土塊も襤褸も空へ昇り行く:北村虻曳

随想・定型短詩(短歌・俳句・川柳)・写真
2013/11/11開設

雪月花

2014-09-19 | 随想
     雪月花
                 詩集名「ゆきくれて」について

2010年年三月末、村上の誘いで上記「永久運動」の数人が集まって、鷹峰の常照寺に亡くなられた異端の仏文学者生田耕作(浄蓮院夢耕日荷居士)の墓参を行い旧邸を訪ねた。村上はその旧邸の管理を行っていたのである。暮れて外に出ると、奇しくも鷹峰の遅く開いた桜の枝に雪が降り積み、十三夜の月がそれを照らしていた。おもわぬ雪月花の揃い踏みに一同少年のようにはしゃぎ、帰っても感興冷めず、普段、作詩を行わない人達も直ちにE-mailで俳句・短歌を作り交わした。

鷹峰の生田耕作先生の旧宅に集いし夜、雪月花となりたれば   岩田 強
   つごもりの
     弥生の雪も
       花も月も

                                         北村 虻曳
   ほころびし花さへ雪におほはれて月の光にけぶれる

                                         村上 直之
   ゆきくれて
   はなふるさとの
   つきあかり

   ゆきてかえる
   はなふるみちを
   つきのとも
                                         久保田 忠利
俳句風に
   雪積む花びら月下に凍え弥生

                                         堀本 吟
   時間よりこぼるるしずく雪月花

村上の連作句はとても自然でシンプルながら雪月花を読み込んでいる。とても懐かしい一方で一人行く姿にはっとさせられる。

以上が巻頭の俳句「ゆきくれて・・・」の作られた経緯である。この頃はほんとうに元気で、自身を密かに蝕む病について気づいてはいなかったと見えたのだが。
これを記して我々の手向けとしたい。

                            2014/9/19

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2 コメント

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雪月花の夜 (ETSUKO)
2014-10-26 11:52:50
いろいろおもいだしますね。若かった日からの交流でしたから。
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Unknown ()
2014-10-26 12:07:09
亀井、村上、もう二人亡くなったのですね。
返信する

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