最初に製作した大型のペダルボードに仕込むディレイを決めかねていましたが、今回仕込んだのがマッドプロフェッサーのディープブルーディレイ。スペースの問題で大方の多機能ディレイを見送り、コンパクトタイプの機種を選定しました。ディレイといっても使い方はディストーションのシングルノートの原音にかかってくるリバーブ的に使うのが目的なので様々なディレイタイムの機能は最初から必要ありません。ポイントはディレイをオンにしたときに薄くならずにそのままディレイが乗っかる感じです。LINE6のDL4も素晴らしいですが若干ローが痩せてデジタル臭さが出ます。しかし、残響がクリアでオーバードライブにはこれがちょうど良くなるんですね。
最近の多機能ディレイは機能以外にトーンも太くなりラック並みの高品質になっています。その反動もあって過去の名器のアナログディレイをリファインしたニューカマーも数々。しかし、ビンテージを追い求め過ぎて発振やテープの歪みはリアルですが普通に使うとトーンが曇ったりアンサンブルで前に出ない等の弊害があります。アナログディレイが太いサウンドという先入観だけで輪郭がボヤけたチューンニングしてある機種も多いですね。
そんな中で昔から気になっていたブランドのマッドプロフェッサー。フィンランドメイドでマニア向けのブランド、最近はローコストのプリント基板バージョンも出していますがこの個体はプリント基板を出す前のハンドワイヤードの初期型仕様。裏蓋がかなりヤレた状態だったので塗装を落とし鏡面仕上げにしました。ケースの塗装やプリントはまだハンドメイドの雰囲気が出ている質感です。亜鉛ダイキャストケースなのでズッシリとした重量感。基板の絶縁もプラスチックケースを使用する前の薄いウレタンシートを巻いた手作り感満載です。
さて、サウンドはデジタルディレイですが太くアナログ感のあるビンテージの風合いとデジタルのクリアさが丁度いい感じにチューンされています。いいペダルは設定に時間はかかりません。そのまま最低限の操作でドライブのかかったソロトーンに残響を載せてきます。多機能ディレイのようにディレイタイムをプリセットできませんがそんなことを言わせないいいポイントはこれというようなディレイをアウトプットします。デジタルディレイにありがちなローエンドの減衰もなく、アナログディレイのような暗いトーンでもなくギターサウンド自体の押し出しが強いのが何とも気持ちいいですね。ブルースロックやジャズフュージョンのシングルノートソロ専用のようなディレイ。
こだわりのメーカーは音の主張が強い分、ジャンルの汎用性は低いですが音の主張のレベルは違います。ディレイのような空間系の響きにも音の強さがあるのが驚きです。
ペダルボードを組んで思いましたが、このボードは全部ハンドワイヤードのペダルで完結いたしました。