土塊も襤褸も空へ昇り行く:北村虻曳

随想・定型短詩(短歌・俳句・川柳)・写真
2013/11/11開設

まつきくん (15首)

2014-02-26 | 短詩
ごめんやすゴミの袋のシートからもこもこ這い出す入道雲


よっこらしょ次から次に手をついて穴の中から上がってくるぞ


水切りの石の力もやがてはてへろへろ沈む皆待つ底へ


まつき君ほんまついとらんしばかれて泳ぐかっこで松になっちゃった


クラスメートの後ろの列を見てごらんいつも突っ立つ防毒マスク


あるかぎりうすき色にて虹ぬればほどけた身体空にとけゆく


K村の橋のたもとの小豆洗村人絶えて無聊をかこつ


昼もなおしずまりかえる地下室の暴君竜よ笑うはなにゆえ


顔上げぬコミック男で脇固め無法地帯を全力突破


我がひつぎ競り合いかちあげぶっ飛ばしヘアピン・カーヴに飛散する


亡国道一号線擦切れた龍虎の幟が風に舞う


馬の背の風紋かすめた弱光に門に絡んだやくざねじれる


戸を叩く鬼どもよりも縁框煙管の輩が難儀真打ち


吹きつのる砂の嵐にかすみつつ竜の立ちたるすがたとどめむ


ほたえれどおらべどもなおわが身体猿にならざり ぢっと手を見る


(小豆洗=あずきあらい、無聊=ぶりょう、幟=のぼり、框=かまち、煙管=キセル)
                     <まつきくん>

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