ある朝、麻美は前のアパートで殺人事件(?)が起きた事を知って驚いた。
その朝、私立探偵がその依頼者の一人と口論していて、突然依頼者が倒れた。
多分怒り狂った探偵に殺されたのだろうと周りが騒いでる。
しかし、実はその探偵の目の前で依頼者が突然の心臓発作を起こして倒れたのが真相だった。
最近、麻美はその探偵と言う男が時々チラチラと自分を見るのを意識していた。
最近、麻美はその探偵と言う男が時々チラチラと自分を見るのを意識していた。
その男は最近彼女の住処の側に引っ越してきたらしい。
彼女は「この人ストーカーか、気味が悪い」と日頃思っていたのである。
彼女は「この人ストーカーか、気味が悪い」と日頃思っていたのである。
そこで興味を持ってその事件を報道した記事を読んだ。
それによると、なんと死者は麻薬取引の大元締めだったのである。
麻美の住むマンションを秘密のアジトにしたいから様子を見ろと被害者から依頼されたと探偵は話した。
それによると、なんと死者は麻薬取引の大元締めだったのである。
麻美の住むマンションを秘密のアジトにしたいから様子を見ろと被害者から依頼されたと探偵は話した。
当初、探偵は金になる仕事なので引き受けて、マンションの住人の様子管理の仕方などを探っていた。
つまりマンション管理が杜撰である程良いと言うのだ。彼にとっては割り切れ無い、胡散臭いものがかなりある仕事である。
そこで、さらに秘密の詳しい内容を問い正して、それが麻薬取引きである事を理解した。
驚いた彼が依頼を断った時、秋田は激しく怒り出した。
藤堂も激しく秋田を罵った。金の無い弱みにつけ込んで悪事の仲間に引き入れるデタラメさに怒ったのである。
お互い激情に駆られて口論するうちに、秋田が突然倒れたと言う。
「この探偵の話には嘘が含まれている」
「この探偵の話には嘘が含まれている」
と麻美は思った。
何故なら、探偵はマンションそのものでなく自分を見張っている事に気づいていたからである。
そして、それが単にストーカー的な行動でないと事件後理解した。
「自分を探っても何も出てこない」と麻美は自嘲するように呟いた。
有名医大出の肩書きは持つが、今の彼女は心の弱いフリーターに過ぎないのだから。
目を閉じて考えを巡らす内に、麻美は自分の知らない部分で何か重要な事に関わっているのではないか、と考えた。
それは「ひょっとしてあの晩の出来事に関わりがあるのではないか」。
思いついた麻美はクローゼットの隅に置いた黒鞄を取り出した。
中身は事務用品、簡便な携帯医療器具、薄いパンフレット書籍の他、あの晩受け取った包みが入っている筈だった。
取り出した包みは灰色の包装で、見た目以上の重みがあった。確認すると幾重もに包まれていてビニール袋の中に無臭の白い粉が入っていた。こんな粉を仰々しい表情で彼女に渡したのはどのような意味があるのだろうか?
「これは麻薬ではないか?自分を受け子と誤認したのではないか?」
麻美はハッとした。
この包みを受け取ったのは薄暗がりの中である。誰かと間違えて渡したのだと分かっていたが、あの時の麻美は正常な神経とは言えなかったのである。
そしてその場所にいた事は誰にも言えない秘密だった。
何故ならば、あの晩彼女は済んでの事で背後から襲ってきた男に殺されかけてその場所に逃げ込んだのだから。
そしてその男が本当に誰かを知らないのだったから。
1番重要な点はその男が恋人だった男ではなかったかと言う事だった。
であればこの話を誰にも漏らしてはならない、と麻美は悲壮な決意をしたのだった。
麻薬を受け取ったあの晩8時に、麻美は医大の同期生である恋人の酒井圭一と会う約束をしていた。