ある部分ではピックアップの最終形といってもいいくらいのEMG。80年代からベーシストの世界ではメジャーだったがとかくビンテージ信仰の強いギタリストの中では嫌われるアクティブPUはいまだにマニアックな分野に追いやられているのも確かです。
最近のお気に入りのスタインバーガーシナプスには純正でEMGが搭載されていますがこれがまた素晴らしくて病みつきになっています。フロントにスタンダードな85、リアには81とへヴィなサウンドを出す往年のコンビネーションですが、クリーン・クランチにはどうしてもリアの81は低音の少なさから85よりシャープに感じてしまいます。現在のEMGはコネクター配線なので簡単にPUの交換が出来る為、早速リアPUも85に交換と企みましたがそこはスタインバーガー、簡単にはいきません。2年前くらいからリニューアルされ単体でEMGを入手すると現行はニューロゴバージョンになってしまいます。このようにもともとの旧ロゴバージョンとあわせるならやはり古いロゴで統一したいものなので未開封のデットストックを入手しました。
このスタインバーガーはEMGを直接太い木ネジでダイレクトにマウントされています。なのでネジ穴をドリルで広げ新たに木ネジをねじ込まなくてはならず、その加工に手間取りましたが何とかマウント。
トーンが近くなった分ミックストーンはクリスピーさが弱まりましたが太くローエンドも充実の85.。オールドPAFを基本にしながらも全てのレンジを広くとり、高出力になっているのも多様な歪調整を可能にしています。こんなに素晴らしいのによくも何十年も使ってこなかった自分に腹立たしくなってしまう。オールジャンルに対応出来てワンランク上のトーンがこの85です。PU本体の中にプリアンプが入っているのでサウンドはどんな設定でも同じかと思いきやPUの高さ調整でかなりの変化を味わえる。そしてノイズはほとんどないのでDAWでのオーディオインターフェースからダイレクトにPCに録音するときなんかは絶対的な力を発揮する。全国を回るセッションギタリストは電波塔の近くにあるホールでプレイする時の為に必ずEMG搭載のギターは必需とのこと。よく言われる独特のコンプレッションは差ほど感じなく、クランチ設定ではトレブルが前に飛ぶ感覚でギタリストには美味しく、ヴィンテージのフェンダープロリバーブにもマッチングは素晴らしい。ヘヴィーなディストーションのイメージですがJAZZやブルースにも最高。特に演歌の泣きのリードには欠かせないそうです。
自分を含めた巷のビンテージフリークは「アクティブ臭い」「電池が苦手」「ルックスがハード」とか言いますが、PAFもオーバードライブ等のエフェクトを経由した瞬間にアクティブトーンになるわけで何を基準にモノを言っているのか恥ずかしくなってしまいます。しかしこの85、ヴォリュームを絞ったイナたさはビンテージレプリカより雰囲気があります。職人が精魂込めたハンドワイヤリングPUも切り口を変えれば安定しない言値の産物でそこにどれだけ投資をしてきたことか。
しかし、81も捨てがたいのでもう一つ入手して別のギターに載せないとなりません。逆にセミアコか何かにも渋いかも。今なら面倒なハンダも必要なくほとんど全てコネクター配線なので誰でもTPOに合わせてチョイスが可能というのが新しいスタイルです。キャビティ―がタイトなギターなら電池ケースを掘らなければならないが通常のLPやSTなら問題は無い。ビンテージ風なメタルカバーバージョンも出てリニューアル後も熱いEMG。
しかし、2回りしてEMGにたどりつくとは。メタリカもちろん、ルカサー、カールトンやギルモアもみんなEMG。
余生は全てEMGでキマリかも。