待合室に居座る若い娘、久田芽依は前の女が鬱陶しい。
年上の女が芽衣を見て不快な表情をする場合は、すべからく自分が若くて綺麗だからだと思う事にしている。
なので徹底的に冷たく無関心な様子を見せてれば相手もその内この場から退散するだろう。
ところが、待ち人でも無いし用もなさそうなこの女は何故かオドオドしながら、チラチラ芽衣を見つめている。
その内に、彼女はおばさんにしては如何にも世間知らずそうなこの女をいじめてやりたくなった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/11/48a99e08bd50bf29732de2985083b523.jpg)
奈美は前の娘の薄ら笑いが気味悪い。スマホの画面で調べて何か自分の秘密を探っているのではなかろうか?そんな筈ないのに、意地悪そうな娘の表情に触発されて、彼女はつい声を上げてしまった。
奈美はマスクを深くかけ直して席をたった。そして、そそくさと切符の払い戻しをして帰宅の途に着いたのである。
芽衣は携帯に向かってわざと甘えた声を出した。
そうしてチラチラ邪魔なおばさんを見るのだ。
ところが、おばさんはより深刻な顔をするだけだった。
ところが、おばさんはより深刻な顔をするだけだった。
「このおばさん、どうせ暗いからモテないんだろ」
芽依は余裕の笑みを浮かべてスマホの画面に夢中の様子を見せる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/11/48a99e08bd50bf29732de2985083b523.jpg)
奈美は前の娘の薄ら笑いが気味悪い。スマホの画面で調べて何か自分の秘密を探っているのではなかろうか?そんな筈ないのに、意地悪そうな娘の表情に触発されて、彼女はつい声を上げてしまった。
「あなた、失礼ですがさっきからずっとスマホばかりいじってらっしゃいますね。お仕事なんですか?」
芽依は愛想良く答えた。
「はい。上司の連絡待ってるんですけど、なかなか返事がなくて」
「じゃあ何故さっき楽しそうな通話が出来たんだろう?ひょっとして私の様子を報告してるの?」
芽依は愛想良く答えた。
「はい。上司の連絡待ってるんですけど、なかなか返事がなくて」
「じゃあ何故さっき楽しそうな通話が出来たんだろう?ひょっとして私の様子を報告してるの?」
勿論奈美は疑問を表面に出さず、急いで弁明する。
「ごめんなさいね。今具合悪かったのでナーバスになっちゃったの。
「ごめんなさいね。今具合悪かったのでナーバスになっちゃったの。
疲れてしまって、、」
言い訳めいた事を言った。
「そうなんですか。それはいけませんねえ」芽衣は愛想笑いを口端に浮かべてみせる。
奈美は思い直す。
多分営業だろう若い娘の行動は奈美にとって不可解だが、自分とは関わりがないのだ。
被害妄想なんだ。
言い訳めいた事を言った。
「そうなんですか。それはいけませんねえ」芽衣は愛想笑いを口端に浮かべてみせる。
奈美は思い直す。
多分営業だろう若い娘の行動は奈美にとって不可解だが、自分とは関わりがないのだ。
被害妄想なんだ。
奈美はマスクを深くかけ直して席をたった。そして、そそくさと切符の払い戻しをして帰宅の途に着いたのである。