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読書の森

東野圭吾『トキオ』

『トキオ』は2002年に発刊された東野圭吾の作品です。

2005年に『時生』と改題されているのは、人気グループ「TOKIO(トキオ)」と紛らわしいからでしょうか。

時生は中流家庭の勤め人の一人息子です。優しい両親の下で、スクスク育った素直で元気な子ですが、決定的な弱点があります。
それは若くして命を終えねばならぬ難病の持ち主なのです。

愛する人がその遺伝子を持つ事を承知で男は彼女と結婚します。
その背景には、決して言えない彼の過去の秘密があったのです。

と、ここまではよくある物語なのですが、、、。



時生が20歳の時、もはや病いは全身に回り、彼は意識不明の瀕死の床にあった。

その時、父宮本拓実は妻に告白する。

「自分が23歳の時、20歳の時生と会って二度と出来ない冒険の旅をしたのだ」

死の床に就いている時生は、文字通り時間を超えて父親の運命を一変させる旅に出たのです。
会いに行った場所は1979年の浅草花やしきでした。


舞台は20世紀末の何不自由のないサラリーマンの一家の住む住宅街を離れ、1979年の貧しいその日暮らしの若者のたむろす下町へ移ります。

そこで、底辺の生活をしている宮本拓実は不思議な青年トキオと出会い、命拾いをするのです。
そこから2人の波乱に富んだ旅が始まりました。
名古屋、大阪、作者の馴染みの街の風景が次々描写されて、かなり面白いものがありました。

以前の図書館での読書体験とまるきり違う印象です。
以前見逃していた作品中の「明日だけが未来じゃない」という言葉が胸を打ちます。
もう一つ、「配られたカードで精一杯勝負するしかないやろ」と大阪のヤクザの姉さんに言わせた言葉も響いてきました。

作者がコロナ禍を予測していた筈も無いのですが、どうも「明日には未来が開ける」と期待するより「与えられたカードで勝負する」時期なのかなと暗示してる様に思えてきました。
私的には、年を経て読み直す価値ある本だと思いました。


読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️

コメント一覧

airport_201
@hayane-hayaoki そう言って下さると嬉しくなります。
な、事あるか?というお話ではありますが、とても心が温まります。お勧めします。
hayane-hayaoki
東野圭吾さんの著作はほとんど読んでると思ってましたが、これは読んでないかも。
あらすじが上手で、読んでみたくなりました🎵
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