(つづき)
時刻表があるわけでもありませんから、時計の針も見ずに、「じゃ行くか」という雰囲気になり、おじさん達の後をつけて河原へ降りて行きます。二艘の小さな船がとまっていましたが、渡船用は1つだけで、もう1つは関係ない私有の船のようです。河原には、ここが乗り場だとかいう掲示はありません。おじさんは船の後ろを両手でしっかり押さえ、慎重に先に妻が乗り込み、後で私が乗ります。
船の名前は「第 葛木丸」と書いてあって、第の後の漢数字を消した跡があります。
最初はオールで漕ぎ、その後エンジンが静かに回り出します。揺れはほとんどありません。
水面ぎりぎりを白鳥が飛んでいます。
船から水面を見ました。実に寒々しい水面です。さっきの鳥と同じ景色を見ているんだなと思いました。
5分くらいで対岸に着きました。
二条の川が並行している場所は数多くあれど、木曽川・長良川、両方とも大河だという場所は少ないのではないでしょうか。今着いた場所はその間にある陸地です。
どこに船をつければよいか、船頭さんは迷っている様子でした。川底に土が溜まって、浅くなっているようです。着いた場所は大きな石がゴロゴロし、危なっかしい足もとでした。
折り返しに乗る客はなく、静かに対岸へ還っていきます。水面に矢印の形をした波が立っています。船はあっという間に小さくなりました。
(つづく)