不条理
2015-03-05 | 随想
<不条理>
中学二年のとき、同級の女生徒Sさんが亡くなった。夭折の友達を悼み、同級の数人が葬儀に出た。Sさんの自宅であったが、中に入りきれず我々は庭に整列していた。
途中で一人が「グ」と小さな声を漏らした。
何事だ。私の親友、陽気でユーモアは人一倍、だがもののわからぬやつではない。それが繰り返して笑いを漏らした。笑いは徐々に我々全員に伝染した。不謹慎とはこのこと、と思うのだが止まらない。先生が恐ろしい顔で睨みつけているが、抑えられない。
帰り道、「おまえ、なんで笑ろたんや」と詰問した。「それがおまえ、木の下に蒟蒻が一枚落ちとったんじゃ。」 ―――― 不用意な蒟蒻めが、でもSさんごめんね。
(豈55号所収・2013/10発行)
中学二年のとき、同級の女生徒Sさんが亡くなった。夭折の友達を悼み、同級の数人が葬儀に出た。Sさんの自宅であったが、中に入りきれず我々は庭に整列していた。
途中で一人が「グ」と小さな声を漏らした。
何事だ。私の親友、陽気でユーモアは人一倍、だがもののわからぬやつではない。それが繰り返して笑いを漏らした。笑いは徐々に我々全員に伝染した。不謹慎とはこのこと、と思うのだが止まらない。先生が恐ろしい顔で睨みつけているが、抑えられない。
帰り道、「おまえ、なんで笑ろたんや」と詰問した。「それがおまえ、木の下に蒟蒻が一枚落ちとったんじゃ。」 ―――― 不用意な蒟蒻めが、でもSさんごめんね。
(豈55号所収・2013/10発行)
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