土塊も襤褸も空へ昇り行く:北村虻曳

随想・定型短詩(短歌・俳句・川柳)・写真
2013/11/11開設

幻影の地誌   (4句+4首)

2013-12-27 | 短詩
  幻影の地誌
 
 
  茫々の草生う邦に降りたちぬ
 
 
人影の消えてひさしき黄昏の都市が浮かべる鐵の薔薇
     (鐵=くろがね)
 
 
  天王寺警察署刹那陰画で立つ          (陰画=ネガ)
 
 
水近き鐵工廠の閃光に真昼の大気暗さ増しゆく
 
プラットホーム
  行く春を近江の人が飛びすさる
 
 
枝を踏む音を背中に量りつつ姿薄めるメコンの河岸
 
 
  真中を落ちてゆくとき閉じる空
 
 
かしましき鴎の声を引きつれて干潟の光のなかに溶けゆく

 
 
               (* 行く春を近江の人と惜しみける 芭蕉)
 
  
                                  (2004 関西文学47号)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 双対  (18句) | トップ | 冬至の月下美人 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿