読書の森

セカンドハウス その11



個人のスマホの電波をキャッチし易いのは近くの場所ではないか?
捜査本部は由比の居住する地域を調べ直した。

そして、同じマンション内の20代の独身男性が浮上した。
彼が外で口笛を吹いていた事も分かった。
最初、適当に答えていた男は追及の激しさにポツポツ答え始めた。
覆す恐れもあるので由比のスマホから、男の写真が見つかったとカマをかけた。

「そりゃないよ。壊れてる」
思わず男が漏らした言葉は録音されている。
「つまり壊した訳だ」
男の顔いろが変わった。
男の自白で全てが明らかになった。



彼が尋問を受けた理由は彼女が彼と激しく口論していたのを目撃した人がいたからである。
ひどくナーバスになっていた由比は口笛の犯人を突き止めると激しく詰った。
「警察に訴える」と近所中に聞こえる声で言った。
それは双方の評判を落とす事になった。

可愛い女だと悪戯気分だった男は萱史郎と言う。
由比によってメンツは丸潰れだと彼はひどく恨んだ。

元々マンションは彼の所有物でない。
上司の転勤に伴い安く借りたものである。
マンションを購入する収入がある事で由比が驕った女と決めつけた。

男、萱史郎は由比に殺意を抱いた。
憎しみ故に由比の行動を追ったのだ。



史郎は由比がセカンドハウスを借りた時、逆上した。
貧しい自分に対する当てつけと思い込んだのである。
これも一種の被害妄想だろうが、その他の点で彼は正常そのものだった。

そして由比の跡を付けて、優雅なカーテンの色を見てカッとした。
裕福でヌクヌクと暮らしている上から目線の女。
エリートを鼻にかける女。
我慢が出来なかった。
そこで持ち歩いている飛び出しナイフで由比の背中を一突きにした。

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