川崎市中原区の認可保育所で9月、不適切保育が疑われる事案が明るみに出た際、保育所側の幹部が職員を集めた会議で、事案の発覚の理由が職員による内部告発だった場合、刑事処分や損害賠償を求める可能性を示唆していたことが、関係者への取材で判明した。内部告発の萎縮にもつながりかねず、保育所は取材に「軽率だった」と陳謝した。
市は9月、女性保育士(9月に退職)が1歳児の腕を強く引っ張るなどした不適切保育を確認し、保育所に口頭で助言と指導した。その後、随時監査も実施し、適正な情報管理や子どもの人権に配慮した言葉がけをするよう改善を求めて文書で指導した。
市や関係者によると、1歳児のクラスを担当していた60代の女性保育士が6~9月、幼児の腕を強く引っ張ったほか、大声で叱責したり、靴下をはくのに時間がかかっていた幼児を数分間部屋に置き去りにしたりしたという。
保育所側は、市や匿名の保護者からの指摘で、不適切保育が疑われる事案を把握。9月13日に開かれた職員会議で、幹部の一人が、保護者から不適切保育に対する苦情の電話が複数かかってきているとしたうえで、「業務が滞り、支障が出ている。業務妨害の可能性や、対応に追われた人件費などの損害賠償請求を検討する」などと説明した。
保育所の運営法人は毎日新聞の取材に、会議での幹部の発言は事実だと認めたうえで、「営業妨害や賠償といった話は軽率で誤りだった。今後は外部の専門家の手を借りながら改善していく」などと釈明した。【柿崎誠、牧野大輔】
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