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Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

Mad Professor Deep Blue Delay

2016-10-23 22:21:27 | PEDALS

最初に製作した大型のペダルボードに仕込むディレイを決めかねていましたが、今回仕込んだのがマッドプロフェッサーのディープブルーディレイ。スペースの問題で大方の多機能ディレイを見送り、コンパクトタイプの機種を選定しました。ディレイといっても使い方はディストーションのシングルノートの原音にかかってくるリバーブ的に使うのが目的なので様々なディレイタイムの機能は最初から必要ありません。ポイントはディレイをオンにしたときに薄くならずにそのままディレイが乗っかる感じです。LINE6のDL4も素晴らしいですが若干ローが痩せてデジタル臭さが出ます。しかし、残響がクリアでオーバードライブにはこれがちょうど良くなるんですね。 

最近の多機能ディレイは機能以外にトーンも太くなりラック並みの高品質になっています。その反動もあって過去の名器のアナログディレイをリファインしたニューカマーも数々。しかし、ビンテージを追い求め過ぎて発振やテープの歪みはリアルですが普通に使うとトーンが曇ったりアンサンブルで前に出ない等の弊害があります。アナログディレイが太いサウンドという先入観だけで輪郭がボヤけたチューンニングしてある機種も多いですね。

そんな中で昔から気になっていたブランドのマッドプロフェッサー。フィンランドメイドでマニア向けのブランド、最近はローコストのプリント基板バージョンも出していますがこの個体はプリント基板を出す前のハンドワイヤードの初期型仕様。裏蓋がかなりヤレた状態だったので塗装を落とし鏡面仕上げにしました。ケースの塗装やプリントはまだハンドメイドの雰囲気が出ている質感です。亜鉛ダイキャストケースなのでズッシリとした重量感。基板の絶縁もプラスチックケースを使用する前の薄いウレタンシートを巻いた手作り感満載です。

さて、サウンドはデジタルディレイですが太くアナログ感のあるビンテージの風合いとデジタルのクリアさが丁度いい感じにチューンされています。いいペダルは設定に時間はかかりません。そのまま最低限の操作でドライブのかかったソロトーンに残響を載せてきます。多機能ディレイのようにディレイタイムをプリセットできませんがそんなことを言わせないいいポイントはこれというようなディレイをアウトプットします。デジタルディレイにありがちなローエンドの減衰もなく、アナログディレイのような暗いトーンでもなくギターサウンド自体の押し出しが強いのが何とも気持ちいいですね。ブルースロックやジャズフュージョンのシングルノートソロ専用のようなディレイ。

こだわりのメーカーは音の主張が強い分、ジャンルの汎用性は低いですが音の主張のレベルは違います。ディレイのような空間系の響きにも音の強さがあるのが驚きです。

ペダルボードを組んで思いましたが、このボードは全部ハンドワイヤードのペダルで完結いたしました。


スモールペダルボード

2016-07-25 17:45:01 | PEDALS

アルモアの重量級ペダルケースを使用してのボードを2アイテム程製作しましたがその反動で軽くて移動も楽なシンプル小型ボードも作ってしまいました。ストックの定番ドライブペダル、BD-2とRAT2をメインにしましたが欲が出てディレイとワウもセット。実用的で最小のボードとなるとケースの種類は限られてきます。小型になれば高さが低くアダプター等やRATのようにノブが出ているモノは仕込めません。小型で高さがある某楽器店オリジナルボードがちょうどいいですが価格と比例した作りで安定感に欠けます。そこを追い求めると重くなるのでペダルを載せる面にアクリル板を敷いて強度を高め、最近お気に入りの硬質の発砲ウレタンのくり抜きセットで固定、移動時は蓋裏のスポンジでペダルを留める方式です。

この大きさでパワーサプライ、アダプター、チューナー、ジャンクションボックスも入れるとなると不可能ですがそれを可能にするのがJOYOシリーズ。ディレイとオートワウでワンセットの完成です。少し前だと低価格オートワウはローエンドが劇的に痩せるものしかなかったですがそこは恐怖のJOYO、原音のままのローエンドが保たれます。派手なフィルターセッティングはできませんが足ワウのスタンダードからタッチに反応するオートワウ特有なトーンもしっかり網羅しています。すべてJOYOで組むとこの大きさで完璧マルチを構築も可能。スイッチャーを使用しないのでケーブルの取り回しもシンプルになりコスト削減も。

しかし、ボードに組み込んでみて再確認したBOSS BD-2の完成度の高さには驚きでチューブの飽和感が見事に再生します。最近は高品質なブースター系のドライバーが多く出ましたがBD-2で事足りることがわかりました。ゲインとトーンコントロールでどうにでも音作りが可能です。ここではRAT2をブースター的なセッティング。ストラトだとドライブ2段掛けのミッドブースト感をRAT2のフィルターオフでフラットにすると滑らかに粘りが出ます。オーバードライブペダルの評価ほどインチキ臭いものはありません。全てチョットした違いなんですけどギタリストはその時期によって反応するポイントが変化するので紛らわしいのです。迷ったらスタンダードを試せということです。

小さなボードでもしっかりとレギュラー扱いの自作ジャンクションボックスは最近の定番。今回はアウトジャックのレイアウトを両側に配置します。古くからのスタンダードRAT2とリリース直後に入手したBD-2が中心に鎮座しその両脇を新興メーカーのJOYOでサポートするレイアウトはスイッチャー感覚で使えて意外と実用的。何だかこれがメインになりそうでまいります。


恐ろしきJOYO

2016-07-21 11:11:04 | PEDALS

巷でビギナーから玄人ギタリストまでからも話題の大陸メーカー「JOYO」。JOYOは数年前からマニア向けのペダルの名機をリイッシュしオリジナルの半額から1/5以下の価格という離れ業で展開しているメーカー。音はオリジナルと大差はなく、外観の雰囲気やネーミングも似せるという楽しさもクリエイトしました。そんなJOYOから数年前にIronman seriesなるオリジナル路線のペダルをリリース。 ボードを組む際の共通語の小型を見事に再現した究極のスモールボディ。極限にまで小型化してますがキャビネットはズッシリくるダイキャスト製の約0.3kgとノブカバー。これはオリジナルのケースのようでモデルネーミングも洒落ています。価格からは想像もつかないいいバランスとオイシイところのトーン設定。これはもうコスパがどうのこうのという次元ではありません。オリジナルを研究し尽くして完成した別のオリジナルという感じです。

小型ジャンルというより小型で高品質がスタンダードの最近のペダル業界。これだけ小さいと踏みずらいような気がしますがバランスが良く心配無用。スイッチャー使用でそのような問題もなくなります。内部のクリアランス上ジャックが互い違いになるのがペダル間の距離を狭められるメリットにもなっています。これなら小型ボードでマルチ並みのレイアウトが組むことも可能になってしまいます。

実際のところ世界のメーカーの製造工場とまでいわれた中国ですからいろいろあってもノウハウの蓄積は莫大なもの。法律なんて関係ないというスタンスのコピー精神の中にこのようなオリジナルが生まれてくるものです。少し前のメイドインジャパンもそうですし概念にとらわれないところがないと発想はないのかもしれません。欧米のハイエンドペダルの特許だの権利だのと言ってもそれも結局は日本製のコピーなので熱い議論に発展しません。オリジナルと比較している動画もたくさんアップされていますが楽しいくらいに同じです。オリジナルの所有者からのコメントはみな辛口ですが10倍以上の価格を払っているので厳しい意見をいう権利はありますが実際の音は同じという面白い現象が起きてしまいます。逆にこのメーカーにコピーされると1級品という証かも。

さてこの「JOYO Ironman series Time Magic」というアナログディレイは往年のチューブ、テープ、アナログのいいところだけをフュージョンさせた設定になっています。同シリーズで Quattroというデジタルディレイもありますがこれも多機能で気になるアイテム。Time Magicはローの痩せもなくクリアなディレイでタイムを短くしたロカビリー風エコーもいいですね。アナログエコーの基準BOSS/DM2Wと比較しても全く問題ないのが何とも言えません。

小さいけど中身の濃いボードを組むならこのJOYOはかなりパフォーマンスは高く、多数のアイテムを出しているので選ぶのも楽しいですね。スモールケースの代表ワンコントロールと比べるのもどうかと思いますが価格が半分なのでインパクト大で製造はどちらも中国。日本製はハイエンドクラスしか今後無くなるような気がします。

Line6 DL4と並べると技術革新、時代の変化を垣間見れます。


ペダルボード完成

2016-07-11 11:19:11 | PEDALS

春に一度、アルモアの中型ケースPS-2Cを使用してペダルボードを製作しましたがレイアウトを変更し再度作り直したのがこの2セット。ファズフェイスやワウペダルがあるVer1はアルモアの大型ケースPS-1Cを使い、歪みに特化したレイアウト。カスタムしたVOXワウとファズフェイスで半分近くスペースをとりますがスイッチャー導入で自由にペダルの位置を設定できます。ケーブルはLAVAのタイトロープ、電源ケーブルとタップはベルデン。どちらも自作のジャンクションボックスでインとアウトをまとめています。左側の空きスペースはディレイを仕込む予定ですが機種の選定中。

小振りなVer2は試作で製作したPS-2Cを使いシンプルにしようとしましたが、小型ケースにLine6のディレイという何ともバランスの良くない仕様です。既にLine6はペダルボードには時代遅れですが音とシュミレートの操作は簡単で天下一品です。しかし、この巨大な専用電源アダプターは厄介でタップに接続すると高くなりすぎて蓋が閉まりません。なので土壇場で全体の配置をやり直すという展開に。何とか収まりましたがやはりボードはイメージよりオーバースペックな大きさでないと確実に失敗します。

バンドのギタリスト用と試作機を合わせて4セットの製作をしましたがペダルボードは個々のペダルのポテンシャルを上げるアイテムと感じます。ギタリストの環境はスタジオやステージで目まぐるしく変化しますがペダルが増えるほどシグナルケーブルや電源と複雑になりノイズ、接触不良などの事故の可能性も高まります。ペダルボードで固定することにより移動時の機器の不具合を少なくしセッティングの簡素化、操作性とメリットが増大。それによりペダルの確かなジャッジが出来て一石二鳥です。ノイズや接触不良のトラブルのほとんどがパッチケーブル等の不具合がほとんどなのでその部分がタイトに接続されていれば問題はまず発生しません。また重要なのが電源部分です。アナログの歪系ペダルはなんたって電池が一番いいのですが常に容量いっぱいの電池とは限りません。最近は高性能のアダプターやスイッチャーに電源供給がついたりでしっかりしたDCケーブルの使用でトラブルは無くなりました。

ペダルボード作りはゆとりをもってじっくりレイアウトを考えるという大人の嗜みが味わえますね。


RMC WIZARD WAH

2016-06-24 11:41:21 | PEDALS

90年代に登場したカスタムワウペダルの走りのようなブランド「RMC」。現在でこそギタリストのペダル分野の中では登場頻度が多いワウペダル。しかし、ワウペダルが再び注目されたのは90年頃で80年代はデジタルエフェクターやラックタイプエフェクトの登場で忘れられた存在にまでなり足元から消える状況に。世に出た60年代後半はまだキワモノ扱いのペダルでヘンドリックス以降、黒人ギタリストが独特のグルーブを生み出す等になって歪みとワウペダルはセット販売のようなメジャーな位置まで上り詰めました。しかし、音楽スタイルの変化と同時にワウペダルが消えたのと同時に国内の販売も縮小になり国産メーカーの極わずかなアイテムしか無くなる状況にまでなってしまいます。80年代の空間系主体のサウンドにはこの異質でダーティーなトーンはマッチしません。そんな中、80年代後半に国内では海外ブランドのワウペダルの復刻がありブルース、70年代ロックサウンドのリイッシュブームとリンクして再注目されることに。60年代のオリジナルVOX・V847を体感する機会はなく復刻モノでもVOXのロゴが入っているだけで満足しましたが、やはりそれはオリジナルとは違いパーツの相違、基板レイアウト等がサウンドに微妙な違いを与えたのは今になって理解出来たような感じです。

60年代後半のワウペダルの状況は専門サイトを参照してもらうとして当時の様々な国でのOEM生産、パテント、ブランド等が交錯して、中身の仕様も様々。時が過ぎて90年代にこの「RCM」ブランドを立ち上げたジェフリーティーズ氏が当時のVOXワウペダルを研究したカスタムワウペダルをリリース、ハイエンドワウペダルの先駆けになりました。当時のRMCのワウはビンテージのVOXワウの外装を世襲し基板やポットを新しいパーツで仕上げ当時のVOXクライドマッコイピクチャーワウのサウンドに限りなく近いRMC1を98年にリリースします。この写真の赤いケースのワウは2003年にリリースしたそのオリジナルビンテージVOXワウの改良版「RMC5 WIZARD WAH」。

トーンバランスをミッドからローエンドにシフトしワウの可変音質を強めにしたトーンは往年のスタンダード、クライベイビーのニュアンスも感じられます。全ての可変位置が強烈な個性ですがどのポイントも太く泣き叫ぶ感じです。2003年に発売されたときから気になっていたモデルでしたが手にする機会を失い13年目にして手に入れたのがこのファーストイヤーのモデル。前オーナーがペイントでマスクされた基板の半分を剥がした跡がありますがリペアの形跡の無いオリジナル。ケーブルも単線を使用し音に拘っています。少し前にVOXのケースを使い新たに製作したカスタムV847に近いトーンスタイルですが可変のトーンがより激しく耳に刺さらないところが何ともカスタムな雰囲気です。音は思っていたよりも濃厚なワウトーンですがバランスがひじょうに素晴らしく可変幅も大きいのにすべて使えるところに合わせてあります。経年変化もありますが個人工房的なハンドメイドの雰囲気が外装塗装に味わうことが出来ますね。ラバーシートはクライベイビーのパーツを使用かも。現在のRMCワウのほとんどのモデルにファズとのマッチングをとるバッファーが内蔵されていますがこの初期型にはありません。純正かわかりませんがオフセットゴムが短いものが装着されているのでペダルの可変幅が広く設定されています。そのためトーンも幅広いですが踏み心地に若干の違和感があるのでこの部分は交換かもしれません。

このRMCワウも時期によってケースの形状変更があります。これに関してはHPにも書かれていましたが80年代にクライベイビーのパテントをジムダンロップが取得していてケースの供給をジムダンロップから受けていたようです。しかし、それがままならなくなり別のケース業者に変更したりとそのタイミングで外装仕様が変わっています。ユーザーはどうしてもオリジナルの形状のワウに親しみを得るのでそのあたりが微妙なところですが、そこから完全に決別したロジャーメイヤーのビジョンワウのようなものもありますからね。パテントを有する巨大なメーカーは話題になる個人工房などにパーツ供給を鈍らせたりするものです。これがそれにあたるかは不明ですがそれぞれの大人の事情というやつです。

最近はペダルボード用の小型のワウが巷を騒がせていますがこのRMCの最近のケース形状は先が斜めに飛び出た大型バージョン。音に自信があることの現れです。