読書の森

松本清張 『殺意』前編


松本清張はお馴染みであるが、このアンソロジーの編者が個性派である。
あの佐藤優氏だ。
私は、彼に外務省のエリートであったが挫折した強面の男のイメージを持っていた。
しかし、後書きを読んでイメージが変わった。

松本清張と佐藤優には共通点がある。
自身にとって故なき圧迫に苦しんだという点である。

佐藤優は鈴木宗男事件に関わった為に、拘置所に拘留され、罪を得て、外務省を解雇された。

その辺の事情はわからないが、この体験が彼の人生に与えた影響力は凄いものだろう。



相当数の松本清張の作品を、彼は刑務所で読んだ。
東京拘置所が所蔵する本である。

閉じ込められ、公に発言の自由を奪われた彼にとって、清張の作品は慈雨の様に染み込んだに違いない。

本著の主人公の殆どが、虐げられ鬱屈を抱える。
その解決策が見えない。
そこに犯罪が絡むのである。

殆どの犯人が圧制者に殺意を抱いている。
その心理の闇を清張はリアルに巧みに描く。

何故なら作者自身が同じ思いを抱いたからだと考える。

読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️

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