著者、保阪正康は歴史に埋もれた事件の
ルポを克明に書く人です。
かなり堅苦しい文章で読めるかと危惧しながら、2002年に上梓された時代遅れの本を借りました。
私は、昭和史には興味しんしんです。
特に、何故日本にとうてい勝ち目の無い例の太平洋戦争に突入してしまったのか、高校生の頃からの尽きない?を解きたいのです。
一朝一夕で全容が分かる筈は無いし、保阪正康氏の考えが全て正解とは言えませんが。
本著は、昭和8年5、15事件から始まります。
劇的な2、26事件ばかりに目を奪われてますが、実はこの事件に対するマスコミや民間の反応こそが、とても怖ーいものだった事が分かりました。
資源の乏しい日本が広い満州の資源に目をつけて武力的手段をとっても、経済的に潤おうとしたのが、そもそも国際的な非難を浴びる原因でした。
当時の犬養首相は、軍部が強引に満州を統治しようとするのに反対し、弾圧しました。
実は表面上は中国を立てるものの、経済的に日本が利益を得ようとする意図でした。
それに若い青年士官達が憤慨して、遂に犬養首相を暗殺してしまったのです。
このテロが、5、15事件です。
士官達とすれば純粋な国を思う心から、金に目が眩んだ悪徳政治家を成敗したつもりです。
彼らの私生活は極めて清潔で職務に誠実でした。
そこで、事件は極めてエモーショナルな反響を呼んでしまったのです。
「国思う信念に従ったのみです。死ぬのは覚悟」
と被告が泣き、裁判官がそれを聞いて泣き、傍聴席も、新聞記者も泣いたとか。
減刑運動が起き、殺人者達は信じられない位の軽い刑で済んだのです。
当時70歳過ぎても人に推され、国の為に働く犬養さんが悪徳政治家とは、私は到底思えません。
当時の社会が極めて情緒に流され易かったと思えます。
「国の為、純粋な想いに満ちて」と言えば、テロも許される、とは何処かの国の何かを連想して怖いですね。
さて、安くて手軽に出来る料理をまた作ってみました。
ちくわとキャベツのマヨネーズ和えです。
ちくわは軽く炙って適宜切り、キャベツは千切ってレンジで1分程温め柔らかくします。
それにマヨネーズと醤油をかけただけ。
結構食べ応えがありました。