土塊も襤褸も空へ昇り行く:北村虻曳

随想・定型短詩(短歌・俳句・川柳)・写真
2013/11/11開設

木の葉 (18句)

2014-05-20 | 短詩
木の葉

発端にまず現れる風転草

鬢かすめ飛び去る刻は蠅ならむ

うろこ雲かくした爪が毀れたり

たまさかの風が一刷毛甕の水

甕の水二つの貌が押し合へり

隠国に雲とる蜘蛛を養ひつ

開かれた図鑑の上の蝶の舞ひ

沖雲の落とす光に蝶もつれ

夜ふけて飛ぶものに満つ博物館

摘み終えて腰を伸ばせば五十年

おくびには獣答ふ闇の内

蒼肌に浪走らせて蛇となる

さすらふは閉所恐怖の蛇として

エクソダス逆さに昇る階段を

飛行場お化けとなって浮いている

英語では砂をかむ(bite the sand)なり上目して

野の坑を封じる背中流れ星

狐火の消えたる辺ににほひして


(鬢=びん、刷毛=はけ、甕=かめ、毀=こぼ、隠国=こもりく、答=いら、坑=あな、辺=なべ)

              豈53号(2012)所収、一部改

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