプの人々に親愛の情を感じているように見えることだ。彼の行動が予測不可能な点も大いに不安だが、超大国が覇道に突き進む流れは非常に危険である。しかしこれは国際法を無視するような国の政府を支持してしまう国民や、そんな政府をつくる政治家を選ぶ有権者にもその責任はあろう。独裁者の常套句には、敵を倒せという類の勇ましいスローガンが多い。強者や勇者、あるいは英雄として着飾る演出に優れている。要は独裁者たちは英雄に憧れる人々に支えられているわけだ。
だが、そんな独裁者を支える人々は、英雄に憧れても、英雄の一員にも英雄そのものにもなれないことに気付くべきであろう。ドナルド•トランプは億万長者だが、彼を支持し応援しても、大多数は金持ちクラブのような億万長者の一員にはなれないし、ましてや億万長者にもなれない。
現時点では、新しいトランプ政権はアメリカ•ファーストを前回以上にエスカレートさせることが予想できる。ただ今年の大統領選の最中、ドナルド•トランプは暗殺未遂に遭遇した。その九死に一生を得た劇的瞬間は全世界に報道されている。生かされた命を、分断ではなく融和に使うことを願う。
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